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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

大阪市の教科書採択地区を1区から4区へ

2019年03月19日 | こども危機
 ◆ 大阪市の教科書採択地区を1区から4区へ
   ~大阪市教委は、大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」区割りに合わせる
(教科書ネット)
永石幸司(出版労連大阪地協事務局長・子どもと教科書大阪ネット21)

 ◆ 大阪市の採択地区は4地区へ
 大阪市教育委員会は2018年12月25日(火)の教育委員会会議で、市立小中学校の教科書採択地区を、「大阪都構想」と同じ区割りの4採択地区に分化する案を決定した。
 第1地区=5つの区
 第2地区=7つの区
 第3地区=7つの区
 第4地区=5つの区
 採択地区の変更権限を持つのは大阪府教育委員会であるが、報道などによると、2019年2月の大阪府教育委員会会議で正式に決まる見通しで、2019年夏の小学校教科書採択より適用される。
 ◆ 全市1区の採択で起きた問題

 大阪市の採択地区は、昭和30年代から市内24区を2~4区ごとの計8地区であったが、大阪維新市政のもとで大阪市教委が採択地区を1つに統合する要望を大阪府教委に出し、2014年2月に決定。2015年度の市立小学校で使用される教科書から適用された。
 全市1区での教科書採択は、2014年の小学校、2015年の中学校、2017年の小学校道徳、2018年の中学校道徳採択の計4回実施された。
 このうち2015年中学校採択では、社会科歴史的分野・公民的分野において、育鵬社教科書が問題ある手法で採択されて社会問題になった。その後、市民や議会から複数区化の要望が出ていた。
 ◆ 政権への忖度により歪められる教育行政

 「大阪都構想」自体は2015年5月17日の住民投票で否決され、当時の橋下市長が辞任している。
 大阪維新の会は、同年11年22月の府知事・市長のダブル選挙で勝利したことから「大阪都構想」の実現を再び目指している。
 今回の大阪市教委の決定には、実現が決まってもいない「大阪都構想」の区割り案に合わせるのは「大阪市教委による政治への付度ではないか」という疑念も多く出されている。
 これに対し、「特別区の先取りではない。法定協議会で議論中の区割り案は行政の素案。区ごとの学校数や交通の便からも教育的理屈が立つ」として、政治的意図を否定しているという。
 地方教育行政法の“改正”により首長が新「教育長」を直接任命できるようになり、教育内容や教科書採択への首長の意向がより反映やすくなるようになった。
 大阪維新の会では教育基本条例など、教員を統制する制度を作り、最近では児童・生徒のテストの結果を賞与や昇給にかかわる校長の人事考課に反映する制度を大阪市教委が作ろうとしている。
 教育委員会は首長など政治とは独立した存在でなければ「行政が歪められる」ということを表しているように思えてならない。
 今回の大阪市の採択地区を増やすこと自体は歓迎すべきことではあるが、なぜ以前の8地区ではないのか、なぜ区割りが「大阪都構想」(案)の区割りなのか、について政治的付度という疑念は晴れない。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 124号』(2019.2)

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