パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 2024年日教組全国教研集会【平和教育分科会】レポートから

2024年07月14日 | こども危機

  =第73次日教組全国教研集会【平和教育分科会】(2024年1月26日~28日札幌)報告=
 ★ 今だからこそ、平和教育を実践しよう! 東京K

 若い人たちが力強い! 対面で直接の報告、活発な議論と交流一 4年ぶりの対面方式のなかで感じました。平和教育にとり組む環境が厳しいなかで、多くの県からそれをうち破るような若い世代の力を感じることができました。
 分科会報告は23本、平和教育にとり組むことで子どもたちに変容をつくりだし、とりわけ実践した若い教員が大きく成長をとげたことが伝わってきました。
 初日、共同研究者の清末愛砂さん(室蘭工業大学)が悲しみと憤りをこめてガザの現状を報告され、参加者一同、しっかりと受け止めました。
 ウクライナ侵略、ガザへの無差別攻撃を止められない現在、子どもたちはTV等の報道に不安になったり、心を痛めたり、「何かできることはないか」などと考えたりしています。
 私は岸田政権が基地強化、軍拡、改憲の動きを加速させている今だからこそ、平和教育の実践が重要ではないかと考え分科会に参加しました。

◆平和教育の原点『はだしのゲン』は不滅-教室に『はだしのゲン』を!

 広島市が2023年度から「ひろしま平和ノート」から削除した『はだしのゲン』(中沢啓治)を題材にした実践が多くの県から報告されました。「はだしのゲン」の平和教材としての価値が不滅であることが再確認されました。

○広島・小
 軍国主義教育、天皇の戦争責任、米の原爆投下、被爆の惨状、在日朝鮮人に対する差別、被爆者への差別などが描かれていてとらえやすい教材。

○大阪・小
 中沢啓治さんは生前「どれだけ犠牲を払って、平和と憲法第9条を手に入れたか。絶対変えちゃいけん」というメッセージを遺し、墓石には「人類にとって最高の宝は平和です」と刻まれている。『はだしのゲン』には作者の伝言が込められている。読み聞かせたり子どもたちが愛読し感想を交流し合うなかで、戦争のみならず、学級のなかの差別に気づいて、それを超えていった。

○北海道・小
 ウクライナからの避難民の子どもを受け入れていることもあり、「今こそ、改めて戦争についてしっかり考える機会が最重要」と学芸発表会で平和劇「はだしのゲン」に取り組んだ。子どもたちはとても好意的で役作りのために「履歴書づくり」をした。配役された人物を想像し、なりきるためには真実を知る必要がある。年齢は?どこに住んでいた?どんなことを考えていた?学びを深め、戦争の実相に迫っていく。被爆の場面の『水ヲ下サイ』(原民喜)の朗読には思いが込められていた。同時に、実写版「はだしのゲン」の視聴や『にんげんをかえせ』(陳三吉)、『戦争の作り方』(りぼんプロジェクト)などで学びを深めた。

◆平和教育を・・・歌で、カレンダーで、地域・地元教材で

○佐賀・小 「さとうきび畑」(寺島尚彦作詞・作曲)の実践
 「沖縄戦」の学習の流れを変えた。これまでは最後に歌っていた「さとうきび畑」を先に歌うことに。1番は情景、2番は連合国軍の上陸、3番は艦砲射撃を歌ったもの。
 1番を導入に「どこのことを歌った歌か?」と問い、2番で78年前、唯一の地上戦が行われた。3番では、住民1人当たり50発に相当する艦砲射撃が行われた。
 その後「集団自決。中学生(現在の中学・高校生)も戦争の手伝いをさせられた。戦没者は約20万人。6月23日は「慰霊の日」などについて伝えた。
 その後、歌詞を配布、2、3、8、10番を歌う。歌詞の意味を考えながら写真を見たり、話を聞いたりすることで子どもたちの心に迫るものがあったようだ。報告を聞いていて、私は、この実践は沖縄修学旅行の事前学習に参考になるなあと思いました。

○横浜・小、中 平和教育カレンダー 今日は何の日?

5.3  憲法記念日、
6.23 沖縄慰霊の日、
8.6  広島原爆投下、
8.9  長崎原爆投下、
8.15 敗戦、
9.1  関東大震災、朝鮮人虐殺、
12.8 太平洋戦争開戦、
3.1  第五福竜丸被曝、
3.10 東京大空襲、
3.11 東日本大震災、福島第一原発事故等々。

 合わせて、3歳と1歳の幼児が死亡した横浜での米軍ジェット機墜落事故(9.27右の写真)をはじめ各地域の空襲や米軍事故などの日を学校や学年などでこのカレンダーを使って学習。

〈空襲など地域教材・地元教材に目を向けた学習を〉

○東京・小
 大田羽田地域で戦後、米軍に土地が接収された。地元で起きた身近な教材。ウクライナにに重なる。絵本『羽田九月二十一日』(野村昇司)をスライドにして読み聞かせた。

○長野・小
 慰霊碑と夥しい数の名前が彫られたプレートをはめ込んだ碑を子どもたちと発見。満蒙開拓団記念館から戦争の実相を学び、慰霊碑の芳名を魂の記録としてデータベース化した。

○岩手・小(似内駅、花巻)、○三重・小(尾鷲)、○兵庫・小(姫路・宝塚)、○岡山・小(岡山)、○福岡・小(雷山)
 「△△にも戦争、空襲があった」ことを堀りおこす。


◆委員会活動で「平和の歌」を紹介・・・様々な手法で平和教育を

○沖縄・小
 沖縄で結成されたロックバンド「モンゴル800」の「ひめゆりの詩(うた)」の曲を放送委員のふたりでラジオドラマふうに紹介。

B:モンパチ(モンゴル800)が、沖縄戦の時の高校生(ママ)のことを歌った歌があるんだよ。
C:え~っ!戦争の時の高校生って、何していたの?
B:男の子は、兵隊といっしょに戦場に行かされて、女の子は、戦争でけがをした兵隊の手術を手伝ったりしたみたいだよ。
C:こわいね~。高校生でもまだ子どもなのに考えられないね!~略~
B:その人たちのことを歌にしたのが、モンパチなんだよ。
C:では、モンゴル800で「ひめゆりの詩」、どうぞお聞き下さい。

 他にも修学旅行、社会見学、平和集会、平和を考える学習コーナーづくり、新聞作り、絵本の読み聞かせ、紙芝居、朗読劇、音楽劇、演劇教室鑑賞等の実践。

6月平和月間に放送した「平和の歌」♪
 海勢頭豊「月桃」
 森山良子「さとうきび畑」
 ネーネーズ「平和の琉歌」
 さんご「いのちのリレー」
 仲里幸広「平和の鐘」
 HY「時をこえ」など

 北海道のレポーター「平和は守ろうとしなければ、すぐに失われてしまうものである」と語っていたことが強く心に残りました。今、平和教育は重要です。全国の実践に学び、ヒントをもらってつくりだしていこうと思いました。さいごに、印象に残った参加者お二人の声を紹介します。

 「最近、平和が大切な感じがしていて…」「平和教育ってどうやっていいか分からなくて…」同僚の言葉が強く心に残ったが、現実は管理職の目を気にして学力向上を優先したり、日常的な「多忙さ」ゆえに平和教育は後回しに…。でも同時に、心の中で「ざわざわ」するものを感じていた。先輩たちがつないでくれた平和教育を「ともにつくりひろげなければ」と危機感のようなものを感じてとり組んだ。(九州地方・小)

 とり組む前は体験していない「戦争」をどう扱えぱよいか、平和学習を通して子どもに何を伝えられるか、伝えるべきことは何かと考え、悩んでいた。しかし、学習を進めるなかで、教員も子どもと一緒に学び、考えていくことも大切だと気付くことができた。不安を抱えた一歩だったが、思い切って踏み出し、挑戦してよかったと感じている(中国地方・小)

 「戦争が廊下の奥に立ってゐた」(渡辺白泉1939年)ような今だからこそ、あらためて教室から平和教育をつくりだしていきたいと思いました。

『平和教育通信 第160号』(2024年5月)

 


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