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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「ここ板門店は分断の象徴ではなく平和の象徴になった」

2018年05月02日 | 平和憲法
 ◆ 板門店の握手 (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 テレビ中継にくぎ付けだった。金正恩(キムジョンウン)委員長が軍事境界線を跨(また)いで韓国側に入った瞬間、「戦争は終わった」との感慨が胸を突いた。
 文在寅(ムンジェイン)大統領の笑顔に警戒の影はなかった。
 「ここ板門店は分断の象徴ではなく平和の象徴になった」。文氏の歴史的な名言である。
 境界線のむこうは敵国だった。その両側から眺めたことが二度ほどある。両側で悪口を言い合い、緊張感が凍りついていた。それが一瞬にして氷解した。
 「対決の歴史に終止符を打つために来た」。金氏の決意表明だ。
 東西ベルリンを遮断していた、チェックポイント・チャーリーも、恐怖の境界線だった。
 いまは検問所も取り払われ、日常的な街路と化した。
 異常な状態は人間の努力によって必ず修復される歴史の教訓を信じたい。
 南北和解のシーンをテレビで眺めてホッとしたのは、日本はもう悪役にならずにすむからだ。
 一九五〇年からの朝鮮戦争で、米軍が日本の基地から出撃し、日本は砲弾輸出などで大儲(もう)けだった。その砲弾の下で、どれだけの人間が亡くなったことか。
 もしもこれから米国が北朝鮮を攻撃すれば、集団的自衛権行使で自衛隊が出動させられよう。
 安倍首相は「制裁強化」と拳(こぶし)を振り上げるだけ。
 世界は大きく動いている。戦争にたいする想像力と平和への強い希求も言葉もない首相では、この激動期に耐えられまい。
『東京新聞』(2018年5月1日【本音のコラム】)

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