パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「通すな通信」(18)

2006年08月21日 | 平和憲法
<転送歓迎>(重複ご容赦) 少し長いです。
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」、並びに「都教委包囲首都圏ネットワーク」の渡部(千葉高教組)です。

本日(8月19日)、「全国連絡会」主催で、大内裕和さん、高橋哲哉さんを囲んで、
『あらためて教育基本法問題を問い直す』8・19学習交流会が開かれました。

参加者は会場一杯の160名。大変盛り上がり、秋の闘いに向けての大きな弾みとなりました。

最初に、大内さんから
『教育基本法「改正」は格差社会の拡大・固定化をもたらす』
と言う提起がありました。
大内さんはその中で、「格差社会化を助長する新自由主義改革」の実態を報告、それがこの間の政府や文科省の諸政策により作られてきていることを具体的に明らかにしました。

そして、教育基本法「改正」による新自由主義の推進が格差社会をさらに拡大・固定化し、公立学校の私学化・塾化も進行、教育システム全体の完全市場化に行き着くと述べました。

また、格差社会や新自由主義と愛国心は密接に関連しておりこれらの関連性をしっかりとらえ、広く訴えていくことが重要だと述べました。

次に高橋さんは、
1955年に南原繁氏が書いた『日本における教育改革』という文章を、現在起きていることと結びつけながら、丁寧に紹介し、説明してくれました。
(少し長くなりますが、重要と思われますので紹介します)

南原氏は、1946年にアメリカ教育使節団が来日した際、これと折衝し、協力するために、あらかじめ設置された日本教育家の委員会(教育刷新委員会)の一員であった。
南原氏はその文章の中で、教育基本法は、
「司令部の指令、特にアメリカの強要によって、つくられたものであるという臆説が、国民の間に流布されている・・・一部の人々の間には・・・自主的に再改革をなすべきであるという意見となって現れている。しかし、もしその根拠が、かような臆説に基づくとするならば、それは著しく真実を誤まったか、あるいは強いて偽った論議と言わねばならない。」と述べています。

また戦前の教育について、
「戦前長い間、・・・文部省の完全な統制の下にあり、中央集権主義と官僚統制は、我が国教育行政の二大特色であった。」と述べ、戦後の教育改革は、「教育の民主化と地方分権」「(公選の)教育委員会」などにより、それをなくしたのだと述べています。
教育の内容については、
「旧い教育理念は、・・国家主義的精神、しかも一系の皇室を中心とした皇国日本の民族国家理想に凝集されてあったと称していい」、「教育勅語の精神はそれにほかならない。」と述べています。

そして、「近代日本は、実に、これによって興り、そしてまたそれによって崩壊したのである」、「されば、わが国がいま改めて民主政治を自分のものとするためには、何を措いても、人間の自律と人間性の確立が急務である」と、戦後教育改革の基本理念について述べています。

その上で南原氏は、<今後の問題>として次のようなことを述べています。

「近年、わが国の政治は不幸にして、一旦定めた民族の新しい進路から、いつの間にか離れて、反対の方向に動きつつある。その間、教育の分野においても、戦後に性格転換をとげた筈の文部省が、ふたたび往年の権威を取り戻そうとする傾向はないか。」

「このような状況のもとで、その意識していると否とを問わず、ふたたび『国家道徳』や『愛国精神』を強調することが、いかなる意味と役割をもつものであるかは、およそ明らかであろう。」

新しく定められた教育理念に、いささかの誤りもない。今後、いかなる反動の嵐の時代が訪れようとも、何人も教育基本法の精神を根本的に書き換えることはできないであろう。なぜならば、それは真理であり、これを否定するのは歴史の流れをせき止めようとするに等しい。ことに教育者は、我々の教育理想や主張について、もっと信頼と自信をもっていい。そして、それを守るためにこそ、われわれの団結があるのではなかったか。事はひとり教育者のみの問題ではない。学徒、父兄、ひろく国民大衆をふくめて、民族の興亡にかかわると同時に、世界人類の現下の運命につながる問題である。」


これが書かれたのは、今から51年も前ですが、南原氏の指摘は現在にも十分通用すると思いました。
参考までにこの文章は、『南原繁著作集』第8巻(1973、岩波書店)に掲載されているようです。

その後の質疑・交流では、二人の提起がさらに具体的に深められました。

新自由主義と格差拡大では、大内さんは、次のようなことを述べました。
「『習熟度別学習』や『学力テスト』をなくしたフィンランドがむしろ学力が上がっている。グローバル化による国際競争の中で、労働者の派遣や派兵が出てくる。そこから愛国心が必要となる。」
自由化といってもそれは、強者の自由が拡大するだけで、それ以外のものの選択肢は逆に縮小する。その結果、格差は拡大し固定化していく。また、自由化は競争を通じて国家統制を強めることになる。」

教育「改革」問題に関して、高橋さんは、次のようなことを述べました。
「政権が民主党になっても同じだろう。政府は政治的意図をもって『改正』を進めようとしている。全体を動かしているのは、憲法9条改悪だろう。これはアメリカから求められていることだが、このことは池田・ロバートソン会談(1953年)の時とそっくり同じだ。『戦争する国』にするために日本の社会全体の仕組みを作らなければならいないと考えている。小泉の靖国参拝も憲法改悪と結びついている。」

以上、長くなってしまいましたが、学習交流会の報告です。

全国の仲間の皆さん!
「8・19学習交流会」は、大きく成功しました。
「全国連絡会」は、秋の闘いに向けて、理論と隊列を固めつつあります。
そして、8月27日は、「全国連絡会」の会議を開き、夏以降の具体的闘い(①新聞意見広告、②院内集会、③11・12全国集会など)について決める予定です。

なお、「都教委包囲首都圏ネット」では、
来る8月30日(水)、秋の闘いを告げる第一弾として、
石原・都教委糾弾8・30包囲デモを計画しています。 

15時、新宿柏木公園集合。
16時デモ出発。
16時30分ごろ都庁前で、包囲部隊と一緒に都庁にシュプレヒコール。
デモ終了後、18時30分より交流集会(新宿文化センター)。

当日は、平行して何台かの宣伝カーで街頭宣伝も計画しています。
可能なところに来ていただいて構いません。


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<教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会>
     ホームページ http://www.kyokiren.net
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     東京都文京区本郷5-19-6 坪井法律事務所内
     Tel&Fax 03-3812-5510
     (平日午後2時~5時半以外は留守電の場合あり)
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<都教委包囲首都圏ネットワーク>
     ホームページURL :
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