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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

靖国参拝訴訟の傾向

2006年08月20日 | ノンジャンル
  ●靖国参拝訴訟●
 ■確定判決は全て違憲


 日経新聞のスクープによる「昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀に不快感」という記事でにわかに靖国神社そのものの存立基盤がクローズアップされてきた。靖国神社という宗教法人が国家神道に密接に連関していることは明白ななかで、一国の首相が靖国参拝を強行することは違憲の疑いがあることは、この間の違憲訴訟ではっきりしている。各地で提訴されている判決を検討してみる。

 これまで学者や文化人、市民が提訴してきた靖国訴訟は、首相の参拝が憲法で定められている政教分離の観点から公務性の判断、そこからくる憲法判断、参拝による国民の権利侵害に対する損害賠償権の有無を争点として争われてきたが、確定判決から見ると違憲であることが大勢だ。
 古くは91年の「岩手靖国訴訟」で仙台高裁が、天皇や首相の公式参拝を「明確な宗教的行為」として、92年には中曽根首相の公式参拝について福岡高裁が「継続すれば違憲」、同年大阪高裁が「違憲の強い疑い」としている。
 04年の福岡地裁は、「小泉首相の参拝は職務の執行に当たる」と指摘した。さらに、従来の政教分離訴訟で判断基準とされてきた「目的効果基準」に基づくなどの綿密な検証を行った結果、首相の参拝は憲法違反であるとの結論を導いた。

「政治目的は明らか」
05年、高裁が初の違憲判決


 05年の千葉訴訟での東京高裁判決は、参拝を私的として合憲としたが、公的なら違憲の疑いとした。
 大阪高裁(二次訴訟)は05年9月30日(大谷正治裁判長)の判決で、高裁判決としては全国で初めて、小泉首相の靖国参拝に違憲判決を出した。
 判決は、①参拝は、首相就任前の公約の実行としてなされた、②首相は参拝を私的なものと明言せず、公的な参拝であることを否定していない、③首相の発言などから参拝の動機、目的は政治的なものである、などと指摘し、「総理大臣の職務としてなされたものと認めるのが相当一と判断した。
 さらに、参拝は客観的に見て極めて宗教的意義の深い行為と認め、国内外の強い批判にもかかわらず参拝を継続しており参拝実施の意図は強固だったとして「国は靖国神社と意識的に特別のかかわり合いを持った」と指摘した。「国と靖国神社との関わり合いが、我が国の社会的・文化的諸条件に照らして相当とされる限度を超える一と踏み込み、「目的・効果基準」に照らし、「憲法20条3項が禁止する宗教的活動にあたる」と、明確に違憲と結論付けた。
 このように違憲判決やそれに近い判決の場合、小泉首相や国など被告は控訴しないで確定してきている。裁判闘争をはじめとした大衆闘争の継続が期待される。

(『週刊新社会』2006/8/22号)から

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