◆ 元東京都知事石原慎太郎氏宛て警告
元東京都知事である石原慎太郎氏は、東京都知事であった時に、東京都庁を訪れて条例改正案の成立を求める要望書を提出した東京都小学校PTA協議会等5団体の代表者に対し、「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」等と発言した。
また、都政記者クラブ所属の記者から上記の発言の真意について質問を受け、「(同性愛者は)どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」等と発言した。
さらに、週刊ポストに掲載された記事において、「同性愛の男性が女装して、婦人用化粧品のコマーシャルに出てくるような社会は、キリスト教社会でもイスラム教社会でもあり得ない。日本だけがあってもいいという考え方はできない」等と主張(発言)した。
かかる各発言は、いずれも東京都知事としての発言であり、同性愛者等の性的少数者を蔑視し、社会から排除しようとする差別発言である。
また、性的少数者に対する差別あるいは差別意識を助長する発言であり、性的少数者の人権を侵害している。
石原氏が現在も衆議院議員であり、これまで日弁連が差別発言による人権侵害を二度にわたって指摘し、要望及び警告してきたことを踏まえ、同氏に対して他者の人権を侵害する差別発言をこれ以上繰り返さないよう強く反省を求め、再度警告した事例。
『日弁連HP』(2014/4/22)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2014/140422.html
※東京都知事による性的少数者差別発言に関する人権救済申立事件(警告)
当連合会は,Xほか2名の申立てに係る人権救済申立事件(2011年度第22号人権救済申立事件)につき,貴殿に対し,以下のとおり警告する。
第1 警告の趣旨
貴殿は,東京都を統轄し,代表する東京都知事であった時に以下の各発言を行った事実が認められる。
1 2010年(平成22年)12月3日,18歳未満の青少年の福祉を害するおそれがある書籍,雑誌,映画,がん具等の販売,頒布,貸付,観覧等について,自主規制を求めたり,不健全であることを指定したりすること等を定める東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「東京都青少年健全育成条例」という。)について,東京都庁を訪れて条例改正案の成立を求める要望書を提出した東京都小学校PTA協議会等5団体の代表者に対し,東京都知事として「子供だけじゃなくて,テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」等と発言した。
2 同年12月7日,都政記者クラブ所属の記者から上記1の発言の真意について質問を受け,東京都知事として「(同性愛者は)どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」等と発言した。
3 週刊ポスト2011年(平成23年)2月25日号45頁以下に掲載された記事「我欲の時代だからこそ軍隊経験で修練を」において,東京都知事として,東京都青少年健全育成条例による規制の必要性を説く前段で,日本を駄目にする「我欲を満たすための野放図な害悪」として「同性愛の男性が女装して,婦人用化粧品のコマーシャルに出てくるような社会は,キリスト教社会でもイスラム教社会でもあり得ない。日本だけがあってもいいという考え方はできない」等と主張(発言)した。
これらの発言はいずれも,東京都知事としての発言であり,同性愛者等の性的少数者(以下「性的少数者」という。)を蔑視し,社会から排除しようとする差別発言であるとともに,性的少数者に対する差別あるいは差別意識を助長する発言であり,性的少数者の人権を侵害している。そのため当連合会は,現在も衆議院議員であり,政党の共同代表でもある貴殿に対し,これまで差別発言による人権侵害を二度にわたって指摘し,要望及び警告をしてきたことを踏まえ,貴殿による度重なる人権侵害発言は極めて重大であると判断し,他者の人権を侵害する差別発言をこれ以上繰り返さないよう強く反省を求め,再度警告する。
第2 警告の理由
別紙「調査報告書」記載のとおり。
第3 申立人らの主張 から抜粋
4 東京都による人権侵害
(1) 元知事は,東京都の代表者として本件各発言をしたのであるから,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法人法)78条や会社法350条等を援用するまでもなく,公権力による人権侵害の阻止・救済という人権保障の理念から,東京都も本件各発言による人権侵害を是正する法的義務を負うのは当然である。
(2) 第1 発言及び第2発言について,東京都人権施策推進課の担当者が「知事が政治家として発言したことを事務方がコメントできるものではない」と発言し,東京都として本件各発言に関与しないかのようなコメントをする等,行政側(東京都)から元知事に対する要望・指導その他の動きが見受けられない。
(3) 東京都議会において,二名の議員が質問や討論を行った以外に,第1発言及び第2発言を問題視して追及する動きがなく,東京都の人権侵害をいさめる役割が有効に機能していない。
(4) 上記(2)及び(3)の事実から,東京都は行政・立法双方の側から,元知事による人権侵害を黙示に追認し,加担している。
(5) 東京都は「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」5条に基づき,人権教育・啓発に関する施策の策定と実施の責務を負い,東京都府中青年の家事件の控訴審判決で「少数者である同性愛者をも視野に入れた,肌理の細やかな配慮が必要であり,同性愛者の権利,利益を十分に擁護することが要請されているというべきであって,無関心であったり知識がないということは公権力の行使にあたる者として許されない」と指摘されながら,その後,性的少数者の人権を擁護し,教育・啓発する具体的・実質的な施策を取っていない。
第4 調査の経過 から抜粋
2013年 5月9日 東京都知事本局から,前回と同様に,照会に対しては回答しない理由も含めて回答しないと電話で返答
第5 相手方からの反論・主張等
相手方らは,本件各発言についての二度にわたる照会に対し(2013年(平成25年)3月に行った二度目の照会では,具体的な回答がない場合は,照会内容について主張・反論はないと理解して申立てについて判断する旨を付記した。),いずれもその回答を拒否するだけではなく,回答を拒否することを文書で示すことも拒否し,回答を拒否する理由について明らかにすることも拒否する等,何らの見解も明らかにしなかった。そのため,相手方らからの反論・主張及び相手方から提出された証拠は一切ない。(略)
元東京都知事である石原慎太郎氏は、東京都知事であった時に、東京都庁を訪れて条例改正案の成立を求める要望書を提出した東京都小学校PTA協議会等5団体の代表者に対し、「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」等と発言した。
また、都政記者クラブ所属の記者から上記の発言の真意について質問を受け、「(同性愛者は)どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」等と発言した。
さらに、週刊ポストに掲載された記事において、「同性愛の男性が女装して、婦人用化粧品のコマーシャルに出てくるような社会は、キリスト教社会でもイスラム教社会でもあり得ない。日本だけがあってもいいという考え方はできない」等と主張(発言)した。
かかる各発言は、いずれも東京都知事としての発言であり、同性愛者等の性的少数者を蔑視し、社会から排除しようとする差別発言である。
また、性的少数者に対する差別あるいは差別意識を助長する発言であり、性的少数者の人権を侵害している。
石原氏が現在も衆議院議員であり、これまで日弁連が差別発言による人権侵害を二度にわたって指摘し、要望及び警告してきたことを踏まえ、同氏に対して他者の人権を侵害する差別発言をこれ以上繰り返さないよう強く反省を求め、再度警告した事例。
『日弁連HP』(2014/4/22)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2014/140422.html
※東京都知事による性的少数者差別発言に関する人権救済申立事件(警告)
日弁連総第3号
2014年(平成26年)4月22日
元東京都知事 石 原 慎太郎 殿2014年(平成26年)4月22日
日本弁護士連合会
会長 村 越 進
会長 村 越 進
警 告 書
当連合会は,Xほか2名の申立てに係る人権救済申立事件(2011年度第22号人権救済申立事件)につき,貴殿に対し,以下のとおり警告する。
第1 警告の趣旨
貴殿は,東京都を統轄し,代表する東京都知事であった時に以下の各発言を行った事実が認められる。
1 2010年(平成22年)12月3日,18歳未満の青少年の福祉を害するおそれがある書籍,雑誌,映画,がん具等の販売,頒布,貸付,観覧等について,自主規制を求めたり,不健全であることを指定したりすること等を定める東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「東京都青少年健全育成条例」という。)について,東京都庁を訪れて条例改正案の成立を求める要望書を提出した東京都小学校PTA協議会等5団体の代表者に対し,東京都知事として「子供だけじゃなくて,テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」等と発言した。
2 同年12月7日,都政記者クラブ所属の記者から上記1の発言の真意について質問を受け,東京都知事として「(同性愛者は)どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」等と発言した。
3 週刊ポスト2011年(平成23年)2月25日号45頁以下に掲載された記事「我欲の時代だからこそ軍隊経験で修練を」において,東京都知事として,東京都青少年健全育成条例による規制の必要性を説く前段で,日本を駄目にする「我欲を満たすための野放図な害悪」として「同性愛の男性が女装して,婦人用化粧品のコマーシャルに出てくるような社会は,キリスト教社会でもイスラム教社会でもあり得ない。日本だけがあってもいいという考え方はできない」等と主張(発言)した。
これらの発言はいずれも,東京都知事としての発言であり,同性愛者等の性的少数者(以下「性的少数者」という。)を蔑視し,社会から排除しようとする差別発言であるとともに,性的少数者に対する差別あるいは差別意識を助長する発言であり,性的少数者の人権を侵害している。そのため当連合会は,現在も衆議院議員であり,政党の共同代表でもある貴殿に対し,これまで差別発言による人権侵害を二度にわたって指摘し,要望及び警告をしてきたことを踏まえ,貴殿による度重なる人権侵害発言は極めて重大であると判断し,他者の人権を侵害する差別発言をこれ以上繰り返さないよう強く反省を求め,再度警告する。
第2 警告の理由
別紙「調査報告書」記載のとおり。
第3 申立人らの主張 から抜粋
4 東京都による人権侵害
(1) 元知事は,東京都の代表者として本件各発言をしたのであるから,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法人法)78条や会社法350条等を援用するまでもなく,公権力による人権侵害の阻止・救済という人権保障の理念から,東京都も本件各発言による人権侵害を是正する法的義務を負うのは当然である。
(2) 第1 発言及び第2発言について,東京都人権施策推進課の担当者が「知事が政治家として発言したことを事務方がコメントできるものではない」と発言し,東京都として本件各発言に関与しないかのようなコメントをする等,行政側(東京都)から元知事に対する要望・指導その他の動きが見受けられない。
(3) 東京都議会において,二名の議員が質問や討論を行った以外に,第1発言及び第2発言を問題視して追及する動きがなく,東京都の人権侵害をいさめる役割が有効に機能していない。
(4) 上記(2)及び(3)の事実から,東京都は行政・立法双方の側から,元知事による人権侵害を黙示に追認し,加担している。
(5) 東京都は「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」5条に基づき,人権教育・啓発に関する施策の策定と実施の責務を負い,東京都府中青年の家事件の控訴審判決で「少数者である同性愛者をも視野に入れた,肌理の細やかな配慮が必要であり,同性愛者の権利,利益を十分に擁護することが要請されているというべきであって,無関心であったり知識がないということは公権力の行使にあたる者として許されない」と指摘されながら,その後,性的少数者の人権を擁護し,教育・啓発する具体的・実質的な施策を取っていない。
第4 調査の経過 から抜粋
2013年 5月9日 東京都知事本局から,前回と同様に,照会に対しては回答しない理由も含めて回答しないと電話で返答
第5 相手方からの反論・主張等
相手方らは,本件各発言についての二度にわたる照会に対し(2013年(平成25年)3月に行った二度目の照会では,具体的な回答がない場合は,照会内容について主張・反論はないと理解して申立てについて判断する旨を付記した。),いずれもその回答を拒否するだけではなく,回答を拒否することを文書で示すことも拒否し,回答を拒否する理由について明らかにすることも拒否する等,何らの見解も明らかにしなかった。そのため,相手方らからの反論・主張及び相手方から提出された証拠は一切ない。(略)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます