申 入 書
2008(平成20)年7月3日
東京都教育委員会 御 中弁 護 士 尾山 宏
同 澤藤統一郎
同 加藤 文也
同 白井 剣
同 雪竹 奈緒
同 平松真二郎
外
同 澤藤統一郎
同 加藤 文也
同 白井 剣
同 雪竹 奈緒
同 平松真二郎
外
貴教育委員会は、2008(平成20)年に行われた卒業式、入学式等において、不起立等で懲戒処分を受けた教職員に対し、2008(平成20年)6月13日付けで貴教育委員会名義で、本年7月22日「服務事故再発防止研修」を実施する旨通告してきました。
当職らは、上記懲戒処分を受けた教職員の代理人として、以下のとおり貴教育委員会に申し入れ致します。
記
第1 本年7月22日に実施しようとしている再発防止研修を取りやめること。
第2 今回の再発防止研修において、貴教育委員会が教職員に対して作成を求めている受講前報告書の内容は、明らかに教職員の思想・良心の自由を侵害するものであることから、速やかに撤回すべきである。
貴教育委員会に対し、上記撤回要求に対する回答を本年7月9日までにすることを求める。
第3 本年7月22日に再発防止を実施する場合には、教職員の内心の自由に踏み込むような違憲、違法な再発防止研修を行わないこと。
このような申し入れをする所以について説明いたします。
東京地方裁判所民事19部は、服務事故再発防止研修執行停止申立事件で、2004年7月23日に次のような判断を示しております。
研修の意義、目的、内容を理解ししつ、自己の思想内容、信条に反すると表明する者に対して、何度も繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない。
今回の貴教育委員会が教職員らに作成を求めた受講前報告書の内容は、明らかに「公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るもの」であります。作成を強制することは思想、良心の自由を侵害することになり到底許されません。速やかに撤回すべきです。
また、昨年7月19日、再発防止研修国賠訴訟で、東京地方裁判所は次のように述べ、教職員の思想、良心の自由の重要性を指摘しております。
国歌や国旗が過去の我が国の歴史上果たしてきた役割に係わる原告の歴史観ないし世界観及びこれに由来する社会生活上の信念又は信教そのもの、あるいは国家の教育に対する関与のあり方に係わる原告らの教育観及びこれに由来する職業上の信念であると解され、このような考えを持つこと自体は、思想及び良心の自由あるいは信教の自由として保障されることは明らかである。
既にご存じのとおり、2006(平成18)年9月21日に出された東京地裁判決は、10・23通達およびそれに基づく校長の職務命令は違憲、違法と判示しております。この判示内容は、ピアノの最高裁判決があっても当然生きていると考えられます。
以上のことからしますと、再発防止研修そのものが違憲・違法なものであると考えられます。
従いまして、7月22日の再発防止研修を速やかに取りやめること、違憲、違法な受講前報告の作成を求めることは速やかに撤回するよう強く申し入れ致します。
仮に、再発防止研修を取りやめない場合は、教職員の内心の自由に踏み込むような研修は違憲、違法となりますので、そのような研修を行うことがないよう強く申し入れ致します。
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