★ 横浜事件の司法手続き完了 新聞公示、有罪から65年
戦時下最大の言論弾圧とされる横浜事件で、元被告5人(いずれも故人)を事実上無罪と認定し、遺族への刑事補償を認めた横浜地裁の決定のうち4人分の決定要旨が15日、新聞3紙(*)と官報に公示された。
もう1人分(**)も6月に掲載されており、治安維持法違反罪での有罪判決から65年、1次再審請求から24年を経て、5人の名誉回復を図る司法手続きがすべて完了した。
今年2月の地裁決定は事件を冤罪とし、計約4700万円の刑事補償を認めた。これを受け、遺族が刑事補償法に基づき、公示を求めていた。
地裁決定などによると、特高警察は雑誌「改造」の掲載論文を共産主義の宣伝だとして約60人を逮捕。改造の編集部員などだった元被告5人は1945年に有罪判決を受け、86年から相次いで再審請求。2008~09年に有罪、無罪に触れずに裁判を打ち切る「免訴」判決が確定し、遺族が補償請求した。
【共同通信】(2010/07/15 09:23)
http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010071501000205.html
(*朝日新聞、読売新聞、しんぶん赤旗)
(**6月24日公告済み)
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《もっと知りたい ニュースの「言葉」》
■横浜事件(2009年3月30日)
戦時中から終戦直前にかけての神奈川県の特高警察による言論弾圧事件の総称。雑誌「改造」に載った論文を共産主義の宣伝とし、富山県の旅館での出版記念会を「共産党再建準備会議」とみなすなどして、治安維持法違反容疑で改造や中央公論の編集者ら約60人を逮捕。30人以上が起訴され、大半は終戦直後に有罪判決を受けた。4人が獄死。元被告は全員が死亡。元被告や遺族が起こした再審1次、2次請求はいずれも棄却された。
■刑事補償(2000年4月21日)
刑事裁判で無罪や公訴棄却などの判決を受けた人に対し、拘置などの身柄拘束による損害を国が補償する制度。本人の請求に基づき、裁判所が経済的損失や精神的苦痛、捜査機関の過失の程度などを考慮して、拘置一日当たり一万二千五百円以下の範囲内で、補償金額を決定する。
■再審請求(2005年4月5日)
有罪判決確定後に事実認定の誤りが発見されたことなどを理由に、判決を受けた人や検察官が事件の再審理を求める救済手続き。裁判所が再審開始を決定すると、あらためて判決が言い渡される。刑事訴訟法435条6号の「証拠をあらたに発見したとき」との規定に従い、請求されることが多い。最高裁は1975年「白鳥事件」の再審請求審の決定で「疑わしきは被告の利益にという原則が再審にも適用される」と要件を緩和。確定死刑囚4人が相次いで再審無罪となった。
戦時下最大の言論弾圧とされる横浜事件で、元被告5人(いずれも故人)を事実上無罪と認定し、遺族への刑事補償を認めた横浜地裁の決定のうち4人分の決定要旨が15日、新聞3紙(*)と官報に公示された。
もう1人分(**)も6月に掲載されており、治安維持法違反罪での有罪判決から65年、1次再審請求から24年を経て、5人の名誉回復を図る司法手続きがすべて完了した。
今年2月の地裁決定は事件を冤罪とし、計約4700万円の刑事補償を認めた。これを受け、遺族が刑事補償法に基づき、公示を求めていた。
地裁決定などによると、特高警察は雑誌「改造」の掲載論文を共産主義の宣伝だとして約60人を逮捕。改造の編集部員などだった元被告5人は1945年に有罪判決を受け、86年から相次いで再審請求。2008~09年に有罪、無罪に触れずに裁判を打ち切る「免訴」判決が確定し、遺族が補償請求した。
【共同通信】(2010/07/15 09:23)
http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010071501000205.html
(*朝日新聞、読売新聞、しんぶん赤旗)
(**6月24日公告済み)
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■横浜事件(2009年3月30日)
戦時中から終戦直前にかけての神奈川県の特高警察による言論弾圧事件の総称。雑誌「改造」に載った論文を共産主義の宣伝とし、富山県の旅館での出版記念会を「共産党再建準備会議」とみなすなどして、治安維持法違反容疑で改造や中央公論の編集者ら約60人を逮捕。30人以上が起訴され、大半は終戦直後に有罪判決を受けた。4人が獄死。元被告は全員が死亡。元被告や遺族が起こした再審1次、2次請求はいずれも棄却された。
■刑事補償(2000年4月21日)
刑事裁判で無罪や公訴棄却などの判決を受けた人に対し、拘置などの身柄拘束による損害を国が補償する制度。本人の請求に基づき、裁判所が経済的損失や精神的苦痛、捜査機関の過失の程度などを考慮して、拘置一日当たり一万二千五百円以下の範囲内で、補償金額を決定する。
■再審請求(2005年4月5日)
有罪判決確定後に事実認定の誤りが発見されたことなどを理由に、判決を受けた人や検察官が事件の再審理を求める救済手続き。裁判所が再審開始を決定すると、あらためて判決が言い渡される。刑事訴訟法435条6号の「証拠をあらたに発見したとき」との規定に従い、請求されることが多い。最高裁は1975年「白鳥事件」の再審請求審の決定で「疑わしきは被告の利益にという原則が再審にも適用される」と要件を緩和。確定死刑囚4人が相次いで再審無罪となった。
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