=沈思実行(186)週刊新社会=
☆ 羊の皮を被った狼
鎌田 慧
「防衛装備品の第三国移転」。まわりくどい言い方だが、なんのことはない「武器輸出」。
ことの本質を直接的に表現しないのは「奴隷の言葉」だ。が、権力の側が大衆をたぶらかす策略語は、マヌバー。
最近、自公退廃政権は、恥ずかしげもなく、大衆欺瞞作戦(マヌバー)を実施している。
直近では、放射性物質を含んだ汚染水を、あたかも無害のようにいいくるめる「処理水」。
残念ながらアジア・太平洋戦争での日本の敗戦は「終戦」と言い換えられて、戦争責任の追及をなおざりにされた。
侵略先の戦場や引き揚げ途上、あるいは主要都市の空襲などで320万人もの死者。ヒロシマ、ナガサキでの虐殺もあった。
しかしアジアでの加害行為の責任追及は、なおざりにされて、岸信介のような戦争責任者が、戦後、政治家として立ち現れ、首相の地位に就いた。
それが極端な対米従属をもたらして、現在にいたっている。
朝鮮戦争の直後、警察予備隊からはじまった「自衛隊」の誓約は、あくまでも「専守防衛」だった。
人を殺す兵器を売りつける「死の商人」は、平和憲法のもとで恥に思われていた。
といっても、朝鮮戦争の「特需」で日本経済は息を吹き返し、ベトナム戦争で上げ潮に乗った。
イスラエルのガザ虐殺、プーチン・ロシアのウクライナ侵略で、世界が軍拡にむかう中で、岸田自民党と三菱重工などの防衛産業は、好機到来と考えている。
岸元首相の三代目安倍元首相がトランプに押されて米軍需産業製造の戦闘機をバ力買い、三菱重工は防衛調達品納入トップ独走の座を奪われた。
岸田内閣が防衛費倍増、年10兆円と、平和国家からはみ出す暴走をはじめ、ついに英伊日三国の共同での「次期戦闘機の開発」。
武器輸出を「国益にする」国会で「英伊が調達コスト低減に向けて量産効果を最大化するために、輸出を推進するよう求めてきた」と彼は国会で発言した。
「平和の党」を標榜してきた公明党もそれに従う。岸田文雄。宏池会、広島出身。ところが、じつは、「羊の皮を被った狼」だった、と後世で喧伝されるだろう。
『週刊新社会』(2024年3月20日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます