《レイバーネット日本:アリの一言》
★ 「憲法9条の碑」と非戦・非武の誓い
長野県上田市の「無言館」近くの木立の中に、新たに「憲法9条の碑」が建ちました。4日、市民約80人が参加して除幕式が行われました。
碑の高さは約2㍍。上部には親から子へ平和をつなぐ願いを込めてハトの親子。脇には憲法前文を記したプレートを配しました。
<きっかけは上田市など4市町村の「9条の会」連絡会代表の島田佳幸さん(89)が3年前に沖縄・宮古島で見た光景だった。9条の大切さを後世に伝えようと現地の住民が建てた碑とその熱意に感動し、「私たちの地域にも」と提案した。
場所は「無言館」の窪島誠一郎・共同館主が提供した土地に決まった。今夏から募金をスタートさせ、県内外から670件上約380万円が集まった。
除幕式では、上田市出身の編集者で作家の故・小宮山量平さんの長女、荒井きぬ枝さん(77)が賛同者を代表してあいさつした。
戦後まもなく『兎の眼』(灰谷健次郎)などの名著を出版した「理論社」を創業した小宮山さんは、戦時中、軍の上官として多くの若い部下を沖縄などの戦場に向かわせた。亡くなる2日前、もうろうとする意識の中で立ち上がり、「送り出したあいつらがいた」と言葉を発した。「あいつらに恥ずかしくないように生きる」。それが口癖だったという。
荒井さんはあいさつの最後をこう締めくくった。
「抑止力とは軍備でも、まして核の共有などでは決してない。何も持たないこと、素手でいることこそが一番の抑止力。それをうたい上げた9条を、いまこそ大事にしなければいけない」
9条の碑の建立はここ数年、全国各地で広がっている。除幕式にメッセージを寄せたジャーナリストの伊藤千尋さんによると、2年前に全国で20基余りだった碑は40ほどに増え、来春には50を超すという。>(8日付朝日新聞デジタル・要約)
伊藤千尋さんは著書『非戦の誓い・「憲法9条の碑」を歩く』(あけび書房2022年)でこう書いています。
「2022年にロシアがウクライナを侵略しました。それを見て、「9条で国を守れるか」と声を荒げる人がいます。それは違います。…「国を守る」という発想は、往々にして国境の向こうを敵国と想定しがちです。それは軍拡競争を招き、下手をすると戦争に発展します。9条の発想は、自国民だけでなく相手の国民も守ろうとします。言うならば「9条は人類を守る」のです」
9条が「非戦」の条文であることはだれも否定できないでしょう、しかしそれだけではありません。9条は「非武」の条文でもあるのです(第2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」)。
荒井さんが言われた通り、「何も持たないこと、素手でいることこそが一番の抑止力」なのです。
9条の碑がこの2年間で倍増しているのはウクライナ戦争と無関係ではないでしょう。そこに一条の希望の光を見ます。
その9条の碑を、「非戦の誓い」とともに、「非武の誓い」ともしたいものです。
『レイバーネット日本』(2024年11月15日)
http://www.labornetjp.org/news/2024/1731621778878sasaki
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