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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教科書を考える大泉さくらの会

2009年05月08日 | 平和憲法
 《趣意書》
 ▲ なぜ、わたしたちは「つくる会教科書」の採択に反対するのか
教科書を考える大泉さくらの会

 都立大泉高校(全日制)は、練馬地区中高一貫6年制学校に改編され2010年4月に開校する予定です。それに伴い今年夏、東京都教育委員会で中学校歴史教科書が採択されます。
 これまで開校した都立6年制学校6校(前身校は、白鴎、都立大付属、小石川、両国、北多摩、武蔵)ではすべて「新しい歴史教科書をつくる会」が主導し作成した扶桑社教科書(以下「つくる会教科書」)が採択されており、今回採択の4校(現・大泉、富士、三鷹、南多摩)もこの教科書が採択される可能性がきわめて濃厚と判断されます。
 以下、わたしたちが「つくる会教科書」の採択に反対する理由を説明いたします。

 「つくる会教科書」(扶桑社および自由社)も学習指導要領に準拠して編集されているので、一見普通の教科書に見えます。しかし、全部で21ある1ページ・コラムのトップは金色のトビが止まる弓をもつ神武天皇の東征伝承、ラストは昭和天皇であり、天皇崇拝の特異な歴史教科書です。
 本文の記述も、よく読むと、満州事変の原因として「中国人による排日運動もはげしくなり、列車妨害や日本人への迫害などが頻発した」(p196 以下扶桑社版のページ数)、日本の謀略である上海事変を「二人の日本人将兵が射殺される事件がおき、これをきっかけに日中間の衝突が拡大した」(p199)、「緒戦の勝利はめざましく」「たちまちのうちに日本は広大な東南アジアの全域を占領した」(p205)と謳い上げ、ミッドウェー海戦敗北以降も「日本軍はとぼしい武器・弾薬で苦しい戦いを強いられたが、日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」(p205)と、靖国神社の遊就館に展示されている皇国史観の歴史そっくりの叙述になっています。
 わたしたちは、こんな教科書を後輩たちに使わせたくありません。
 全国の市町村教育委員会の考えも同様でした。2005年の採択の際、「つくる会」は20万部以上のパンフをばらまく政治的な運動を繰り広げたにもかかわらず、採択率は非常に低く、2001年は0.04%、2005年は0.4%の採択率に留まりました。
 しかもこの教科書を採択した数少ない地区は、旧文部省出身者が知事の愛媛県立中学、山田宏区長の杉並区立中学、石原慎太郎知事の東京都立中学など「特別な事情」のあるところがほとんどです。
 これほど採択率が低いため、出版社である扶桑社は「同じものを出して、今の採択結果では、採算、ビジネスとして困る」と教科書出版事業から撤退を表明し、13人の執筆者グループのうち伊藤隆東京大学名誉教授、新田均皇學館大学教授らは脱退し、内容についての責任の所在もはっきりしない状態なので、教科書として使うには適切ではありません。
 また東京都教育委員会の採択システムにも問題があります
 東京都は2004年度以降の教科書採択に当たり、公立学校教員による教科書調査員が「学校の特色を考慮し、ア内容、イ構成・分量、ウ表記・表現及び使用上の便宜、について各教科書の違いが明瞭にわかるように調査研究すること」にしています。
 わたしたちにとって一番気になるのは「ア内容」ですが、「歴史上の人物を取り上げている箇所数」、「現在に伝わる文化遺産を取り上げている箇所数」など数値計算できる概括的な項目7項目、「北朝鮮拉致の記述の有無」、「神話・伝承の記述の有無」など留意点が4項目、各校の教育目標により異なる項目2項目の合計で評点を与える調査方法です。
 このなかの留意点は「学習指導要領に示していない内容」「北朝鮮による拉致問題の扱い」「神話や伝承を知り、日本の文化や伝統に関心を持たせる資料」「我が国の領域をめぐる問題の扱い」の4項目に限定しており、なぜ教科書採択でこれだけに限定するのか基準の取り方からしてきわめて偏っています。
 また「各校の教育目標により異なる項目」とはいうものの実際には「日本の文化・伝統を扱っている箇所数」「身近な学習資源を活用している箇所数」「課題、問いの数」などの数値調査だけで画一的です。これは当該校の教員が参加していない結果といえましょう。
 さらに都教委の教科書調査研究資料は、扶桑社教科書の「歴史上の人物を取り上げている箇所数」の「国家社会の発展に尽くした人物等」に、イザナギ命、イザナミ命、天照大神、スサノオノ命、大国主神(古事記)、神武天皇(初代天皇)という神話・伝説上の人物を6人とカウントしています。扶桑社教科書をなんとしても採択するための基準といわざるをえません。扶桑社教科書には確かに歴史上の人物が多数登場しますが、なかには会沢正志斎(尊皇攘夷)、孝明天皇(公武合体)、二宮尊徳(農政家)、徳川光圀(歴史地理研究)、本居宣長(国学)など、戦前の国定教科書にできる限り近づけようとする人物も含まれています。
 このように都教委の採択基準は、偏ったものです。そのひとつの証拠として、同じ6年制学校でも千代田区立九段中等教育学校(前身は都立九段高校)では「つくる会教科書」を採択していません(歴史的分野 帝国書院、公民的分野 東京書籍)。
 教科用図書選定審議会(教科書調査員が作成した教科書調査研究資料をもとに「採択案」を作成して教育委員会に答申する審議会)の委員にも練馬地区中高一貫6年制学校の教員は入っていません。
 いったい学校はだれのものなのか。生徒や教員のためになる教科書を採択し、前身校の長い伝統を生かすよう、採択方法を見直すべきです。
 また審議会の教科別分科会の審議内容は要約しかの議事録に公表されず、教育委員会定例会も無記名投票で全員一致の場合、審議すらされません。採択プロセスを透明化することを強く望みます。
 ぜひ、東京都教育委員会宛署名にご協力いただければと思います。

『教科書を考える大泉さくらの会』
(練馬地区中高一貫6年制学校への「つくる会」教科書採択に反対する会)
http://blog.goo.ne.jp/kyokasyo-ohizumi
※賛同署名はここから
 1 即時署名し発信できる電子署名はここをクリックしてください。
   http://form1.fc2.com/form/?id=420638
 2 署名用紙をダウンロードしたい方はここをクリックしてください。
    http://www5.famille.ne.jp/~ishihara/09.4.24ohizumi-syomeiyousi.pdf
第一次集約は6月20日(土)に締め切ります。

教科書を考える大泉さくらの会

呼びかけ人(2009年5月6日現在)
卒業生
 18期 林屋このみ、23期 渕田芳孝
 25期 剣持孝吉、佐藤敏之、山崎清史、吉川真司、松井奈穂
元保護者
 55期 丸浜江里子、56期 花岡陽子

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