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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2018年12月13日/総合教育会議報告含む)

2018年12月18日 | 暴走する都教委
 ◆ すべては管理・支配をやめることから (レイバーネット日本)

総合教育会議配付資料「②教員OBを学校教育に活かす 1 教員の人材確保の現状」から

 議題に「懲戒処分者数等の推移及び服務事故防止に向けた主な取組について」が上がっていた。定例会に懲戒処分案件が上がらないことはなく、しかもその多くがわいせつ行為である現状を、都教委がどう分析し方針を出すのかが知りたかった。
 しかし、この案件は個人が特定される案件ではないのに、非公開案件とされた。この日も懲戒処分案件は、議案(停職・懲戒免職)にも報告(減給以下)にも上がっていた。
 ◆ 報告 「児童・生徒を支援するためのガイドブック~不登校への適切な対応に向けて~の作成について」
   ―― 机上の空論ではなく、具体的事実を検証することから対策が出せる

 東京公立小中学校の不登校の子どもが1万人(1.3%ほどか)を超え増加傾向にあることから、
 「すべての教員が、不登校の要因や背景を正しく理解した上で、児童・生徒の状況に応じた適切な支援を行われるよう」ガイドブックを作成したとの報告(都教委HPに掲載)。今年度中に全校に配布するとのこと。
 ガイドブックの内容は、支援の段階を「未然防止」「早期支援」「長期化への対応」に分け、
 「未然防止」では、「不登校が生じない魅力ある学校づくり」を挙げる。教職員が主導して児童・生徒の「居場所づくり」をし、それを基に児童・生徒が主体的に取り組む活動を通して「きずなづくり」ができるよう、教職員は「場」や「機会」の設定をする。4月には「1日になるべく多くの児童・生徒に話し掛ける」、9月には「児童・生徒間の関係を注意深く見守る」など、当たり前と思われる支援例を列挙する。
 「早期支援」では、支援の対象となる児童・生徒の状況を把握した(アセスメント)上で、管理職・学年主任・スクールカウンセラー等による登校支援会議で情報の共有と支援の方向性を検討し、「登校支援シート」を作成して、早期支援を開始する。状況に応じて、アセスメントの見直しや支援内容・方法の修正をする。アセスメントは「身体・健康面」「心理面」「社会・環境面」に分類して15項目を挙げ、例えば、「自己有用感」「自己肯定感」では「本人の良いところを多く見付け、言葉で伝えるよう心掛ける」などの支援例を列挙する。
 「長期化への対応」では、「本人や保護者とじっくり関わる」ことを組織的・計画的に行うとこを第一に挙げ、「本人や保護者と会えない・連絡が取れない場合は、直ちに子ども家庭支援センターや児童相談所等への通告を行うほか、警察などへの情報提供を行うなど」とする。
 教育委員からは、「子どもだけでなく、教員の『居場所』も必要」、「登校支援シート」作成に関して「個人情報の流出に注意が必要」との一言発言はあったが、「素晴らしい。ありがとうございます。」と事務方を労う発言がいつもながら。
 1年間にわたるいじめによる不登校の後、今年8月末に自殺に追い込まれた八王子市立中学校の生徒の件では、保護者は学校に度々相談したが、学校は対処しなかったことが報じられた。
 前々回の定例会でいじめの案件が出された際にも今回のこの案件でも、実際に起きてしまった事実について考察する発言はなかった。いつも、机上の空論、でしかない。
 子どもからも教員からも、「魅力ある学校づくり」=学校での「居場所」を奪ったのは都教委の管理主義・競走主義の施策だ。
 都教委は20年ほど前から、職員会議で決定し、教職員の総意で行ってきた協働の教育活動を壊してきた
 「魅力ある学校づくり」には全く意味のない書類の作成・提出や官製「研修」を次々に教員に指示し、子どもたちと向き合う時間を削らせ、学校行事や授業内容・進度までをも監視する。
 そしてそれを校長による人事評価で査定し、賃金に反映させる。
 そうなれば、学校に「居場所」がないと感じる教員が出る、仕事に対する意欲を保持できなくなるのは必然だ。
 校長も都教委による自身への評価を恐れて、「穏便に」済まそうとし、「いじめがあったとは知らなかった」となる。八王子の件でも、こうした観点から考察すべきと私は思う。都教委がすべきことはこのことであって、ガイドブックの作成ではない。
 ◆ 教育総合会議の議題は「高齢者人材を教育に活かす」
   ――こんなことで採用試験の倍率は上がらない


 「高齢者人材を教育に活かす」を議題に、
  ①「地域の高齢者と共に学校を支える」、
  ②「教員OBを学校教育に活かす」について、
 報告・交流がなされた。
 ①「地域の高齢者と共に学校を支える」では、中井教育長が、高齢者がどのようなことで学校と関わっているかの事例を示した後、(公財)ダイヤ高齢化社会研究財団の主任研究員・澤岡氏より「老年学から考える地元の『子ども』『学校が持つ意味』」についての話があった。
 ②「教員OBを学校教育に活かす」では、小・中・高校の校長各1人が招請されていた。
 小学校長は、自校で行う放課後後子ども教室について紹介した。「地元の高齢者が中心。英語や習字等を今年から加えた。学童クラブと連携し、子ども教室に参加してから学童クラブに行けるようにした。コーディネーターは校長がやる。意欲はあるが、きっかけのない高齢者を有効活用していくことができる」と。
 中学校長は「65歳の退職教員に部活動を担当してもらって良かった」と、高校の校長は「68歳の理科実習支援員に若手教員を指導してもらえてよかった」と発言。
 また、都教委が65歳の教員OBに「65歳を超えても働きたいか」を聞いたところ、「働きたい」と回答した割合が「82、2%」だったとのこと。
 これを議題としたのは、東京都の教員採用試験の応募者が深刻なほど減少しているからだろう。
 しかし、時間講師等で教員OBを安く使うことが、その解決策にはならない。教員の大幅定員増をして過労死ラインのオーバーワークを解消し、また、都教委が学校に介入し管理・支配することを止め、教員たちが働く喜びを実感できるようにすることこそが持続的な解決策だ。
 それはまた、子どもたちにとっても、「学校が楽しい」(学校に「居場所」がある)ことにつながる。
『レイバーネット日本』(2018-12-17)
http://www.labornetjp.org/news/2018/1213nedu
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