2016年3月15日
◎ 良心的不服従教職員に対して懲戒処分、
再発防止研修等を行わないことを求める要請
再発防止研修等を行わないことを求める要請
「要請行動」 《撮影:gamou》
1月26日に、東京都教育委員会宛に『卒・入学式を前に起立斉唱等の職務命令を出さないこと等を求める要請』を提出したにも関わらず、教育委員会に諮られた形跡もないまま、事務方の紋切り型の回答のみで、私たちの要請は受け入れられることなく、職務命令が発令されてしまいました。
それでも、子どもたちの思想及び良心の自由の侵害に手を貸すわけにはいかないと考え、教職員としての責務に忠実であろうとして職務命令に従えなかった教職員がいました。「10・23通達」以来13年で、これまで延べ474人が処分されてきましたが、どんなに不利益を課されても良心的不服従を貫く教職員が後を絶ったことはありません。
2012年最高裁判決では、「稔りなき応酬を終息させることは,関係者全ての責務というべきである」(第1小法廷横田尤孝裁判官)を始めとしてこれと同趣旨の補足意見が多数つきました。「何が子供たちの教育にとって,また子供たちの将来にとって必要かつ適切なことかという視点」(第1小法廷桜井龍子裁判官)に立って1日も早い解決が求められているのではないでしょうか。
2015年には東京高裁で、都の「裁量権の逸脱・濫用」を戒める3つの判断が示されました。三権分立の下で司法判断を遵守すべき行政として、現在の政策を抜本的に見直すべき時です。とりわけ累積加重処分については、2012年最高裁判決以降65件55人の減給以上の処分が悉く取り消されてきた判例の蓄積を踏まえて、「減給以上の処分を選択することが許容される」というこれまでの手前勝手な最高裁判決解釈を直ちに見直し、今後判示に沿わない違法な処分を根絶すべきです。
教育の目的は、「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教基法第1条)にあります。教育委員会の責務とは、教育の目的の実現を目指して職務に専念している教員を、「励まし、援助するように計画されるもの」(ユネスコ教員の地位に関する勧告パラ6)であって、その逆に「教員の自由、創造性、責任感をそこなうようなものであってはならない」(同上)とされています。国際社会で尊敬され信頼される日本人を育てるために、国際標準の教育理念に基づいて、教育委員会が自らの職責を正しく果たすことを求めて、以下の要請を行います。
1,教職員の専門職上の自由を束縛し、生徒の公正な教育を受ける権利を阻害している「10・23通達」を撤回すること。東京都教育委員会 教育長 中井敬三 殿
2,教職員の自らの歴史観・世界観ないし教育上の信念に基づく行動に対して、いかなる「処分」も科さないこと。
3,とりわけ2012年最高裁判決以降の判例の積み重ねで、違法が明白となった処分量定の累積加重など裁量権の逸脱濫用は厳に慎むこと。
4,これまでの判例の積み重ねを踏まえ、「不起立行為等に対する懲戒においては・・・戒告を超えて減給以上の処分を選択することが許容される」との誤った判例解釈を掲載した『卒業式、入学式等における職務命令違反による懲戒処分の考え方』は破棄すること。
5,これまでの最高裁判決全体の趣旨を踏まえて、「何が子供たちの教育にとって,また子供たちの将来にとって必要かつ適切なことかという視点」(第1小法廷桜井龍子裁判官)に立って、「稔りなき応酬を終息させる」(第1小法廷横田尤孝裁判官)ために、「教育行政担当者において,寛容の精神の下に可能な限りの工夫と慎重な配慮」(第2小法廷須藤正彦裁判官)を行うか、もしくは「すべての教育関係者の慎重かつ賢明な配慮」(第1小法廷金築誠志裁判官)が形成される場を設定すること。
6,思想及び良心は内心にとどまる限りにおいては絶対的に保障されるところ、不起立行為等の再発を防止すると言うことは、外部に行動として現れる前の内心の改変を迫ることに当たり、そのような研修は、憲法で禁止されているので絶対に行わないこと。
7,「教育の目的」を歪曲し、「教員の責務」を矮小化し、「最高裁判決」を曲解するなど、教育の条理をねじ曲げる『都教委1.24議決』を撤回すること。
8,国連勧告(2014/7/24)について、2月9日付指導部指導企画課の回答では、2011年最高裁判決を以て回答としているが、国連自由権規約審査において、日本政府が同最高裁判決を以て回答したことに対して委員会から出された勧告がこれなのである。従って、国連に受け入れられなかった同じ答の繰り返しではなく、改めて最高裁判断だけに留まらず国際標準を満たして「規約18条・19条のそれぞれ第3項に規定された厳しい条件を満たさない限り、締約国が、思想・良心・宗教の自由や表現の自由の権利に対していかなる制約を課すことをも差し控える」ことの即時実行を求める。
9,同勧告に関して、外務省から、東京都総務局人権部に送付され、教育庁総務部教育政策課が受け取ったとされる文書に指示されている「人権の一層の保護・推進に向けた施策として活用するように」、に基づいて行われた施策があれば、示していただきたい。
10.都立高には、多様な人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見を持つ生徒が通っていることを踏まえ、各々の尊厳と権利を尊重し、今後、画一的な日の丸・君が代への起立斉唱の強制は行わないこと。
委員 木村 孟 殿
委員 山口 香 殿
委員 遠藤勝裕 殿
委員 宮崎 緑 殿
委員 大杉 覚 殿
五者卒業式・入学式対策本部
「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をひきつぐ会
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
「君が代」強制解雇裁判をひきつぐ会
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団
東京「再雇用拒否」第三次訴訟原告団
対策本部長:川村佐和(都立大森高校・全)
(回答期限) 3月23日(水)
「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をひきつぐ会
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
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再雇用拒否撤回を求める第二次原告団
東京「再雇用拒否」第三次訴訟原告団
対策本部長:川村佐和(都立大森高校・全)
(回答期限) 3月23日(水)
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