"恐怖警察"
すくむ自・民
マンションのオートロック扉外側にある集合ポストに議会活動の報告ビラを投函した共産党市議を、警視庁小金井署が住居侵入容疑で東京地検八王子支部に書類送検してしまった事件。
ビラ配りは、政治家が自らをアピールする重要な政治活動だけに、自民、民主両党からも警察への恐怖感と批判の声が上がっている。
◎ 政党ビラ配り 書類送検
まずは、事件を振り返ろう。書類送検されたのは、共産党の幸野統・国分寺市議(27)。小金井署によると、幸野氏は五月十八日午後、市内のマンション一階玄関にある集合ポストに、共産党市議団のビラを配るため、敷地内に侵入した疑い。マンション住民側は被害届を取り下げている。
幸野氏によると、住民男性から注意され投函を止めたが、男性が納得しなかったため、一緒に交番に行ったという。同署はマンションの管理組合の被害届を受け、六月九日に幸野氏を書類送検した。
◎ マンションポスト ピザ、すし店はOK?「不公平」
「宅配ピザやすし屋、水道の修理…。毎日、郵便受けにチラシが入るでしょ。これは、どうして問題にならないの」ー捜査に疑問を投げかけるのは自民党の若手国会議員。「自分もポストにビラを入れるけど、違法なの?」と眉をひそめた。
「商売のチラシは黙認なのに、広く認められるはずの政治活動の自由の一環であるビラを配ると取り締まられるのはバランスを欠く。政党ビラがダメなら、商売のチラシもダメなはず。じゃあ、ポストに入れていいのは契約した新聞と郵便物だけ?それじゃあ、社会生活が成り立たなくなるよね」と、捜査の"不平等"を指摘する。
「市議と同じ日に、あのマンションにチラシを入れた業者がいたら、それも取り締まらないと不公平じゃないか」
先月二十二日投開票の東京都狛江市長選で落選した候補の選挙運動を手伝った民主党員の男性は「市長選で、マンションや一戸建て住宅に約二万枚のビラを配った。でも、住居侵入なんて言われなかったよ」。
男性は「マンション住民の一部は、支持しない政党のビラを配られるのが嫌だったのかもしれない。でも、政治活動には、支持者以外にも政策を訴えることが欠かせない」と語気を強める。「住居の平穏を侵害するのが住居侵入罪なら、マンションの敷地でUターンする車のほうが、よっぽど迷惑で平穏を乱す。それでも、政党のビラ配りは違法だというなら、全政党の政治活動が萎縮せざるをえない」
さらに、男性は、こう言って肩をすくめる。「狛江市長選には共産党推薦の現職候補(当選)が出ていた。告示(六月十五日)直前に書類送検するなんて…なんかねえ」
「警察は、やり過ぎだ。私も、何回もマンションにポスティングしてきたが、もう、怖くてできない」。顔をしかめるのは自民党国会議員のベテラン秘書だ。
それなら自民党として警察批判の声を上げたらどうか。「政治家なら誰でも脛に傷を持つ。批判なんかしたら、警察からメディアにリークされ、袋だたきにあって政治的に殺されるのが関の山。警察批判なんて、与党だって怖くてできないんだよ」
『東京新聞』(2008/7/5【ニュースの追跡】)
すくむ自・民
マンションのオートロック扉外側にある集合ポストに議会活動の報告ビラを投函した共産党市議を、警視庁小金井署が住居侵入容疑で東京地検八王子支部に書類送検してしまった事件。
ビラ配りは、政治家が自らをアピールする重要な政治活動だけに、自民、民主両党からも警察への恐怖感と批判の声が上がっている。
◎ 政党ビラ配り 書類送検
まずは、事件を振り返ろう。書類送検されたのは、共産党の幸野統・国分寺市議(27)。小金井署によると、幸野氏は五月十八日午後、市内のマンション一階玄関にある集合ポストに、共産党市議団のビラを配るため、敷地内に侵入した疑い。マンション住民側は被害届を取り下げている。
幸野氏によると、住民男性から注意され投函を止めたが、男性が納得しなかったため、一緒に交番に行ったという。同署はマンションの管理組合の被害届を受け、六月九日に幸野氏を書類送検した。
◎ マンションポスト ピザ、すし店はOK?「不公平」
「宅配ピザやすし屋、水道の修理…。毎日、郵便受けにチラシが入るでしょ。これは、どうして問題にならないの」ー捜査に疑問を投げかけるのは自民党の若手国会議員。「自分もポストにビラを入れるけど、違法なの?」と眉をひそめた。
「商売のチラシは黙認なのに、広く認められるはずの政治活動の自由の一環であるビラを配ると取り締まられるのはバランスを欠く。政党ビラがダメなら、商売のチラシもダメなはず。じゃあ、ポストに入れていいのは契約した新聞と郵便物だけ?それじゃあ、社会生活が成り立たなくなるよね」と、捜査の"不平等"を指摘する。
「市議と同じ日に、あのマンションにチラシを入れた業者がいたら、それも取り締まらないと不公平じゃないか」
先月二十二日投開票の東京都狛江市長選で落選した候補の選挙運動を手伝った民主党員の男性は「市長選で、マンションや一戸建て住宅に約二万枚のビラを配った。でも、住居侵入なんて言われなかったよ」。
男性は「マンション住民の一部は、支持しない政党のビラを配られるのが嫌だったのかもしれない。でも、政治活動には、支持者以外にも政策を訴えることが欠かせない」と語気を強める。「住居の平穏を侵害するのが住居侵入罪なら、マンションの敷地でUターンする車のほうが、よっぽど迷惑で平穏を乱す。それでも、政党のビラ配りは違法だというなら、全政党の政治活動が萎縮せざるをえない」
さらに、男性は、こう言って肩をすくめる。「狛江市長選には共産党推薦の現職候補(当選)が出ていた。告示(六月十五日)直前に書類送検するなんて…なんかねえ」
「警察は、やり過ぎだ。私も、何回もマンションにポスティングしてきたが、もう、怖くてできない」。顔をしかめるのは自民党国会議員のベテラン秘書だ。
それなら自民党として警察批判の声を上げたらどうか。「政治家なら誰でも脛に傷を持つ。批判なんかしたら、警察からメディアにリークされ、袋だたきにあって政治的に殺されるのが関の山。警察批判なんて、与党だって怖くてできないんだよ」
『東京新聞』(2008/7/5【ニュースの追跡】)
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