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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「授業してたのに処分事件」裁判 完全勝訴 弁護団声明

2013年12月20日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 「授業をしていたのに処分」事件東京地裁判決を受けて
 1 本日,東京地方裁判所民事第19部(古久保正人裁判長〉は,「授業をしていたのに処分」事件の原告福嶋常光に科された減給10分の1・6月の懲戒処分を取り消すとの判決を言い渡した。
 本件は,2005年3月卒業式の国歌斉唱の際に,原告が起立しなかったことを理由として減給10分の1・1」1の懲戒処分が科され,それに伴う「再発防止研修」を受講するよう命じられたが,同日は勤務校において5時間の授業が予定されていたこと等から、時間割通りに授業を行っていたところ,研修不受講を理由として減給10分の1・6月の懲戒処分を科されたものである。
 なお,2005年3月卒業式に関する減給10分の1・1月の処分については,本年9月6日の最高裁判決により処分の取消しが確定している。
 2 本件は,授業を行っていた教員に懲戒処分が科されるという前代未聞の事件である。
 再発防止研修の実施日として通知された2005年9月13日には,原告には5時間の授業が予定されており,しかも,時間割の変更や他の教員の代講によって授業の実施は不可能であった。特に,自習にした場合,生徒は授業を受ける機会を失ってしまい,生徒に被害が及んでしまう。そこで,原告は,都教委に研修目程の変更を求めたものの,都教委は日程変更が可能であったにもかかわらず,何の理由もなく変更を拒否した。
 原告は授業を行い,結果として研修を受講することができなかったものであるが,当該不受講に対し,国歌斉唱の義務付けの累積加重処分システムの一環として,減給10分の1・6月という加重処分が行われた。
 本件懲戒処分が科されるにあたり,原告が生徒への影響を避けるため授業を行ったことについては何らも考慮されず,研修を受講しなかった事実のみを取り上げ重い処分がなされたものである。
 本件懲戒処分は、都教委の関心がただただ国歌の起立斉唱の義務付けを貫徹することだけにしかなく,そのためであれば,生徒の授業に支障が出ても構わない,生徒の授業への影響や教員の授業を行う職責には何らの配慮もしないとする,都教委の異常な姿を示すものとなっている。
 3 今日の判決は,本件懲戒処分が国歌の起立斉唱の義務づけのための累積加重処分システムの一環として行われたことを認め,不起立行為に係る処分に伴う再発防止研修について「起立斉唱に係る職務命令違反に対する否定的評価当に係る歴史観ないし世界観等とは無関係であるとは考えがたい」として,再発防止研修の受講の強制が思想良心の自由との緊張関係を持つことを認めた。
 その上で,「原告は,本件研修にっいても確定的に不受講の意向を示していたわけではなく,同研修予定口に既に授業が予定されていたことから,……その期日の変更を求めていた」ことを認め,再発防止研修の不受講について「原告が本件研修予定日には,出頭できない旨予告した上で研修センターに赴かなかったにすぎず,それ以上に積極的な加害行為を行ったものではない」として,原告が授業を実施していたことが何ら公務員秩序に対する加害行為ではないことを認めた上で,本件懲戒処分の量定が重きに失し,社会通念上著しく妥当を欠くとして裁量権の逸脱濫用の違法を認めた。
 4 私たちは,今日の判決が,国歌斉唱の義務付けを貫徹する目的でなされた本件懲戒処分を,都教委がその裁量権の逸脱・濫用したものであって違法と断罪したことを高く評価したい。
 これは,2012年1月16日最高裁判決および2013年9月6日最高裁判決と並んで,都教委が推し進めてきた国歌の起立斉唱の強制に対し,懲戒処分をもって教職員に起立斉唱を義務付けることを否定したものというべきである。
 国歌の起立斉唱の義務付けは,少なくとも個人の思想に対する間接的制約であることは最高裁判決においても明らかにされているところである。間接的制約であっても,繰り返し義務付けが行われ,その義務違反が累積し処分が加重される仕組みが許容されるならば,起立できない者にとって,「思想」の転向を強要する仕組みとして機能することになる。
 今日の判決は,懲戒処分が違法であるとしたものであるが,懲戒処分を「思想」転向強要システムとして利用することを否定したものとみるべきである。
 5 本判決は,懲戒処分をもって教職員に起立斉唱を義務付けることを否定したものというべきであって,国歌斉唱時の不起立を理由とした教職員の懲戒処分が許されないことを明らかにしたものであり,都教委に対し,これまでの国歌斉唱の強制政策の反省と転換を求めるものである。
 また,原告に対しては,2005年3月の卒業式に関する減給10分の1・1月の処分,2006年3月の卒業式に関する停職1月の処分の取り消しがすでに確定している。本件懲戒処分について,もはや,減給10分の1・6月という苛烈な量定が許容され得ないことは明らかであり,本件懲戒処分が,裁量権を逸脱濫用した違法な処分であることが揺らぐことはあり得ない。
 都教委は,司法の判断を誠実に受け止め,いまも繰り返されている国歌の起立斉唱の義務付けのための懲戒処分を撤回するとともに,本件について控訴することなく解決を図るよう求めるものである。
 この判決を機会に,教育現場での国歌斉唱の義務付けをはじめとする、教育現場に対する権力的介入に反対するわたしたちの訴えに,皆様のご支援をぜひともいただきたく,広く呼びかける次第である。
 2013年12月19日
「授業をしていたのに処分」事件 原告 福嶋常光
「授業をしていたのに処分」事件 弁護団


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