◆ 手のひらを内側に向けたいわゆる『裏ピース』は『F@ck you』と同じ意味
皆さま 高嶋伸欣です

1 <報告②>の主題は、問題の写真で「ポーズを決める安倍首しょう」とされているところの「ポーズ」が、海外特に英語圏のイギリスやオーストラリアではセクハラサインとされている「裏ピース」サインになっているという問題についてです。
2 『下町ボブスレー』(NHK出版)によると、この写真撮影の際に、下町ボブスレー・プロジェクト・チームのPR担当者が、安倍氏にチームの「決めポーズ」である「ボブピース」サインを右手でするように求めたのだそうです。
3 「ボブピース」サインとは、親指を立てることでいい仕事を意味し、人差し指と中指ではVの字に開いて、勝利の意味も加え、同チームの決めポーズに位置付けてきたものとのことです。
4 確かにこれだけのことであれば、あまり問題にならないことのようにも思えます。
けれども、それでは済まされないのが安倍首相の写真です。
5 問題の写真をよくよくみると、安倍首相も人差し指と中指だけでなく、親指も立てているようです。けれどもそれは改めて目を凝らしてみて初めて分かるくらいの紛らわしさです。一見しただけでは、人差し指と中指をV字型に広げているだけのように見てとれる写真です(添付の拡大写真参照)。
6 それにチームの決めポーズの図解(児童書『町工場の底力 下町ボブスレーの挑戦』かもがわ出版、2015年)では、人差し指と中指はV字型に開くのではなく2本そろえてまっすぐにしています(添付の図版参照)。
7 その様子は、安倍首相の横にいるチーム幹部がそのようにしていることで、分かります。
8 ところが安倍首相はその2本の指をはっきりとV字型に広げています。
明らかに、「ボブピース」サインは説明と実際とが食い違っています。

9 そうした曖昧さに加えて、この「ボブピース」サインには、重大な問題点があります。
それは、二本指のピースサインを取り込んだつもりでいても、ピースサインとは異なり対面の人物などに向けて手のひらではなく、手の甲を突きつける形にしていることです。
10 これがいわゆる「裏ピース」サインで、セクハラサインに当たるものなのです。意味は中指を一本だけ立てて悪態をつく程ではないとする説明が、ネットなどにはありますが、「その気はないかい?」「いつでもいいよ」というようなセクハラ・サインということです。
11 あるネットのコメント(「info-of-bord 色んなピースサインの意味とは? ダブルピースや3本指ピースとは?」)では、次のように注意喚起をしています。
12 「仕草は国が異なれば別な意味を持つことになります。ピースサイン意味も国によって異なる意味を持つことがあります。
しかしながら、時には注意を要するものがありますので注意です」と。
13 そして「ピースサインを裏返しにする意味」について次のように「最悪の場合は」「命をおとしかねません」と警告しています。
14 「手のひらを内側に向けたいわゆる『裏ピース』です。ヒップホップのPVで出てきそうな若者に流行しています。しかしこの裏ピースはイギリスやオーストラリアなどでは中指を立てる『F@ck you』という侮辱表現のポーズと同じ意味になってしまうので、やってはいけません。
最悪の場合打たれ(撃たれ?)ます。命を落としかねません」と。
15 以上のように安倍総裁・首相のこの決めポーズ写真は
1)<報告①>で明らかにしたように、もともと教科書本文の記述では安倍氏に触れていなくて、必要もないのに強引に載せたものです。
2)そのうえ、この写真は自民党本部で開催された行事の時に撮影されたものです。その場面であるとの説明なしである上に「安倍総裁」でなく「安倍首相」というキャプションを付けているのは、不実記載です。
3)結果として「道徳」教科書が、”ウソ”説明を付した写真を掲載することで、自民党の政策宣伝物として利用されているという、実例に該当します。
4)道徳の教科化は、安倍政権の「教育再生実行政策」の柱の一つです。安倍政権による教育の政治的私物化がここまで及んでいるということを示すものとして、看過できないように思えます。
いかがでしょうか。
16 これらに加えてこの「裏ピース」写真です。
確かに、「裏ピース」サインにこのような問題点があることが、まだ日本国内ではあまり知られていません。けれどもイギリスやオーストラリアへの修学旅行や語学研修留学などで、若者が多数出かけている時代です。
17 教育出版「道徳」教科書を採択した地域の小学生が、このでしょうか?
18 一方で、これだけ全国各地での採択をめぐってこの写真が問題にされているので、教育出版が他の写真との差し替え、あるいは削除の手続きをしていないか、文科省に「訂正申請」の有無を確かめてみました。
19 その結果、9月27日現在ではこの写真についての「訂正申請」はされていないとのことです。
20 このままでは、来年4月からこの問題写真が載った教科書で、小学校5年生は「道徳」の学習をさせられそうです。
21 なお、同教科書を採択した沖縄・那覇地区では、「選定委員会議議事録」によると、教科書展示会でこの写真を問題視する指摘があった、と一応話題にしています。
22 ところがすかさず別の委員(議事録が発言者名を墨塗りにしているので、氏名は不明)が、「下町ボブスレー」の話は35件の主要教材扱いではなく「補充教材」扱いになっていることを強調し、次のように主張しました。
23 「補充教材なので、それを取り上げる、取り上げないは、学校や5年生の先生方の選択になる訳で、そういう違和感があることを考える学年・教員は、取り上げなくてもいいようになっていると思う。あえて政治的な視点からということよりも、補充教材の性格からすると、とりあげなくても学校が選択して取り上げるということになるので、あえて問題にしなくていい気がします」と(2017年7月14日、「第3回選定委員会議事録」による)。
24 これに同調する発言もあり、結局、安倍首相のこの写真については、不問とされます。
25 しかし、仮に教員がこの「下町ボブスレー」の話を授業で扱わなかったとしても、教科書は5年生全員に配られ、生徒の手元に常時あるのですから、自由に読めるのです。その際に安倍首相問題写真は必然的に目に入ってきます。
26 不問にすると主張した委員は、「補充教材」を教員が独自に用意するものであるかのように話をすり替えて、教育出版教科書の問題点を打ち消すのにやっきだったと、議事録からは読めます。
27 それに同委員による上記23の発言は、教委による一括採択ではなく、学校ごとに教員による主体的な教科書採択をすることで、各学校の児童・生徒の状況にあった対応ができる、と言っていることにもなります。
安倍首相と教育出版の弁護をしたいとして、思い付きの主張をしたところに無理があったと言えそうです。
28 全国各地の教育出版「道徳」教科書を採択した地区では、同様のこじつけ発言や「やぶ蛇」発言を一部の委員などがしでかしているのではないでしょうか。
29 委員会の傍聴記録や議事録の精査でこうした矛盾点を掘り起こしながら、上記15・17の問題点などについて教育委員会の責任を追及してはいかがでしょうか?
30 なお、教育委員会は「この夏の採択手続きに瑕疵はない」と言い張りそうで。その場合には「この夏の採択では、こうした問題点に気付かなっかったのであるとしたら、来年夏に2年目採択を決める際にはこれらの問題点のない教科書に採択変更をすべきだ」と迫ることも、対応策の一つとして考えられます。
31. その場合には「採択は4年間変更しないものとする」という規定が障害になりそうですが、この規定は絶対ではありません。
32 かつて沖縄八重山地区の共同採択で中学公民教科書について、共同採択協議会が決めた育鵬社版を、竹富町教委が3年間拒否したのに対し、文科省は手をこまねいているしかありませんでした。3年目に、文科省側が竹富町教委の主張に合致するように法律を改正したことを受け、竹富町教委が採択した教科書で文科省に手続きをしたので、その年度から問題点は解消しました。
文科省が関連する二つの法律に不整合部分があると気づきながら半世紀以上も放置してきたという落ち度を竹富町教委が追及したために、文科省(下村博文・文科大臣)が「4年間ルール」を振りかざせなかったのです。
今回の件も、問題点だらけの写真に検定でお墨付きを与えたという、文科省側の落ち度があります。そしてそのことを指摘されながら聞き流して教育出版「道徳」を採択した教委にも責任があるとして、来年夏には小学校「道徳」採択をやり直すように迫ること、ということも考えられます。
33 その意味で、今回の総選挙の結果が地域ごとに教育行政の状況にどのような変化を生み出すか、注目したいところです。
*まだ関連の話題がありますが、今回も長くなりましたので積み残しは別途<報告③>としてお届けいたします。
皆さま 高嶋伸欣です

1 <報告②>の主題は、問題の写真で「ポーズを決める安倍首しょう」とされているところの「ポーズ」が、海外特に英語圏のイギリスやオーストラリアではセクハラサインとされている「裏ピース」サインになっているという問題についてです。
2 『下町ボブスレー』(NHK出版)によると、この写真撮影の際に、下町ボブスレー・プロジェクト・チームのPR担当者が、安倍氏にチームの「決めポーズ」である「ボブピース」サインを右手でするように求めたのだそうです。
3 「ボブピース」サインとは、親指を立てることでいい仕事を意味し、人差し指と中指ではVの字に開いて、勝利の意味も加え、同チームの決めポーズに位置付けてきたものとのことです。
4 確かにこれだけのことであれば、あまり問題にならないことのようにも思えます。
けれども、それでは済まされないのが安倍首相の写真です。
5 問題の写真をよくよくみると、安倍首相も人差し指と中指だけでなく、親指も立てているようです。けれどもそれは改めて目を凝らしてみて初めて分かるくらいの紛らわしさです。一見しただけでは、人差し指と中指をV字型に広げているだけのように見てとれる写真です(添付の拡大写真参照)。
6 それにチームの決めポーズの図解(児童書『町工場の底力 下町ボブスレーの挑戦』かもがわ出版、2015年)では、人差し指と中指はV字型に開くのではなく2本そろえてまっすぐにしています(添付の図版参照)。
7 その様子は、安倍首相の横にいるチーム幹部がそのようにしていることで、分かります。
8 ところが安倍首相はその2本の指をはっきりとV字型に広げています。
明らかに、「ボブピース」サインは説明と実際とが食い違っています。

9 そうした曖昧さに加えて、この「ボブピース」サインには、重大な問題点があります。
それは、二本指のピースサインを取り込んだつもりでいても、ピースサインとは異なり対面の人物などに向けて手のひらではなく、手の甲を突きつける形にしていることです。
10 これがいわゆる「裏ピース」サインで、セクハラサインに当たるものなのです。意味は中指を一本だけ立てて悪態をつく程ではないとする説明が、ネットなどにはありますが、「その気はないかい?」「いつでもいいよ」というようなセクハラ・サインということです。
11 あるネットのコメント(「info-of-bord 色んなピースサインの意味とは? ダブルピースや3本指ピースとは?」)では、次のように注意喚起をしています。
12 「仕草は国が異なれば別な意味を持つことになります。ピースサイン意味も国によって異なる意味を持つことがあります。
しかしながら、時には注意を要するものがありますので注意です」と。
13 そして「ピースサインを裏返しにする意味」について次のように「最悪の場合は」「命をおとしかねません」と警告しています。
14 「手のひらを内側に向けたいわゆる『裏ピース』です。ヒップホップのPVで出てきそうな若者に流行しています。しかしこの裏ピースはイギリスやオーストラリアなどでは中指を立てる『F@ck you』という侮辱表現のポーズと同じ意味になってしまうので、やってはいけません。
最悪の場合打たれ(撃たれ?)ます。命を落としかねません」と。
15 以上のように安倍総裁・首相のこの決めポーズ写真は
1)<報告①>で明らかにしたように、もともと教科書本文の記述では安倍氏に触れていなくて、必要もないのに強引に載せたものです。
2)そのうえ、この写真は自民党本部で開催された行事の時に撮影されたものです。その場面であるとの説明なしである上に「安倍総裁」でなく「安倍首相」というキャプションを付けているのは、不実記載です。
3)結果として「道徳」教科書が、”ウソ”説明を付した写真を掲載することで、自民党の政策宣伝物として利用されているという、実例に該当します。
4)道徳の教科化は、安倍政権の「教育再生実行政策」の柱の一つです。安倍政権による教育の政治的私物化がここまで及んでいるということを示すものとして、看過できないように思えます。
いかがでしょうか。
16 これらに加えてこの「裏ピース」写真です。
確かに、「裏ピース」サインにこのような問題点があることが、まだ日本国内ではあまり知られていません。けれどもイギリスやオーストラリアへの修学旅行や語学研修留学などで、若者が多数出かけている時代です。
17 教育出版「道徳」教科書を採択した地域の小学生が、このでしょうか?
18 一方で、これだけ全国各地での採択をめぐってこの写真が問題にされているので、教育出版が他の写真との差し替え、あるいは削除の手続きをしていないか、文科省に「訂正申請」の有無を確かめてみました。
19 その結果、9月27日現在ではこの写真についての「訂正申請」はされていないとのことです。
20 このままでは、来年4月からこの問題写真が載った教科書で、小学校5年生は「道徳」の学習をさせられそうです。
21 なお、同教科書を採択した沖縄・那覇地区では、「選定委員会議議事録」によると、教科書展示会でこの写真を問題視する指摘があった、と一応話題にしています。
22 ところがすかさず別の委員(議事録が発言者名を墨塗りにしているので、氏名は不明)が、「下町ボブスレー」の話は35件の主要教材扱いではなく「補充教材」扱いになっていることを強調し、次のように主張しました。
23 「補充教材なので、それを取り上げる、取り上げないは、学校や5年生の先生方の選択になる訳で、そういう違和感があることを考える学年・教員は、取り上げなくてもいいようになっていると思う。あえて政治的な視点からということよりも、補充教材の性格からすると、とりあげなくても学校が選択して取り上げるということになるので、あえて問題にしなくていい気がします」と(2017年7月14日、「第3回選定委員会議事録」による)。
24 これに同調する発言もあり、結局、安倍首相のこの写真については、不問とされます。
25 しかし、仮に教員がこの「下町ボブスレー」の話を授業で扱わなかったとしても、教科書は5年生全員に配られ、生徒の手元に常時あるのですから、自由に読めるのです。その際に安倍首相問題写真は必然的に目に入ってきます。
26 不問にすると主張した委員は、「補充教材」を教員が独自に用意するものであるかのように話をすり替えて、教育出版教科書の問題点を打ち消すのにやっきだったと、議事録からは読めます。
27 それに同委員による上記23の発言は、教委による一括採択ではなく、学校ごとに教員による主体的な教科書採択をすることで、各学校の児童・生徒の状況にあった対応ができる、と言っていることにもなります。
安倍首相と教育出版の弁護をしたいとして、思い付きの主張をしたところに無理があったと言えそうです。
28 全国各地の教育出版「道徳」教科書を採択した地区では、同様のこじつけ発言や「やぶ蛇」発言を一部の委員などがしでかしているのではないでしょうか。
29 委員会の傍聴記録や議事録の精査でこうした矛盾点を掘り起こしながら、上記15・17の問題点などについて教育委員会の責任を追及してはいかがでしょうか?
30 なお、教育委員会は「この夏の採択手続きに瑕疵はない」と言い張りそうで。その場合には「この夏の採択では、こうした問題点に気付かなっかったのであるとしたら、来年夏に2年目採択を決める際にはこれらの問題点のない教科書に採択変更をすべきだ」と迫ることも、対応策の一つとして考えられます。
31. その場合には「採択は4年間変更しないものとする」という規定が障害になりそうですが、この規定は絶対ではありません。
32 かつて沖縄八重山地区の共同採択で中学公民教科書について、共同採択協議会が決めた育鵬社版を、竹富町教委が3年間拒否したのに対し、文科省は手をこまねいているしかありませんでした。3年目に、文科省側が竹富町教委の主張に合致するように法律を改正したことを受け、竹富町教委が採択した教科書で文科省に手続きをしたので、その年度から問題点は解消しました。
文科省が関連する二つの法律に不整合部分があると気づきながら半世紀以上も放置してきたという落ち度を竹富町教委が追及したために、文科省(下村博文・文科大臣)が「4年間ルール」を振りかざせなかったのです。
今回の件も、問題点だらけの写真に検定でお墨付きを与えたという、文科省側の落ち度があります。そしてそのことを指摘されながら聞き流して教育出版「道徳」を採択した教委にも責任があるとして、来年夏には小学校「道徳」採択をやり直すように迫ること、ということも考えられます。
33 その意味で、今回の総選挙の結果が地域ごとに教育行政の状況にどのような変化を生み出すか、注目したいところです。
*まだ関連の話題がありますが、今回も長くなりましたので積み残しは別途<報告③>としてお届けいたします。
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