◆ 慰安婦像と誠意 (東京新聞【本音のコラム】)
師岡カリーマ(アナウンサー)
日韓の慰安婦問題に関する二十六日付東京新聞の社説に共感した。ソウル日本大使館前に設置された慰安婦像撤去要求にも触れていたが、日本政府はなぜここまで撤去にこだわり続けるのか。安倍首相はすでに「心からのおわびと反省の気持ち」を表明した。
つまり日本は責任を認めたのだ。それでも韓国側の怒りが収まらないなら、選択肢は二つに一つ。もう謝ったんだからいいじゃないか、と開き直るか、もういいよと言われるまで謝り続けるかだ。
後者の方がエレガントだろう。どうすれば日本の誠意は伝わるか。
たとえば発想転換して、大使館員が毎朝像に花を手向け、手を合わせるのはどうだろう。
非公式の行為だからプレスは呼ばず、パフォーマンスだとやゆされてもいとわず、罵声を浴びてもひるまず、碑文の内容がフェアか否かも別として、ただ慰安婦本人たちだけのために粛々と祈れば、かたくなな心もいつかはばぐれるかもしれない。
大使館前だからこそ、さりげなく続けられる。ありがたいことだ。
フィリピンなど、慰安婦問題があまり報道されない国には、いっそ日本自ら記念碑を建ててはどうか。イメージ向上という点ではこちらの方がクールだし、これぞ究極の愛国心だと思うのだが。
今年も今日で終わり。来年こそは、市民が犠牲になる無益な戦争のない世界に一歩近づきますように。
『東京新聞』(2016/12/31【本音のコラム】)
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