《立川テント村通信から》
☆ 朝雲レポート 9/21~11/16号
★9月13日、内閣改造で木原稔が防衛大臣になった。木原は第2次安倍内閣では防衛大臣政務官をやっていた。7月の日本戦略研究フォーラムの戦争ごっこ、台湾有事シミュレーシヨンでは防衛大臣役をやっていた。空想が現実になっている?(9/21号)
★8月30日、海自の下総航空基地(千葉県柏市)でイーロン・マスクの衛星通信網「スターリンク」のシステムが報道陣に初めて公開された。3月から陸海空で実証実験を進めている。海上でも良好な通信環境が保てるということで隊員の生活環境が改善されて「海自の魅力化向上に」と書かれているが、ウクライナ戦争でも活用されていることから、当然、軍事用途にも使用するだろう(9/28号)。
★朝雲寸言。「歴史のイフ」を考える想像力は大事だ。もしも戦国時代に徳川が天下をとらず、日本が鎖国をしなかったら「欧米によるアジア植民地化は部分的には回避され、今頃は南太平洋地域やシベリア、米西海岸などに日本語を話す国々ができていたかもしれない。そんな壮大なイフを考えたりもする」そうだ。よく意味がわからないが、広大な大東亜共栄圏ができていたかもということか?妄想も大概にしてほしい(10/5号)。
敗戦で厭戦感情を抱いた庶民、軍事的無力化を狙った占領軍、日本を侵略しやすい状態に置きたい国際共産主義運動の3者が融合して「絶対平和主義者」が生まれた。しかし、ウクライナ戦争で「(左から右へ)軸足を移す」人々が出てきた。いま大事なのは「歪んだ考え方を若い世代に遺伝させない」ことだという。いまや「絶対平和主義者」などどこにいるのか。いわゆるわら人形論法というやつだ。こっちはもっと若い人に遺伝させなくちゃ(10/19号)。
★春夏秋冬。テレビに良く出てくるウクライナべったりの学者、岡部芳彦(神戸学院大)が寄稿。6月に「ウクライナ最高会議名誉章」を授与された。退避勧告が出ているのに授与式に出るためキーウを訪問。日本土産に日露戦争当時の戦いの版画や日本海海戦のZ旗を買って渡すと大いに喜ばれたという。やっぱりとんでもないヤツだった(10/12号)。
★「時の焦点」。朝雲では初めて今回のガザでの戦争に言及。外交評論家・草野徹がバイデンの「弱腰外交」が原因だと指摘。ハマスの背後にいるイランがイスラエル攻撃を事前に承認していたとの米紙を引用。トランプが離脱したイランとの核協議に復帰したバイデンを批判。「独裁者もテロリストも『強い』米大統領には一目置くのである」。強いイスラエルによる力による長年の支配が今回の戦争の原因ではないのか。いまや戦争というよりも一方的な虐殺に様相は変化している(10/26号)。
★10月22日、初の空での日米韓共同訓練が実施された。8月の3力国首脳会談での共同声明「キャンプデービツドの精神」を受けたもの。10月8日には海での共同訓練が実施されていた。今回は「九州北西空域」で米空軍のB52爆撃機を米のF16、空自のF2、韓国空軍のF15Kがエスコートしたという。この訓練前にB52は初めて韓国内の清州空軍基地に着陸していた。この訓練、安保法制成立後、空での米軍防護としてずっと行われてきたものだ。まさか韓国軍機とも編隊を組む姿を見るとは思わなかった。レーザー照射で対立していたころがまるではるか昔のようだ(11/2号)。
★11月3日~5日に岸田がフィリピン、マレーシアを訪問。フィリピンとは「円滑化協定」締結に向けた交渉の開始で一致。さらに、4月にできた「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を初適用することでも合意した。円滑化協定は豪、英に続いて3力国目。OSAは、日本企業の武器輸出の代金を日本政府が肩代わりするもの。フィリピンには日本初の武器輸出、三菱電機の警戒管制レーダーの売込みにも成功している。また、マレーシアともOSAの適用の調整や共同訓練の実施で一致した。中国包囲網構築のためのASEAN諸国との安保協力の動きに注目だ(11/9号)。
★3面に防衛研究所の西野正巳が寄稿。タイトルからして「イスラエルとハマスの交戦」。ひどい内容だ。ハマスが「イスラエルに侵入」「大規模テロ」「ハマスの非現実的な主張」。イスラエルには入植地を拡大したことをやや問題視しているくらいだ。こんな人がイスラム学というものを修めているらしい。(11/16号)。
『立川テント村通信』(2023年12月1日)
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