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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

<秘密保護法案>自由と権利骨抜き 世論で悪法葬ろう

2013年10月20日 | 平和憲法
 ● 「デートも出来ない警職法」にならい 「秘密保護法案」反対標語を考える
 安倍政権は、特定秘密保護法案を二十五日にも閣議決定して国会へ提出する。「こちら特報部」は同法案に反対だ。市民の自由と権利を骨抜きにする悪法の本質を一言で表現できないか。過去には「デートもできない警職法」、などの名コピーが、戦争・治安立法を葬り去る原動力になったこともある。「反対標語」を識者と一緒に考えた。(鈴木伸幸、小倉貞俊)
 ● 「官僚の官僚による保護法案」
 「官僚の官僚による官僚のための秘密保護法案」と命名したのは、日弁連秘密保全法制対策本部事務局長の清水勉弁護士だ。言うまでもなく、リンカーン米大統領の「人民の人民による人民のための政治」を皮肉たっぷりにもじった。「官僚が好き放題に情報をコントロールする。場合によっては国会議員も処罰される
 裏を返せば「全くの人民不在の法案」でもある。「『特定秘密情報』の定義は曖昧だ。官僚が都合よく秘密としてしまえば、その情報は公開されず、(秘密指定が)妥当かどうかの判断材料すらない」
 全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長を務める新海聡弁護士も●「特定官僚保護法案」と官僚を俎上に載せる。「結局は官僚を守るための法案だ。情報の公開、非公開を自己都合で決め、国会の審議をもコントロールしょうとしている。それに国会議員は気付いているのか」
 東京電力福島第一原発事故の情報も秘密になりかねない。日弁連秘密保全法制対策副本部長の井上正信弁護士は●「秘密保護、いえ原発情報の隠蔽法案」とみる。
 「『対テロ対策』を名目にすれば、現在進行形の福島原発の事故に関する情報は出さずにすむ。小さな事故についても同様」だ。福島事故ではSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が適切に公開されなかったが、原発事故の被害予測を堂々と隠すようになる」
 法案の制定過程も秘密だらけだ。民主党政権時代の有識者会議の報告書が法案のたたき台になっているが、同会議をめぐっては、議事録の未作成や職員メモの破棄などが明らかになっている。
 同会議の穏薇工作を追及した福島瑞穂参院議員(社民)は●「不都合な真実隠す保護法案」と断じる。「とにかく政府に都合の悪い情報を恣意的に隠すための法案で、最大の問題は何が秘密か分からないことだ」と批判する。
 同会議の情報公開請求に取り組んだNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は●「政府の中にある秘密を吸い込むブラックホール」と危惧する。
 「政府は現状でも秘密を秘密のまま葬っているが、この法律によってそれがより深刻化する。知る権利への脅威になる」
 政治に詳しいお笑い芸人集団「大川輿業」の大川豊総裁は、少女が魔法で変身して人助けする往年の人気アニメになぞらえて●「ひみつのアッコちゃんはみんなを助け、秘密のコッカ(国家)ちゃんはみんなを捕まえる」と切り捨てた。
 ● 「本当は米軍保護法案」
 米国は、、秘密保護法制の整備を強く要請してきた。元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「本当は米軍保護法案」と看破する。
 「集団的自衛権の解釈改憲後、米軍が自衛隊と共同で動くことを前提に、米国が日本に同レベルの秘密保持を求めた結果だ。日本独自には不要で、米軍が自衛隊を自分の軍隊として使うための法整備にほかならない」
 秘密保護法案は、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案とセットで推進されている。まさに「安倍印」だ。軍事評論家の前田哲男氏は、アベノミクスならぬ●「アベノシークレット」と表現する。「安倍政権は『戦争できる国』をつくろうとしている。そのための法案だ
 報道の自由への影響は計り知れない。政府は公明党との協議で、取材活動を原則として罰則の対象外とする修正内容で合意した。だが、あくまでも「不当な方法を伴わない通常の取材活動」が前提だ。
 法政大の水島宏明教授(メディア社会学)の標語は●「報道の自由を奪う秘密保護法案」。「『通常の取材活動』がどんな取材なのか不明。『不当な方法』といっても、そもそも取材方法は正当と不当に分けられるものではない。解釈一つでどうにでもなり、報道の自由が大きくそがれる
 ジャーナリストの魚住昭氏は●「原発事故も核保有も軍事行動も全て隠せる秘密保護法案」と危機感をあらわにする。「政府が自分たちにとって都合の悪い事実を隠すことで、国民の安全を侵すことにつながりかねない。『国の安全保障や公共の秩序を守るため』という(同法案の)建前にだまされてはいけない」
 ● 「何が秘密?それは秘密です」
 「何が秘密?それは秘密です」とシンプルに本質を突くのは、北朝鮮の脱北者を取材してきたジャーナリスト集団「アジアプレス」の石丸次郎共同代表だ。「権力が秘密を恣意的に定められる状況にある。調査報道を徹底して、権力と戦うしかない」と力を込める。
 市民運動も身構える。阪南大の下地真樹准教授は●「秘密守って民を守らず」●「知りたい気持ちが罪になる」●「隠すのは秘密というより下心」と複数の標語を繰り出す。
 下地氏は昨年末、大阪市の震災がれき搬入に反対するデモ行進をしたとして威力業務妨害容疑などで逮捕され、不起訴処分となった。「国民の自由や権利がないがしろにされかねない法案だ。強く警戒するべきだ」と訴える。
 上智大の田島泰彦教授(情報メディア法)は●「“特定”と言いつつ“不特定”に秘密化する保護法案ごまかしやウソ・不都合もお上の一存」と警鐘を鳴らす。「特定」と銘打てば、さも特別な国家機密のように感じるが、実際には「あらゆる分野に都合よく乱用される恐れがある」という。
 田島氏は過去の歴史をひもとき、「反対標語やスローガンが世論を形成したり、後押しをした例がある」と指摘する。
 例えば、安倍晋三首相の祖父である岸信介政権は一九五八年、警察の権限を拡大する警察官職務執行法(警職法)改正案を提出するものの、●「デートもできない警職法」と猛反発を浴び、廃案に追い込まれた。
 「優れたフレーズやキャッチコピーは理屈ではなく、感覚に訴える力がある。問題に詳しくない市民にも『これはおかしいな』と感じさせ、世論形成につながザていぐ」(田島氏)
 ※デスクメモ
 絵に描いたような出来レースだ。はじめから分かってはいたが、公明党が秘密保護法案にゴーサインを出した。同党のサイトには「短歌・川柳風『すぐに語れる』公明党」というコーナーがある。特報面向けにアレンジした。「街角の 声を政治に 懲役10年」「出来レース 元祖と言えば 公明党」(圭)
『東京新聞』(2013/10/18【こちら特報部】)

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