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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 「佐渡金山追悼式」で自民党政府の加害歴史抹消策動

2024年11月27日 | 平和憲法

  《レイバーネット日本:アリの一言》
 ★ 「佐渡金山追悼式」は「生稲参列」だけが問題ではない

 日本の植民地支配下で朝鮮半島の人たちが強制労働させられ命を落とした「佐渡島(さど)の金山」で24日、日本政府主催(形式上は実行委員会)の「追悼式」が行われました。ところが、出席予定だった韓国の被害者遺族や韓国政府代表は直前で出席をとりやめる事態になりました(韓国関係者は25日に別途追悼式を開催)。

 遺族や韓国政府が出席をとりやめたのは、「日本政府を代表して参列する生稲晃子外務政務官過去に靖国神社に参拝したことを問題視した」(24日付京都新聞=共同)ためだと報じられています。

 確かに生稲氏が政府代表として参列したことは問題です。韓国政府は当初から次官級以上の参列を要求してきましたが、日本政府は直前まで代表を明かしませんでした。そして2日前の22日にようやく発表したのが生稲氏でした。

 2022年8月15日に靖国神社を参拝したと報じられていた生稲氏が出席すれば韓国側の反発は必至です。それを承知で生稲氏を政府代表に決めたことはきわめて挑発的と言わねばなりません。

 しかし、問題は「生稲参列」だけではありません。日本のメディアは報じていませんが、より根本的な問題があります。

 韓国の野党議員は21日、今回の「追悼式」の問題点を指摘する「共同声明」を発表しました。その内容・背景をハンギョレ新聞(22日付日本語電子版)がこう報じています。

<共に民主党・祖国革新党の議員たちは21日、共同声明書を出し…「(この追悼式は)『佐渡島の金山追悼式』として進められており、この追悼式が『強制動員された朝鮮人労働者』のための追悼式なのかさえ明白でない」と指摘した。佐渡鉱山には日帝強占期(日本による植民地時代)に朝鮮人が強制動員されたが、佐渡鉱山がユネスコ世界文化遺産に登録された7月、韓国と日本は強制動員被害者の追悼式を開くことで合意した。ところが、24日に新潟県佐渡市で開かれる初の追悼式は、強制動員の有無が分からないよう、「『佐渡島の金山』追悼式」として執り行われる…。
 野党議員たちは「両国が約束した初めての追悼式であるだけに、『佐渡鉱山』に刻まれた『日本による植民地時代の強制動員』という私たちの苦痛の歴史をもう一度振り返り、被害者を追悼できるようにすべきだった」と指摘した。>(22日付ハンギョレ新聞)

 名は体を表す。追悼式の名称をめぐっては、水面下でこんな動きもありました。

<(7月に世界遺産への)登録が確定した後、追悼式の開催をめぐる韓日協議は難航を続けていた。日本政府は式典の名称にも「感謝」という表現を入れると主張し、韓国政府は強制動員被害者に「感謝」を示すのは強制性を薄める趣旨だと読み取れるとして反対した。最終的には「『佐渡島の金山』追悼式」という曖昧な表現で妥協がなされた。>(21日付ハンギョレ新聞)

 日本政府はなんとしても世界遺産登録への韓国政府の賛成を取り付けるために、朝鮮人労働者に関する新たな展示を行うことと、「追悼式」の開催2点を公約しました。

 しかし、「相川郷土博物館」に展示された内容は、「強制労働」の文言がないことはもちろん、きわめて不十分なものになっています(写真中、9月12日のブログ参照)。

 そして今度は「追悼式」です。ここでも強制労働の事実を隠ぺいするため、名称に「感謝」という文言を入れることまで主張。結局、「佐渡島の金山追悼式」という曖昧な名前で韓国政府を納得させました。

 日本政府は「追悼の辞」がどのような内容になるかも明かしませんでした。結果、生稲氏が24日に述べたのは、「朝鮮半島から来られた多くの人々も含まれ、困難な労働に従事され、亡くなられた方々もおられる…亡くなられたすべての方々に改めて深い哀悼の意を表したい」というもので、朝鮮人労働者の死を「すべての方々」の死に埋没させるものでした

 佐渡金山も軍艦島(端島=長崎)も、自民党政府の戦略は一貫しています。植民地支配による強制動員・強制労働の事実を隠ぺいしたまま世界遺産登録を取り付け、朝鮮半島の人びとに対する日本の加害責任をうやむやにすることです。

 24日の「追悼式」が異常なものになった問題の本質はここにあります。こうした自民党政府の加害歴史抹消策動を絶対に許すことはできません。

『レイバーネット日本』(2024年11月25日)
http://www.labornetjp.org/news/2024/1732485415607sasaki


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