《前田朗ブログから》
◎ 国際司法裁判所の捕鯨中止命令に思う
3月31日、国際司法裁判所(ICJ)が、日本による調査捕鯨には科学的目的が認められないとして、南極海における捕鯨を中止する命令を下した。日本の調査捕鯨は国際法違反としてオーストラリアが訴えて、日本がこれに応訴した訴訟だ。
クジラ大好き人間の私としては大変残念だ。
せせり・さえずり、さらしクジラ、百尋、刺身ステーキ、本皮、鹿の子、ベーコン、コロ・・・。食べられなくなってしまう。尾の身の刺身はとうの昔になかなか食べられなくなった。
ICJに行ったのが間違いだ。100%負けるとわかっていたのだから。
元グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳さんの本『日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』を読んで、捕鯨反対の理屈に全面反論できなかったのを覚えている。
現在の国際法と、環境保護思想と、日本の捕鯨の実態を前提とすると、残念ながら「くじら、おいしいのに」という反論しか残らなかった。
と思っていたら、朝日新聞4月1日2面に驚愕の見出しを発見。
「日本捕鯨まさかの完敗」。
何、これ?という感じだ。出るところに出れば100%負けると決まっていたのに、「まさかの完敗」などと書いている。これは外務官僚の感想だと言う。
朝日によると、「日本政府内では、日本に有利な判決が出るとの見方が強かった」、「首相周辺は『売るほどは捕るな、と言いつつ、調査捕鯨自体は認める形に落ち着くのではないか』と楽観的な見通しをかたっていた。ある外務省関係者は『日本が勝ちすぎると、欧米などの反捕鯨感情を刺激するのではないか』と余裕を示していたほどだ。」という。
開いた口がふさがらない。
首相周辺と外務官僚は底抜けのおバカさん。何もわかっていない。私のような素人でもわかることだ。
第1に、捕鯨をめぐる国際世論・国際感情が国際捕鯨取締条約制定時よりも厳しくなっている。捕鯨だけではなく、他の環境保護、自然保護とつながって、現代思想の一翼にさえなっている。
第2に、科学目的の調査捕鯨と称して大量に殺害し、その大半を海に捨ててきたことが発覚している。証拠写真までそろえられている。
一方で、おいしい部分だけ日本に持ち帰り、闇で横流しして市場に出してきた。こんなことが発覚していては勝てるはずがない。
第3に、2008年のグリーンピース事件だ。闇の横流し不正を告発するために現場を押さえて公表したグリーンピースメンバーを、なんと処罰してしまった(2011年最高裁で確定)。
不正を告発した人間を捕まえて犯罪者に仕立てて処罰し、不正を隠蔽したのだ。日本政府が意図的に不正の「共犯者」になった。
この件は国内でも大きく報道されたが、国際社会でも知られている。ICJの審理に直接取り上げられてはいないかもしれないが、背景事情としては極め付きに大きい。完全にアウトだ。
この件によって、日本の捕鯨の実態が世界に知られてしまったからだ。こんな状況でICJに行くこと自体間違っている。
応訴せずに、ひたすら逃げ回るべきだった。その間に、調査捕鯨の枠を徐々に狭めて、なんとか国際世論の容認する範囲にとどめて行けば、なんとかなったかもしれない。
何一つ根拠もなしに「勝てる」などと妄想を膨らませ、国際法も国際情勢も読めない無能な外務官僚のせいで、クジラが食べられなくなる。情けない。
『前田朗Blog』(Monday, March 31, 2014)
http://maeda-akira.blogspot.ch/2014/03/blog-post_31.html
◎ 国際司法裁判所の捕鯨中止命令に思う
3月31日、国際司法裁判所(ICJ)が、日本による調査捕鯨には科学的目的が認められないとして、南極海における捕鯨を中止する命令を下した。日本の調査捕鯨は国際法違反としてオーストラリアが訴えて、日本がこれに応訴した訴訟だ。
クジラ大好き人間の私としては大変残念だ。
せせり・さえずり、さらしクジラ、百尋、刺身ステーキ、本皮、鹿の子、ベーコン、コロ・・・。食べられなくなってしまう。尾の身の刺身はとうの昔になかなか食べられなくなった。
ICJに行ったのが間違いだ。100%負けるとわかっていたのだから。
元グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳さんの本『日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』を読んで、捕鯨反対の理屈に全面反論できなかったのを覚えている。
現在の国際法と、環境保護思想と、日本の捕鯨の実態を前提とすると、残念ながら「くじら、おいしいのに」という反論しか残らなかった。
と思っていたら、朝日新聞4月1日2面に驚愕の見出しを発見。
「日本捕鯨まさかの完敗」。
何、これ?という感じだ。出るところに出れば100%負けると決まっていたのに、「まさかの完敗」などと書いている。これは外務官僚の感想だと言う。
朝日によると、「日本政府内では、日本に有利な判決が出るとの見方が強かった」、「首相周辺は『売るほどは捕るな、と言いつつ、調査捕鯨自体は認める形に落ち着くのではないか』と楽観的な見通しをかたっていた。ある外務省関係者は『日本が勝ちすぎると、欧米などの反捕鯨感情を刺激するのではないか』と余裕を示していたほどだ。」という。
開いた口がふさがらない。
首相周辺と外務官僚は底抜けのおバカさん。何もわかっていない。私のような素人でもわかることだ。
第1に、捕鯨をめぐる国際世論・国際感情が国際捕鯨取締条約制定時よりも厳しくなっている。捕鯨だけではなく、他の環境保護、自然保護とつながって、現代思想の一翼にさえなっている。
第2に、科学目的の調査捕鯨と称して大量に殺害し、その大半を海に捨ててきたことが発覚している。証拠写真までそろえられている。
一方で、おいしい部分だけ日本に持ち帰り、闇で横流しして市場に出してきた。こんなことが発覚していては勝てるはずがない。
第3に、2008年のグリーンピース事件だ。闇の横流し不正を告発するために現場を押さえて公表したグリーンピースメンバーを、なんと処罰してしまった(2011年最高裁で確定)。
不正を告発した人間を捕まえて犯罪者に仕立てて処罰し、不正を隠蔽したのだ。日本政府が意図的に不正の「共犯者」になった。
この件は国内でも大きく報道されたが、国際社会でも知られている。ICJの審理に直接取り上げられてはいないかもしれないが、背景事情としては極め付きに大きい。完全にアウトだ。
この件によって、日本の捕鯨の実態が世界に知られてしまったからだ。こんな状況でICJに行くこと自体間違っている。
応訴せずに、ひたすら逃げ回るべきだった。その間に、調査捕鯨の枠を徐々に狭めて、なんとか国際世論の容認する範囲にとどめて行けば、なんとかなったかもしれない。
何一つ根拠もなしに「勝てる」などと妄想を膨らませ、国際法も国際情勢も読めない無能な外務官僚のせいで、クジラが食べられなくなる。情けない。
『前田朗Blog』(Monday, March 31, 2014)
http://maeda-akira.blogspot.ch/2014/03/blog-post_31.html
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