
☆ 入管法改定案再提出に強く反対します!
~署名提出会見で語られた「魂の殺人」
→動画(児玉弁護士/7分半)
1月26日午後4時、参院議員会館で「入管法改悪」に反対する市民団体の署名提出報告・記者会見が開催された。
2021年に廃案になったものと同様の法案が今国会に出されるということで、関係者の間に危機感が広がっていた。
反貧困ネットワークが呼びかけた「再提出に反対する共同声明」には、89の困窮者支援団体・平和・人権団体が名を連ねた。会見には大手メディア、ネットメディア、支援者など約40人が集まった。
「入管法改悪」は難民・仮放免者の強制退去をやりやすくするもので、かれらの生活を直撃する。
日本は困窮外国人に冷たい国で、難民認定率はわずか0.7%しかない。アメリカは60%だが、多くの先進国が50%を超えていることを考えると異常な実態である。
会見では、外国人支援に直接携わっている人たちから「仮放免外国人」(全国約6千人)の厳しい現実が報告された。
医師の越智祥太さんは、
「仮放免者は追いこまれて、すがるように生きている。それが入管法が改悪されるとどん底、絶望の淵にたたされる。いまでも住まいが持てない、仕事ができない、医療が受けられない状況のうえ、犯罪者扱いされている。アイデンティティが奪われ、希望がなく、いつも緊張状況に置かれている。緊張の連続はストレスをよび、体調を壊す人が多い。糖尿病が悪化して失明する事例もあった。これは“魂の殺人”だ。まず同じ人間として扱うこと、生存権を守ることがなにより必要だ」
と医療の立場から訴えた。
反貧困ネットワークの「シェルター」(避難住宅)には現在25世帯が入っているが、そのうち12世帯が外国人で、4人は路上生活からのSOSだったという。
コロナ禍はもっとも弱い層である外国人を痛めつけているが、入管法改悪はそれに輪をかけるものである。
児玉晃一弁護士からは、入管法改悪の狙いと問題点について、わかりやすい解説があった。7分半の動画をご覧ください。(M)
ーー★89団体による共同提出署名ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
内閣総理大臣 岸田 文雄殿
☆ 入管法改定案再提出に強く反対します
―生存権に国境はありません
私たちは、生活困窮を経験している人たちの生存権行使を支援する市民団体です。このたび、2021年に廃案になった入管法改定案が、ほぼ同じ内容で通常国会に提出されるとの報道がありました。私たちは、この法案再提出に強く反対します。
法案は、「長期収容問題の解決」を目的に掲げながら、その方法はもっぱら「送還忌避者の速やかな退去」です。私たちが支援する人たちのなかには、「送還忌避者」が多く存在します。難民申請者、あるいは日本に生活の基盤があるがゆえに、出身国に帰ることができず、仮放免許可を得て地域社会で生活する人たちです。日本で生まれ育ち、日本の公立学校で教育を受け、すでに成人の年齢を超えた人も少なくありません。
コロナ禍で生活困窮者が急増した際に、私たちは国籍や在留資格を問うことなく支援してきました。生存権は基本的人権です。人間であるという事実のみに基づく権利ですから当然です。ところが、外国人に関しては、人間であるだけではダメで、生存権が「入管法」に従属していると知り、驚愕しました。
特に仮放免の外国人は、就労を禁止されており、公的支援からも排除されています。当然の帰結として、その日食べるものに事欠くだけでなく、住宅を失う人が急増しています。国民健康保険に加入できないため、医療費が払えず、病院に行くこともできず、命の危険にさらされている人たちが数多くいます。何らかの個人に起因する理由で生存権が行使できないのではありません。そもそも行使すべき権利そのものが、国家の悪意によって否定されているのです。
民主主義国家が、特定の人たちに対して、故意に生存権を否定するという事実は、にわかには信じ難く、私たちは何度も仮放免の外国人に公的支援の利用を認めるよう、政府に訴えてきました。しかし、「現行法では無理」とことごとく退けられてきました。
外国人の人権は在留資格の範囲内でしか認められないと言うのならば、民主主義国家として、普遍的人権を保障するためには、在留資格を認める以外に解決策はありません。民間による「監理制度下」で、無権利のまま地域社会で生活することは、何の問題の解決にもなりません。その上改定案は、帰国できない理由があるからこそ、生きるためにこそ、「送還忌避」する人たちに、在留資格を認めるどころか、「送還忌避」を罪に問うことまで盛り込んでいます。
必死に生きようとすることは、罪ではありません。私たちはこれからも「送還忌避者」を支援し続けます。そして、入管法改定案を再提出するのではなく、「送還忌避者」に在留資格を認めることを強く求めます。
2023年1月26日 提出団体(89団体)
一般社団法人反貧困ネットワーク/一般社団法人つくろい東京ファンド/
特定非営利活動法人北関東医療相談会/特定非営利活動法人TENOHASI/
一般社団法人あじいる/四ツ谷おにぎり仲間/
NPO法人さんきゅうハウス/ひとさじの会/府中緊急派遣村/
狛江派遣村/蒲田・大森野宿者夜回りの会/寿医療班/
NPO法人サマリア/わかちあい練馬/コロナ災害対策自治体議員の会/
生活保護費大幅削減反対!三多摩アクション/反貧困ささえあい神奈川/
津久井やまゆり園事件を考え続ける会/反貧困ささえあい千葉/
ポレポレ佐倉/宗教と平和を考える市川宗教者の会/ZENKO千葉/いいね狛江/
月末食堂委員会/「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会/
NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク/外国人人権法連絡会/
マイノリティ宣教センター/アトゥトゥミャンマー支援/
クルドを知る会/在日クルド人と共に/クルド難民デニスさんとあゆむ会/
クルド人難民Mさんを支援する会/牛久入管収容所問題を考える会/
多文化共生プロジェクト/エルクラノの会(日系ブラジル人エルクラノ君集団殺害事件を忘れない!)/
NPOアデイアベバ・エチオピア協会/収容ではなく安心安全な暮らしを/
仮放免者等の在留資格を求める日本人配偶者の会(イマジン)/反差別国際運動/
あなたの公-差-転kosaten/入管収容問題を考えるソーシャルワーカーネットワーク/
パレスチナ連帯・札幌/BOND(外国人労働者・難民とともに歩む会)/
START~外国人労働者・難民と共に歩む会/#FREEUSHIKU/入管を変える!弁護士ネットワーク/
Save Immigrants Osaka/入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合/
TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)/平和フォーラム/
ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク「のりこえねっと」/
Transgender Japan/AWCYouth(アジア共同行動関西青年部)/
市民の意見30の会・東京/だめ連/東京・地域ネットワーク/
希望のまち東京をつくる会/市民自治をめざす三多摩議員ネットワーク/
全国フェミニスト議員連盟/困っている人に寄り添う小金井の会/
部落解放同盟東京都連合会/部落解放同盟東京都連合会練馬支部/
NPO法人練馬人権センター/避難の協同センター/
ヘイトスピーチ許さない・練馬/NPO法人ウィズ・ザ・スモール/I女性会議練馬支部/
I女性会議板橋支部/市民フォーラムよの/杉並から差別をなくす会/
むさしのから差別をなくす連絡会/暮らしささえあいネットワーク・よりそい北杜/
研究所テオリア/医療と福祉の戦争協力に反対する連絡会議/自治市民/
平和カフェ/Mamademo/株式会社橋本新企画/シニアも活き活きはとにプロ/
消費者問題を考える会/にいざしみんホーキの会/くめがわ電車図書館/
NPO法人エコ・コミュニケーションセンター/認定 NPO 法人世界の医療団
連絡先
162-0822 東京都新宿区下宮比町 3-12 明成ビル3階
一般社団法人反貧困ネットワーク
『レイバーネット日本』(2023-01-27)
http://www.labornetjp.org/news/2023/0126nyukan
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