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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 日本の入管制度に国際社会の厳しい目

2023年01月30日 | 人権

 ☆ 国際基準に沿った難民保護法制の早急な整備を!
   ~国連自由権規約委員会が日本政府に勧告 (『LUM』から)

 国連の自由権規約委員会(以下、委員会)は昨年11月3日、日本国内の人権状況にかかわって日本政府から提出された定期報告に対する総括所見を発表しました。
 この中で委員会は、入管の収容施設の改善や、国際基準にもとついた独立した人権救済機関の創設などを勧告しました。

 ☆ 日本の入管制度に世界の厳しい目

 日本政府の定期報告は、今回で7回目となります。前回の報告に対して2014年に発表された委員会の総括所見では、強制送還中に死亡したガーナ人男性の事件(2010年3月)を重く見て、「退去強制中に不当な扱いの対象とならないことを保障するための全ての適切な措置」を求め、収容の合法性を裁判所が判定するよう勧告していました。
 その後の状況について審査した委員会は、今回の総括所見の中で、2017年から2021年までの間に3人の被収容者の死亡を問題視し、入国収容施設における劣悪な健康状況による苦痛や、仮放免者の不安定な状況を「引き続き懸念する」とのべています。
 前号の『LUM』で報じたように、2007年以降では入管施設で17人もの収容者が死亡しています。  委員会の勧告は、

国際基準に則った包括的な難民保護法制の確立をはじめ、
仮放免中の外国人への就労などの支援、
独立した司法機関への不服申立制度、
裁判所による強制収容の判断、収容期間の上限設定

 など、日本政府に全面的な改善を求めています。

 ☆ 勧告をカに世論と運動を高めよう

 極端に低い日本の難民認定率に対しても、委員会は国際基準に則った包括的な難民保護法制を早急に整備するよう勧告しています。
 野党6党の共同で繰り返し提出してきた「難民等保護法案」の次期通常国会での審議入りが求められます。
 委員会がジュネーブで開いた記者会見で、「日本政府は外国人が不当な扱いを受けないよう、あらゆる適切な措置をとるべきだ」と訴えたように、今回の総括所見は、度重なる勧告にもかかわらず、いっこうに改善が進まない日本の入管制度に厳しい目をむけたもので、日本政府への国際的な批判はまぬがれません。

 LUMの事務所にも、難民申請が許可されずに仮放免中の外国人が相談に訪れてきます。
 その誰もが命の危険をくぐり抜け、一筋の希望を持って日本に来た人たちです。その希望を門前払いにする日本政府の姿勢は許せません。
 今回の勧告で示された国際世論を背景にして、引き続き国内での世論と運動を強め難民保護をはじめ入管行政の改善を勝ち取っていく必要があります。

※自由権規約委員会第7回日本政府報告審査『総括所見』から(NCFOJ仮訳)

 ☆ 難民・庇護申請者を含む外国人の取扱いについて

32. 委員会は、難民及び庇護申請者を含む外国人の取扱いに関する締約国の回答に留意し、収容施設における処遇に関する改善計画の策定に関する情報、及び強制送還の実施予定日を決定通知の送達から少なくとも2ヶ月後とする強制送還手続の改定を歓迎する。委員会は、締約国が、収容代替措置、及び補完的保護のための在留資格認定制度の導入を規定する出入国管理及び難民認定法の改正案の提出を検討していることに関心をもって留意する。さらに委員会は、締約国が長期収容を回避するための措置を検討する意思を有していることを歓迎する。しかしながら、委員会は、2017年から2021年の間の3人の被収容者の死亡に結びついた、入国収容施設における劣悪な健康環境による苦痛に関する憂慮すべき複数の報告や、在留資格やビザを失い、労働や収入を得る選択肢のない「仮放免」により収容施設から出された人々、「仮放免者」の不安定な状況について、引き続き懸念する。委員会は、難民認定率の低さについての複数の報告にも懸念を抱いている(7、9、10、13条)。

33. 前回の勧告16を考慮し、締約国は以下を行うべきである。

(a) 国際基準に則った包括的な難民保護法制を早急に採用すること。

(b) 適切な医療支援へのアクセスを含む収容施設での処遇について、改善計画の策定を含め、国際基準に則って、移民(immigrants)が虐待の対象とならないことを保障するためのあらゆる適切な措置を執ること。

(c) 「仮放免」中の移民(immigrants)に必要な支援を提供し、収入を得るための活動に従事する機会の確立を検討すること。

(d) ノンルフールマン原則が実際に尊重され、国際的保護を申請するすべての人々に、その申請への否定的な決定について、独立した司法機関に対する執行停止の効力を有する異議申立制度へのアクセスを確保すること。

(e) 行政機関による収容措置に対する代替措置を提供し、入管収容における上限期間の導入に向けた措置を講じ、入管収容が最後の手段として必要最小限度の期間、かつ行政機関による収容措置に対する既存の代替措置が十分に検討された場合のみ行われるよう確保する措置を実施し、収容の適法性について判断する裁判所の手続きに移民(immigrants)が効果的に持ち込むことができるようにすること。

(f) 規約および他の適用可能な国際基準に基づく庇護申請者の権利の完全な尊重を確保するために、出入国在留管理庁職員及びその他国境警備に関わる公務員に対する移住(migration)に関する十分な訓練を保障すること。

『LUM(Labor Union of Migrant Workers)第86号』(2023年1月1日発行)
発行 首都圏移住労働者ユニオン:http://lum.main.jp/


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