一一新たな世代との闘いの輪を広げよう一一
◆ 「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会報告
7月21日、表題の集会が120名以上の参加を得て大阪で開催されました。
今回何より収穫であったのは、中学生の保護者から、子どもが自らの意志で斉唱に反対し、不起立の意志を担任・校長に伝え、友人にも理解を広げていったとの報告を受けたことです。
様々な同調圧力の中で、強制に対する抵抗が若い世代とも繋がり始めています。参加者は新たな息吹に勇気づけられ、闘いの輪を広げる決意を新たにしました。
◆ 高作さん講演一人権侵食に抗う多数派形成を
関西大学教授・高作正博さんに「内心の監視・規制と戦時体制一不起立処分が招いた日本社会の現在」と題して講演いただきました。
高作さんは、基本的人権そのものを否定する自民党「改憲草案」の「暴力性」を確認し、人権がじわじわ侵食されている事例(例えば、「日の君」への敬意強制)を挙げ、その危険性を批判しました。
さらに、「少数派」を、政府にたてつく「国民の敵」と煽り立て、日本が米国等と共に「戦争する国」へと突き進む結束固めに利用する企みに警鐘を鳴らしました。少数派同士が結束して多数派を形成しようと訴えました。
◆ パネルディスカッションー軍事化が進む中での希望の芽
パネラーは、不起立であとは「免職」しかない「停職6月」処分を強制された東京の根津公子さん、「日の君」による人権侵害を博士論文にまとめようとしている熊本大学の横塚志乃さん、先述の中学生の保護者、水谷麻里子キャロラインさん、そして高作さん。
根津さんは、停職中も毎日校門前に出勤し、子どもたち・地域の人たちと対話した自らの闘いを通じての、「異論排除」の現実とその苦しさにまで言及。
横塚さんは、日本の学生が、権力に対抗するコミュニケーションスキルを身に付けるべきだと強調。
そして水谷さんからは、娘さんが小学校卒業式で起立斉唱を拒否したいというと、担任・管理職から40分も説得されたこと、中学校入学式でも不起立を通したが、新入生代表スピーチの文章を書き替えられた等理不尽な事実があったこと、さらに一連の取り組みを支え続けてくれたのは、闘いを続けている大阪の教職員だったこと、SNS等のバッシングに怯まなかったこと、担任含め、理解してくれる教員、友人等も出てきたことなど元気の出る発言がありました。
さらに福島原発で京都に避難してきたが、原発問題を口に出せないでいた生徒とも友人になったとのことです。
◆ 特別報告と各地からの報告一一粘り強い闘いの交流
東京と大阪の裁判原告からの特別報告が最初にありました。東京の川村佐和さんからは、東京「君が代」裁判五次訴訟の状況と新たな攻撃の現況が報告されました。「君が代」被処分者は、教員不足にもかかわらず、退職後の時間講師にも雇われないことへの怒りが表明されました。
大阪の奥野泰孝さんは、「合理的配慮」を争点とする裁判の「最高裁棄却」を受けて、原告の訴えを完全に無視する最高裁の姿勢を糾弾しました。
◆ 次いで各地からの報告。
①「『君が代』調教NO!」裁判原告松田さんから「子どもの権利条約」を活用した卒業式そのものを問い直す闘いの方針、
②吹田の梅原さんからは、吹田市小中学校における「君が代」暗記調査を進める市教委を押し返した市民運動の広がり、
③神奈川「教育と個人情報を考える会」の外山さんからは、「日の丸・君が代」不起立調査と、生徒データ蓄積と個人情報保護法さえ守られぬ実態、全国学テのオンライン化の問題点、
④千葉高教組石井さんから、長時間労働・多忙化、「校務の効率化」による職場環境の悪化といった学校現場の問題点の指摘、
⑤「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」の岸さんからは、平和教育の破壊の現状、「核抑止」を正当化する教育の広がり、イスラエル招待を含んで原爆の日を迎える危険性の訴え、
⑥「憲法と教育を守る愛知の会」小野さんからは、河村たかし名古屋市長の再三の問題発言、「皇国史観」に基づく令和書籍等の教科書採択を許さない取り組み等が報告されました。
◆ 連帯報告一一様々な闘いとの交流・連帯
最後に様々な闘いを担っている人々から連帯の報告がありました。
①「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」から、育鵬社・自由社・令和書籍教科書の不採択を求め、教科書採択の教育委員会への市民監視を強めようとの呼びかけがありました。
②高槻市の市民からは、自衛隊への個人情報提供を即刻中止することを求める闘いが報告されました。
③「ガッツせんべい応援団」からは、久保元校長の「提言書」が発端となった「文書訓告」処分をめぐるこれまでの活動の経過、「文書訓告」取り消しを求める意味、「対話」を重視する活動の紹介がありました。
④「奈良教育大学附属小を守る会」からは、奈良教育大学付属小学校が民主的に取り組んできた教育課程の自主編成を、文科省と奈良県教委から送り込まれた校長によって「不適切」とされ、「法令違反」と報じられた事態が説明されました。今年4月には教員半数が強制出向・強制配転させられ、常勤4人が欠員のまま。出向させられた教員3人は同じことを繰り返さすまいと提訴しました。その支援が訴えられました。
⑤「夢洲カジノを止める大阪府民の会」からは、「万博への学校行事による子ども動員反対」の取り組み報告がありました。有害物質による健康被害の懸念、ガス爆発事故の可能性、避難が不可能など、府教委に回答を求めましたが、いずれも子ども招待事業の主催者の責任ある回答は返ってきませんでした。改めて「『子どもたちを万博へ招待する事業について再考するよう』教育委員会会議で議題にすることを求める請願書」を提出した、とのことです。
最後に、⑥「軍学共同反対連絡会」事務局より、「大学と学術を軍事に動員する動きを許してはならない」との訴えがありました。現在の教育は、自分で熟慮し判断する子どもを育てるのではなく、国や企業の定めた枠組みの中で「主体的」に行動できる人材の育成を狙っている。教育DXは子どもたちに『最適』なプログラムではできないのは自己責任だと思い込ませ、『協働』を規範意識の遵守に流し込んでいる。大学の法人化は大学の自治、研究の自由と独立性を破壊する、学術会議攻撃の背景に学術の軍事動員があること等を暴露しました。
集会の最後は、梅田までのデモで締めくくられ、「『日の丸・君が代』強制反対」等を市民に広く訴えました。
『「日の丸・君が代」強制反対、不起立処分を撤回させる 大阪ネットワークニュース 第32号』
2024年9月15日発行
〒540-0038 大阪市中央区内淡路町1-2-11
シティーコープ上町402 共同オフィースSORA気付
「日の丸・君が代」強制反対大阪ネット
https://no-hinokim-osaka.net/
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます