=たんぽぽ舎です。【TMM:No4454】「メディア改革」連載第95回=
◆ 原発が戦場になったウクライナ戦争から学べ
◎ ロシアによるウクライナへの武力侵攻で、真っ先に首都キエフの北にあるチェルノブイリ原発(廃炉)がロシア軍によって占拠された。
また、ウクライナ南部にある欧州で最大規模のザポリージャ原発も3月4日、ロシア軍に制圧された。
ロシア軍は3月末、チェルノブイリ原発から完全撤退し、ウクライナ側に管理を移管した。ロシア軍兵士が被曝したという報道もあった。原発がある国の戦争はこれまでの戦争とは違う恐怖、脅威がある。
◎ ウクライナは独立後も、1986年、ソ連時代に起きたチェルノブイリ原発事故の経験があるにもかかわらず、新規に原発を建設し、ウクライナの原子力企業エネルゴアトムが現在5カ所、15基の原発を稼働させている。
◆ ロシア軍の原発「攻撃」は本当か
ウクライナの原発を巡っては、ロシアが原発を砲弾で攻撃した、原発を戦場にしたという報道で溢れているが、普通に考えて、そんな無謀なことをするだろうか。
モスクワから約700キロにある原発をロシア軍が破壊すれば、ロシアの受ける被害は甚大だ。不幸な戦争で、原発を巡って陣取り合戦が行われているのであり、エネルギー関連インフラである核施設も戦場になるのは避けられない。
ロシアは原発を「制圧」したのであり、原発を砲撃したというのは不正確ではないか。
原発で火災が発生しているが、ロシア軍の攻撃によるものかは不明だ。
ロシアはウクライナで活動するアゾフ部隊などのネオナチ勢力から原発を守ったと主張している。
「ウクライナが核兵器を開発している」というロシアの懸念を暴論と言えるだろうか。十分な検証が必要だ。
◎ 元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は<ウクライナ情勢-歴史の教訓>(3月24日)でこう述べている。
https://www.youtube.com/watch?v=dt5-6tXYyxY
「何故プーチン大統領は原発を攻撃したのか?攻撃してないです。2014年の米ネオコンによるクーデターで政権に入ったネオナチ勢力に原発を破壊されないようにプーチン大統領がそれを抑えた。いずれ世界のメディアもこれを認めざるを得なくなる」
◎ 私は2012年と19年にウクライナを訪問した。当時、史上最悪の原発事故を起こしたウクライナ政府が原発を新規建設してきたことに違和感を持った。
政府高官、専門家、労組幹部、ジャーナリストは「今の原発はチェルノブイリ型とは違う新型で安全だ」「エネルギーとして欠かせない」と口を揃えた。
ウクライナ現政権はIAEAの優等生で、原発マフィア政権なのだ。
日本の反原発グループの中にも、「ウクライナとともにある」と唱え、ゼレンスキー大統領を英雄視している人々がいるが、ウクライナが原発大国であることを見過ごしていないか。
◆ 「仮想敵国に向けて海岸線にある原発は自分に向けた核弾頭」
◎ 国際紛争の調停のプロである伊勢崎賢治東京外国語大学大学院教授(平和構築学)は開戦前の2月22日、<新冷戦の戦場となる北極圏の小国への示唆>でこう書いている。
伊勢崎氏は<戦後、アメリカの原子力政策に支配されて、仮想敵国に向けて海岸線に原発を建設してきた日本。故人であるが、原子力産業の中枢にいて、経団連の幹部まで勤めた友人が、生前に僕に語った言葉に、『原発は自分に向けた核弾頭』というのがある>と述べた。
◎ 安倍晋三元首相ら自民党の靖国派、維新、国民などの壊憲勢力は、ウクライナ紛争を理由に、軍拡を狙っているが、日本海(朝鮮・中国は「東海」と呼ぶ)沿岸に原発を設置していることの危険性は大きい。
警察庁は「原発を警備している」と国会で答弁。
安倍晋三氏は4月9日、福井テレビに出演し、福井テレビ報道番組に出演し、「原子力施設でテロが起こりそうな状況であれば警護出動。有事になれば自衛隊が行く」と発言した。法改正なしに自衛隊が原発の警護はできない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f95b6bca37ed3c9b00d0081cb4e30f168202ad16
◎ 3月5日の東京新聞特報面に<ロシアの原発砲撃「やっぱり狙われた」日本でミサイル攻撃を懸念し裁判した人たち「最大の弱点」と訴え>という記事が掲載された。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/163725
この記事に、大阪府在住の水戸喜世子さんが2017年7月、朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を繰り返す中、関西電力高浜原発が攻撃に遭う危険性があるとして、運転差し止めの仮処分を大阪地裁に申し立てた裁判のことが出ている。
水戸さんは当時、政府が自衛隊にミサイル迎撃の破壊措置命令を出している間は原発を停止させるべきだと主張。
しかし、大阪地裁は2018年3月、「具体的危険があるとは言えない」と申し立てを却下した。政府の破壊措置命令は今も発令されたままだ。
水戸さんに、今、「戦争と原発」についてどう思っているかを聞いたところ、4月7日に見解を寄せてくれた。
ブログに見解を全文掲載した。ぜひ読んでほしい。
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/29016140.html
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/29016155.html
◆ 原発が戦場になったウクライナ戦争から学べ
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)
◎ ロシアによるウクライナへの武力侵攻で、真っ先に首都キエフの北にあるチェルノブイリ原発(廃炉)がロシア軍によって占拠された。
また、ウクライナ南部にある欧州で最大規模のザポリージャ原発も3月4日、ロシア軍に制圧された。
ロシア軍は3月末、チェルノブイリ原発から完全撤退し、ウクライナ側に管理を移管した。ロシア軍兵士が被曝したという報道もあった。原発がある国の戦争はこれまでの戦争とは違う恐怖、脅威がある。
◎ ウクライナは独立後も、1986年、ソ連時代に起きたチェルノブイリ原発事故の経験があるにもかかわらず、新規に原発を建設し、ウクライナの原子力企業エネルゴアトムが現在5カ所、15基の原発を稼働させている。
◆ ロシア軍の原発「攻撃」は本当か
ウクライナの原発を巡っては、ロシアが原発を砲弾で攻撃した、原発を戦場にしたという報道で溢れているが、普通に考えて、そんな無謀なことをするだろうか。
モスクワから約700キロにある原発をロシア軍が破壊すれば、ロシアの受ける被害は甚大だ。不幸な戦争で、原発を巡って陣取り合戦が行われているのであり、エネルギー関連インフラである核施設も戦場になるのは避けられない。
ロシアは原発を「制圧」したのであり、原発を砲撃したというのは不正確ではないか。
原発で火災が発生しているが、ロシア軍の攻撃によるものかは不明だ。
ロシアはウクライナで活動するアゾフ部隊などのネオナチ勢力から原発を守ったと主張している。
「ウクライナが核兵器を開発している」というロシアの懸念を暴論と言えるだろうか。十分な検証が必要だ。
◎ 元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は<ウクライナ情勢-歴史の教訓>(3月24日)でこう述べている。
https://www.youtube.com/watch?v=dt5-6tXYyxY
「何故プーチン大統領は原発を攻撃したのか?攻撃してないです。2014年の米ネオコンによるクーデターで政権に入ったネオナチ勢力に原発を破壊されないようにプーチン大統領がそれを抑えた。いずれ世界のメディアもこれを認めざるを得なくなる」
◎ 私は2012年と19年にウクライナを訪問した。当時、史上最悪の原発事故を起こしたウクライナ政府が原発を新規建設してきたことに違和感を持った。
政府高官、専門家、労組幹部、ジャーナリストは「今の原発はチェルノブイリ型とは違う新型で安全だ」「エネルギーとして欠かせない」と口を揃えた。
ウクライナ現政権はIAEAの優等生で、原発マフィア政権なのだ。
日本の反原発グループの中にも、「ウクライナとともにある」と唱え、ゼレンスキー大統領を英雄視している人々がいるが、ウクライナが原発大国であることを見過ごしていないか。
◆ 「仮想敵国に向けて海岸線にある原発は自分に向けた核弾頭」
◎ 国際紛争の調停のプロである伊勢崎賢治東京外国語大学大学院教授(平和構築学)は開戦前の2月22日、<新冷戦の戦場となる北極圏の小国への示唆>でこう書いている。
伊勢崎氏は<戦後、アメリカの原子力政策に支配されて、仮想敵国に向けて海岸線に原発を建設してきた日本。故人であるが、原子力産業の中枢にいて、経団連の幹部まで勤めた友人が、生前に僕に語った言葉に、『原発は自分に向けた核弾頭』というのがある>と述べた。
◎ 安倍晋三元首相ら自民党の靖国派、維新、国民などの壊憲勢力は、ウクライナ紛争を理由に、軍拡を狙っているが、日本海(朝鮮・中国は「東海」と呼ぶ)沿岸に原発を設置していることの危険性は大きい。
警察庁は「原発を警備している」と国会で答弁。
安倍晋三氏は4月9日、福井テレビに出演し、福井テレビ報道番組に出演し、「原子力施設でテロが起こりそうな状況であれば警護出動。有事になれば自衛隊が行く」と発言した。法改正なしに自衛隊が原発の警護はできない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f95b6bca37ed3c9b00d0081cb4e30f168202ad16
◎ 3月5日の東京新聞特報面に<ロシアの原発砲撃「やっぱり狙われた」日本でミサイル攻撃を懸念し裁判した人たち「最大の弱点」と訴え>という記事が掲載された。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/163725
この記事に、大阪府在住の水戸喜世子さんが2017年7月、朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を繰り返す中、関西電力高浜原発が攻撃に遭う危険性があるとして、運転差し止めの仮処分を大阪地裁に申し立てた裁判のことが出ている。
水戸さんは当時、政府が自衛隊にミサイル迎撃の破壊措置命令を出している間は原発を停止させるべきだと主張。
しかし、大阪地裁は2018年3月、「具体的危険があるとは言えない」と申し立てを却下した。政府の破壊措置命令は今も発令されたままだ。
水戸さんに、今、「戦争と原発」についてどう思っているかを聞いたところ、4月7日に見解を寄せてくれた。
ブログに見解を全文掲載した。ぜひ読んでほしい。
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/29016140.html
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/29016155.html
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