《10・14東京「君が代」裁判 第3次訴訟 第6回口頭弁論 陳述要旨-1-》
◎ 偏った思想の政治家の強力な介入で作られた「10・23通達」
第1 本準備書面では、都教委の方針転換と都議会議員たちとの関係について述べます。
被告は、10・23通達を発出した理由・目的は、「教育課程の適正実施」にあると主張しています。しかし、10・23通達は、式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図で発せられたものではありません。
10・23通達の真の意図は、①上位下達の都教委による学校支配を徹底すること、②都教委の意に反する歴史観・教育観を持つ教員のあぶり出しと排除、③教員を通した児童・生徒への特定思想の注入です。この点は、10・23通達発出に関与した政治家や都教委の委員らの言動などから推察される政治的偏向から裏付けられます。
10・23通達に関与した政治家は、まず東京都知事である石原慎太郎都知事があげられます。
石原慎太郎都知事は、国旗、国歌に対する発言に強い関心を持っていました。
そのことがわかる発言として、「学校行事における国旗・国歌は、国家や民族に帰属せざるを得ない人間社会の中で、私たちが、何に対して最終的に責任を持つか、何によって恩恵を受けているかを考え、個人対他者、個人対社会を正確にとらえていくための一つの大きなきっかけだ」というものがあります。
その他にも、雑誌「中央公論」の記載、心の東京改革と銘打った政策の採用などから、石原知事は日の丸、君が代について強い執着を持ち、かつ、東京都の教員らに対して統制思想を持っていることがわかります。
また、石原都知事は,教育委員については自らの意思で,自らの思想に沿った考えをする教育委員を任命しています。それが、横山洋吉、鳥海巌、米長邦夫といった教育委員です。かれらは、石原都知事に迎合し、日の丸、君が代の推進をしています。
まず、10・23通達発出時に教育長であった横山洋吉について述べます。
石原都知事の意図を受けて教育長に就任した横山洋吉は、石原都知事の意図を具現化すべく、教員らに対して弾圧を行ってきました。
歴史教科書問題についての発言や、「内心の自由を説明するのは不適切」「教職員が斉唱時に起立しないことはあってはならない」「対策本部を設置し、国旗国歌に関する実施指針を作成する」といった都議会答弁から、横山教育庁が日の丸君が代の強制に対して積極的な思想を持っていたことは明らかです。
次に、鳥海巌委員についてです。
鳥海委員は、石原都知事の意向を受けて行動をしていることを、常々発言していました。国旗国歌の強制に反対する教職員らを「がん細胞」と名指しし、徹底的に排除しようとする意思が見受けられました。
次に、米長邦雄委員についてです。
米長委員は、石原都知事の直々の指名を受けて委員に任命されています。園遊会では、天皇に対して日の丸、君が代の徹底実施を訴え、天皇にたしなめられることもあるなど、日の丸・君が代に対して強い思想があったことが明らかです。
次に10・23通達の発出に強く関わった土屋たかゆき、古賀俊昭の両議員について述べます。
彼らは、日の丸・君が代にたいする個人的偏向が強く、東京都の教育委員会に圧力をかけていました。両名は「日の丸、君が代を守ろう」という意見広告を出すなど、非常に強い日の丸、君が代に対するシンパシーを持っていることが想像できます。
さらに、独創的な教育を行っていた学校に対して不当な支配とされる攻撃を行うなど、教員らに対して攻撃的に態度を鮮明にしています。
10・23通達には、以上の政治家ら、教育委員らが関与しています。彼らは、その発言、行動などから、明らかに、国旗国歌にたいして価値中立的な立場にあるとは言えずむしろ、偏った思想を持っているといえます。そのような彼らが主導して、10・23通達は出されたのです。
次に具体的に10・23通達発出の流れについて、都議会議員、教育委員の関与の実態を述べます。
2003年3月6日の都教委定例会、これは通達発出の7ヶ月前ですが、この時点においても、都教委は、教職員の起立状況や内心の自由の説明、ピアノ伴奏等については、一斉に調査して一律に通達等で指導しなければならない「課題」として考えていませんでした。
このような都教委の方針に変更が迫られるきっかけと思われるのが、同年4月10日の都教委定例会です。
この定例会においては、卒業式等における国旗国歌の実施について、十分な成果があったという見解がしめされていました。
しかし、これに対して、議事録によれば、ここで都教委の対応を非難し、堂々と政府答弁を否定する発言がなされました。
このような、一部の教育委員の強硬な意見により、都教委は方針を少しずつ変更していきました。
同年5月22日の定例会では、卒業式・入学式の実態について報告・質疑応答がされており、そこでもやはり一部委員らの執拗な追及がありました。
同年7月2日都議会本会議において、土屋都議は「国歌斉唱時に内心の自由があるからと事前に説明する必要はないと思いますが、都教委の見解を伺いたい。また、今後こうした行為に関してどのように対応するのでしょうか。また、国歌斉唱時に起立もしない教職員がいまだに存在することについて、見解を求めます。」と述べ、内心の自由の説明を否定し、それに対し、横山教育長は「都教育委員会は、今後、卒業式、入学式における国歌斉唱の指導を適正に実施するよう、各学校や区市町村教育委員会を強く指導してまいります」と答弁しています。
このように、10・23通達へ向けて一部教育委員や都議の影響が強くあったのは明らかです。
10・23通達発令後である2004年3月16日の予算特別委員会にて、前出の土屋都議は、横山教育長に対し、卒業式においてクラスの生徒のうち歌わない、あるいは歌えない状態であった場合、その担任が処分対象になりえることを確認しています。
横山教育長は、2004年6月8日の都議会本会議代表質問において、古賀俊昭議員の質問に対し、「教育長に対して非常に強い権限、すなわ今後、校長の権限に基づいて、学習指導要領や通達に基づいて児童生徒を指導することを盛り込んだ職務命令を出し、厳正に対処すべきものと考えております。」
この答弁のわずか20日後の6月28日に、君が代不起立等の職務命令違反を理由とする懲戒処分を人事委員会審理で争っている最中の者に対して、「再発防止研修」なる名称の研修を命じる処分が発令されていました。ここにも、一都議の要求とその意を直ちに汲んで動く都教委の関係が見て取れます。
以上から、10・23通達をはじめとする日の丸・君が代の推進政策は、第一に石原都知事の強い意向が働き、かつ、その意図を受けつつもいっそう暴走する都教育委員がおり、さらに石原都知事らに共鳴する思想を有するごく一部の都議会議員たちの強力な介入が背景にあったことがわかり、とうてい価値中立的ではありません。
◎ 偏った思想の政治家の強力な介入で作られた「10・23通達」
弁護士 家頭 恵
第1 本準備書面では、都教委の方針転換と都議会議員たちとの関係について述べます。
被告は、10・23通達を発出した理由・目的は、「教育課程の適正実施」にあると主張しています。しかし、10・23通達は、式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図で発せられたものではありません。
10・23通達の真の意図は、①上位下達の都教委による学校支配を徹底すること、②都教委の意に反する歴史観・教育観を持つ教員のあぶり出しと排除、③教員を通した児童・生徒への特定思想の注入です。この点は、10・23通達発出に関与した政治家や都教委の委員らの言動などから推察される政治的偏向から裏付けられます。
10・23通達に関与した政治家は、まず東京都知事である石原慎太郎都知事があげられます。
石原慎太郎都知事は、国旗、国歌に対する発言に強い関心を持っていました。
そのことがわかる発言として、「学校行事における国旗・国歌は、国家や民族に帰属せざるを得ない人間社会の中で、私たちが、何に対して最終的に責任を持つか、何によって恩恵を受けているかを考え、個人対他者、個人対社会を正確にとらえていくための一つの大きなきっかけだ」というものがあります。
その他にも、雑誌「中央公論」の記載、心の東京改革と銘打った政策の採用などから、石原知事は日の丸、君が代について強い執着を持ち、かつ、東京都の教員らに対して統制思想を持っていることがわかります。
また、石原都知事は,教育委員については自らの意思で,自らの思想に沿った考えをする教育委員を任命しています。それが、横山洋吉、鳥海巌、米長邦夫といった教育委員です。かれらは、石原都知事に迎合し、日の丸、君が代の推進をしています。
まず、10・23通達発出時に教育長であった横山洋吉について述べます。
石原都知事の意図を受けて教育長に就任した横山洋吉は、石原都知事の意図を具現化すべく、教員らに対して弾圧を行ってきました。
歴史教科書問題についての発言や、「内心の自由を説明するのは不適切」「教職員が斉唱時に起立しないことはあってはならない」「対策本部を設置し、国旗国歌に関する実施指針を作成する」といった都議会答弁から、横山教育庁が日の丸君が代の強制に対して積極的な思想を持っていたことは明らかです。
次に、鳥海巌委員についてです。
鳥海委員は、石原都知事の意向を受けて行動をしていることを、常々発言していました。国旗国歌の強制に反対する教職員らを「がん細胞」と名指しし、徹底的に排除しようとする意思が見受けられました。
次に、米長邦雄委員についてです。
米長委員は、石原都知事の直々の指名を受けて委員に任命されています。園遊会では、天皇に対して日の丸、君が代の徹底実施を訴え、天皇にたしなめられることもあるなど、日の丸・君が代に対して強い思想があったことが明らかです。
次に10・23通達の発出に強く関わった土屋たかゆき、古賀俊昭の両議員について述べます。
彼らは、日の丸・君が代にたいする個人的偏向が強く、東京都の教育委員会に圧力をかけていました。両名は「日の丸、君が代を守ろう」という意見広告を出すなど、非常に強い日の丸、君が代に対するシンパシーを持っていることが想像できます。
さらに、独創的な教育を行っていた学校に対して不当な支配とされる攻撃を行うなど、教員らに対して攻撃的に態度を鮮明にしています。
10・23通達には、以上の政治家ら、教育委員らが関与しています。彼らは、その発言、行動などから、明らかに、国旗国歌にたいして価値中立的な立場にあるとは言えずむしろ、偏った思想を持っているといえます。そのような彼らが主導して、10・23通達は出されたのです。
次に具体的に10・23通達発出の流れについて、都議会議員、教育委員の関与の実態を述べます。
2003年3月6日の都教委定例会、これは通達発出の7ヶ月前ですが、この時点においても、都教委は、教職員の起立状況や内心の自由の説明、ピアノ伴奏等については、一斉に調査して一律に通達等で指導しなければならない「課題」として考えていませんでした。
このような都教委の方針に変更が迫られるきっかけと思われるのが、同年4月10日の都教委定例会です。
この定例会においては、卒業式等における国旗国歌の実施について、十分な成果があったという見解がしめされていました。
しかし、これに対して、議事録によれば、ここで都教委の対応を非難し、堂々と政府答弁を否定する発言がなされました。
このような、一部の教育委員の強硬な意見により、都教委は方針を少しずつ変更していきました。
同年5月22日の定例会では、卒業式・入学式の実態について報告・質疑応答がされており、そこでもやはり一部委員らの執拗な追及がありました。
同年7月2日都議会本会議において、土屋都議は「国歌斉唱時に内心の自由があるからと事前に説明する必要はないと思いますが、都教委の見解を伺いたい。また、今後こうした行為に関してどのように対応するのでしょうか。また、国歌斉唱時に起立もしない教職員がいまだに存在することについて、見解を求めます。」と述べ、内心の自由の説明を否定し、それに対し、横山教育長は「都教育委員会は、今後、卒業式、入学式における国歌斉唱の指導を適正に実施するよう、各学校や区市町村教育委員会を強く指導してまいります」と答弁しています。
このように、10・23通達へ向けて一部教育委員や都議の影響が強くあったのは明らかです。
10・23通達発令後である2004年3月16日の予算特別委員会にて、前出の土屋都議は、横山教育長に対し、卒業式においてクラスの生徒のうち歌わない、あるいは歌えない状態であった場合、その担任が処分対象になりえることを確認しています。
横山教育長は、2004年6月8日の都議会本会議代表質問において、古賀俊昭議員の質問に対し、「教育長に対して非常に強い権限、すなわ今後、校長の権限に基づいて、学習指導要領や通達に基づいて児童生徒を指導することを盛り込んだ職務命令を出し、厳正に対処すべきものと考えております。」
この答弁のわずか20日後の6月28日に、君が代不起立等の職務命令違反を理由とする懲戒処分を人事委員会審理で争っている最中の者に対して、「再発防止研修」なる名称の研修を命じる処分が発令されていました。ここにも、一都議の要求とその意を直ちに汲んで動く都教委の関係が見て取れます。
以上から、10・23通達をはじめとする日の丸・君が代の推進政策は、第一に石原都知事の強い意向が働き、かつ、その意図を受けつつもいっそう暴走する都教育委員がおり、さらに石原都知事らに共鳴する思想を有するごく一部の都議会議員たちの強力な介入が背景にあったことがわかり、とうてい価値中立的ではありません。
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