◆ オリ・パラ学校連携観戦については論議せず!
~子どもたちの政治利用・「愛国心」の刷り込みは許さない (レイバーネット日本)
今日の公開議題は、報告
1)来年度使用の都立高校用教科書の調査研究資料について
2)昨年度発生した体罰の実態把握について。
宮崎緑教育委員の退任で就任した新井紀子教育委員(国立情報学研究所社会共有知研究センター長)が初出席した。
昨23日は、都教委包囲ネットの呼びかけで私たちは都教委に「子どもたちをオリ・パラ学校連携観戦に子どもたちを動員するな」と申し入れをし、都教委前で抗議行動を行なった。
また、引き続き都教委前では夕刻から「オリンピックやめろ」の集会が850人(主催者発表)の参加で行われた。歩道上は身動きできないほどに混んでいた。こうした怒りの声は渦巻いている。
学校連携観戦については、埼玉はさいたま市や川口市などの29市町村が、神奈川では平塚市など6市町がすでにキャンセル。
しかし、都教委は大勢の都民や日本共産党都議団の申し入れが行われてきたにもかかわらず、学校連携観戦をやめようとしない。キャンセルを受け付けるとした大会組織委員会の通知文を各区市町村教委に送付することも拒否している。
そうした中、目黒区教育委員会がキャンセルを決定した。同教委が、都教委の「出先機関」ではなく、本来の教育委員会制度に沿い独立した教育委員会として【子どもたちの命最優先】の決定をしたことに拍手を送りたい。
当然、目黒に続く自治体が出てくることは予想される。したがって、今日の定例会で、この件についての事務方の提案や教育委員の発言があるのではと思っていたが、一切なかった。コロナ感染者数は1週間連続で上昇しているのに、だ。
学校連携観戦によって自身の子どもや孫が事故に遭ったらと教育委員や都教委職員は想像力を働かせて事に当たってもらいたいものだ。
以下は今日の報告。
1)来年度使用の都立高校用教科書の調査研究資料について
社会科はこれまで「世界史A」「世界史B」から1科目、「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」から1科目、「現代社会」「倫理」+「政治・経済」から1科目を選択してきたものが、学習指導要領の改訂によって科目名も変わり「地理総合」「歴史総合」「公共」が必修、「地理探求」「日本史探求」等が選択となった。この組み合わせ方だけでも、現場は大変だろう。
調査研究資料は、いつものことながら、「各教科・科目の目標及び内容と関連する調査項目」ごとに各社がどれだけ教材を取り上げているかを数値や言葉で示す。
さらには、全教科で「防災や自然災害の扱い」「オリンピック・パラリンピックの扱い」を、一部の教科で「我が国の位置と領土の扱い」「国旗・国歌の扱い」「北朝鮮による拉致問題の扱い」等を数値や言葉で示す。
誤った都教委の「教育目標の基本方針」による調査結果だ。こんなことに現場は惑わされないでほしい。
毎年全教科・科目の調査研究資料が配られてきたが、今回は「ペーパーレスの観点から」ということで、地理総合の調査研究資料のみを配付。他は都教委HPで閲覧するようにということ。
閲覧したところ、例えば数学では「オリンピック・パラリンピック」について「○社は2次関数でスキーのジャンプを取り上げている」などと示す。
新井教育委員は、「社会科の教科書はどれも読みにくい。知識を増やすためだろうが、事実の羅列で、これでは国際理解に至らない。また、数で示すこの調査研究資料は数が多い方が良い教科書となってしまいがち。数ではなく、今後はテクノロジーを使って質的な分析をしたらと思う」と発言した。
部分的にはそう思うが、「国旗・国歌の扱い」等の都教委の「教育目標の基本方針」に沿っての調査項目については発言しない。そうした視点については、新井委員は都教委方針を支持するということか。教科書採択は8月下旬の定例会で行なうということだった。
2)昨年度発生した体罰の実態把握について
昨年度の「体罰」行為者は7人で、すべてが小中の教員(うち50代が5人 授業中が6人・部活動中が1人 感情的になり体罰に及んだものが6人、言葉で繰り返し言っても伝わらなかったことにより体罰に及んだものが1人)。
体罰を受けた子どもは8人。
体罰と認定されなかったが「不適切な行為」と認定されたのが139人、
「指導の範囲内」が75人。
一昨年は「体罰」19、「不適切な行為」201、「不適切な行為」75。
体罰根絶に向けた今後の取組みとして「教職員の服務に関するガイドライン」「ふくむニュースレター」等を研修等での活用、体罰等で懲戒処分を受けた者に対し、アンガーマネジメント研修の実施をあげる。
新井教育委員は、「体罰をしたら懲戒処分とわかっているから、(そこまではしない)不適切な行為をしてしまうのではないかと憶測してしまう。『どれだけ教室の皆に迷惑をかけたかわかるか』などの言葉で子どもの心が傷つけられる。モラルハラスメントを含め教育現場ではあってはならないことだ」と、
秋山教育委員は「ほめて育てることを研修等で教員に知らせてほしい」と発言した。
都教委は長いこと、体罰根絶月間を設け各学校に研修をさせてきた。それでも体罰や刑法に抵触するような問題が後を絶たないのはなぜかについては考えない。
指示命令でがんじがらめにし、働き甲斐を潰す働かせ方及び教員管理を止めれば、教員たちは働く意欲を取り戻し、自身の頭で考え判断することができるようになる。そうしたことが体罰や問題行動の防止につながるのは明らかだ。
しかし、そこに目を向ける有能な役人は皆無。
新井教育委員や秋山教育委員は、そのことがわかっているからこそ、「モラルハラスメント」「ほめて育てる」と発言したのではないのか。その点を問いたかった。
「教育の主体は子どもたち」という当たり前のことをせずに子どもたちを政治利用する、都教委方針・施策を厳しく見て論じることこそが教育委員の仕事だ。その任務を果たしてもらいたいと強く思う。
この報告と教育委員の発言を聴いていて私が思ったのは、炎天下・コロナ禍の中で公的交通機関を使って学校連携観戦をさせることは体罰そのものではないか。
教育課程に組み込んでの観戦なのだから、観戦しない子どもたちは、村八分・いじめの対象にされるのではないか。
大半の保護者・都民が心配している観戦問題を教育委員はなぜ避ける?と思った。
『レイバーネット日本』(2021-06-25)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0624nezu
~子どもたちの政治利用・「愛国心」の刷り込みは許さない (レイバーネット日本)
今日の公開議題は、報告
1)来年度使用の都立高校用教科書の調査研究資料について
2)昨年度発生した体罰の実態把握について。
宮崎緑教育委員の退任で就任した新井紀子教育委員(国立情報学研究所社会共有知研究センター長)が初出席した。
昨23日は、都教委包囲ネットの呼びかけで私たちは都教委に「子どもたちをオリ・パラ学校連携観戦に子どもたちを動員するな」と申し入れをし、都教委前で抗議行動を行なった。
また、引き続き都教委前では夕刻から「オリンピックやめろ」の集会が850人(主催者発表)の参加で行われた。歩道上は身動きできないほどに混んでいた。こうした怒りの声は渦巻いている。
学校連携観戦については、埼玉はさいたま市や川口市などの29市町村が、神奈川では平塚市など6市町がすでにキャンセル。
しかし、都教委は大勢の都民や日本共産党都議団の申し入れが行われてきたにもかかわらず、学校連携観戦をやめようとしない。キャンセルを受け付けるとした大会組織委員会の通知文を各区市町村教委に送付することも拒否している。
そうした中、目黒区教育委員会がキャンセルを決定した。同教委が、都教委の「出先機関」ではなく、本来の教育委員会制度に沿い独立した教育委員会として【子どもたちの命最優先】の決定をしたことに拍手を送りたい。
当然、目黒に続く自治体が出てくることは予想される。したがって、今日の定例会で、この件についての事務方の提案や教育委員の発言があるのではと思っていたが、一切なかった。コロナ感染者数は1週間連続で上昇しているのに、だ。
学校連携観戦によって自身の子どもや孫が事故に遭ったらと教育委員や都教委職員は想像力を働かせて事に当たってもらいたいものだ。
以下は今日の報告。
1)来年度使用の都立高校用教科書の調査研究資料について
社会科はこれまで「世界史A」「世界史B」から1科目、「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」から1科目、「現代社会」「倫理」+「政治・経済」から1科目を選択してきたものが、学習指導要領の改訂によって科目名も変わり「地理総合」「歴史総合」「公共」が必修、「地理探求」「日本史探求」等が選択となった。この組み合わせ方だけでも、現場は大変だろう。
調査研究資料は、いつものことながら、「各教科・科目の目標及び内容と関連する調査項目」ごとに各社がどれだけ教材を取り上げているかを数値や言葉で示す。
さらには、全教科で「防災や自然災害の扱い」「オリンピック・パラリンピックの扱い」を、一部の教科で「我が国の位置と領土の扱い」「国旗・国歌の扱い」「北朝鮮による拉致問題の扱い」等を数値や言葉で示す。
誤った都教委の「教育目標の基本方針」による調査結果だ。こんなことに現場は惑わされないでほしい。
毎年全教科・科目の調査研究資料が配られてきたが、今回は「ペーパーレスの観点から」ということで、地理総合の調査研究資料のみを配付。他は都教委HPで閲覧するようにということ。
閲覧したところ、例えば数学では「オリンピック・パラリンピック」について「○社は2次関数でスキーのジャンプを取り上げている」などと示す。
新井教育委員は、「社会科の教科書はどれも読みにくい。知識を増やすためだろうが、事実の羅列で、これでは国際理解に至らない。また、数で示すこの調査研究資料は数が多い方が良い教科書となってしまいがち。数ではなく、今後はテクノロジーを使って質的な分析をしたらと思う」と発言した。
部分的にはそう思うが、「国旗・国歌の扱い」等の都教委の「教育目標の基本方針」に沿っての調査項目については発言しない。そうした視点については、新井委員は都教委方針を支持するということか。教科書採択は8月下旬の定例会で行なうということだった。
2)昨年度発生した体罰の実態把握について
昨年度の「体罰」行為者は7人で、すべてが小中の教員(うち50代が5人 授業中が6人・部活動中が1人 感情的になり体罰に及んだものが6人、言葉で繰り返し言っても伝わらなかったことにより体罰に及んだものが1人)。
体罰を受けた子どもは8人。
体罰と認定されなかったが「不適切な行為」と認定されたのが139人、
「指導の範囲内」が75人。
一昨年は「体罰」19、「不適切な行為」201、「不適切な行為」75。
体罰根絶に向けた今後の取組みとして「教職員の服務に関するガイドライン」「ふくむニュースレター」等を研修等での活用、体罰等で懲戒処分を受けた者に対し、アンガーマネジメント研修の実施をあげる。
新井教育委員は、「体罰をしたら懲戒処分とわかっているから、(そこまではしない)不適切な行為をしてしまうのではないかと憶測してしまう。『どれだけ教室の皆に迷惑をかけたかわかるか』などの言葉で子どもの心が傷つけられる。モラルハラスメントを含め教育現場ではあってはならないことだ」と、
秋山教育委員は「ほめて育てることを研修等で教員に知らせてほしい」と発言した。
都教委は長いこと、体罰根絶月間を設け各学校に研修をさせてきた。それでも体罰や刑法に抵触するような問題が後を絶たないのはなぜかについては考えない。
指示命令でがんじがらめにし、働き甲斐を潰す働かせ方及び教員管理を止めれば、教員たちは働く意欲を取り戻し、自身の頭で考え判断することができるようになる。そうしたことが体罰や問題行動の防止につながるのは明らかだ。
しかし、そこに目を向ける有能な役人は皆無。
新井教育委員や秋山教育委員は、そのことがわかっているからこそ、「モラルハラスメント」「ほめて育てる」と発言したのではないのか。その点を問いたかった。
「教育の主体は子どもたち」という当たり前のことをせずに子どもたちを政治利用する、都教委方針・施策を厳しく見て論じることこそが教育委員の仕事だ。その任務を果たしてもらいたいと強く思う。
この報告と教育委員の発言を聴いていて私が思ったのは、炎天下・コロナ禍の中で公的交通機関を使って学校連携観戦をさせることは体罰そのものではないか。
教育課程に組み込んでの観戦なのだから、観戦しない子どもたちは、村八分・いじめの対象にされるのではないか。
大半の保護者・都民が心配している観戦問題を教育委員はなぜ避ける?と思った。
『レイバーネット日本』(2021-06-25)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0624nezu
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