=たんぽぽ舎です。【TMM:No4228】「メディア改革」連載第66回=
◆ 菅首相記者会見でも「感染リスク」質問をスルー
◎ 政府は6月17日、新型コロナ対策本部を開催し、7都府県について、20日に緊急事態宣言を解除し、まん延防止等重点措置に移行するなどを決定。
菅義偉首相は17日午後7時から官邸で記者会見した。14回目の会見。
NHK「ニュース7」枠で中継された会見を見た。
官邸HPに動画と文字記録がアップされている。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0617kaiken.html
首相の官邸での記者会見はコロナ禍を理由に、昨年4月7日から参加者が29人に制限されている。
内閣記者会(以下、記者会)常勤幹事社19社の各1人と、抽選で選ばれる記者会非常勤社・専門紙・雑誌・外国・ネット・フリー枠から各1~2人で10人だ。
記者会幹事社(東京新聞・共同通信)は地方紙など18社の要望を受け、5月27日、制限撤廃を求める要請文を官邸側に提出。
また、6月17日の首相会見に先立ち、一部社が制限緩和などを官邸に申し入れていたが、官邸側は応じなかった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20210530-00240502/
記者会の規約と閣議決定で、「首相会見の主催は記者会」とされているのに、この日の会見も小野日子内閣広報官が仕切った。
記者会のメンバーは事前に質問事項を官邸側に提出しており、菅氏は官僚が用意した台本を棒読みするだけだった。
会見では、幹事社2社を含め13人が質問。小野氏は、多数が質問を求めて挙手していたのに、70分で打ち切った。
外交官出身で3月に就任した小野氏は当初、低姿勢だったが、最近は、慇懃無礼な役人の本性を現している。
今回も、質問者に「自席からの質問は控えてください」と2回“注意”し、記者が質問中に「質問をしてください」などと妨害した。
◆ 「主催者でない」と言いながら「1万人観客」五輪本土決戦
◎ 菅氏は、今も日本の人民の過半数が開催に反対している東京五輪・パラリンピックの開催を強調。上限1万人で観客を入れるとまで表明した。
「大震災から復興を遂げた姿を世界に発信し、子供たちに夢や感動を伝える」
「世界が団結し、人々の努力と英知でコロナの難局を乗り越えていくことを日本から世界に発信したい」。
菅氏は国会審議で、「五輪の主催者ではない」と繰り返していたのに、英国で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)を経て、五輪の責任者に変身した。
今回もプロンプターを使っているのに、視線がカメラに合わない。蛇顔・特高顔で貧相だ。
私と同い年のこの男には羞恥心がない。神経が図太く、品格・知性のかけらもない。
「重要土地等調査法や国民投票法も成立した」と言った時は、「重要土地」の発音は聞いていても、意味が分からなかった。相変わらず、「そうした」「こうした」「いずれにせよ」と力を込めて言うのが耳障りだ。
「全国の感染者数は、5月中旬以降、減少が続いている」というから、民衆は緊張感を失う。
「7月末までに高齢者のワクチン接種を終える」と言うのだが、「シガツ(4月)末」に聞こえる。
「警戒すべきは、大きなリバンドを起こさないことだ」。今回も「リバウンド」が言えない。
「新型コロナ」という言葉も、「新型」が聞きとれない。
「昨日は東京で65歳以上の方ちゅうのは501人のうち33人」。「ちゅう」を入れるのは下品だ。五輪問題で、「メデア」と言うのはメディアのことだ。
◆ 「G7参加全首脳が五輪支持」は大ウソ 五輪は共同声明末尾に3行の言及だけ
◎ 菅氏は4月の訪米での「日米同盟の固い絆」、英国でのG7で「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するチームの一員として温かく迎え入れられた」と外交成果を強調した。「五輪については、G7としての開催への支持が表明され、首脳宣言にも明記された」と胸を張った。
日本メディアが流した「G7が五輪支持」は半分フェイクだ。
メルケル独首相との会談では五輪の話は出なかった。バイデン米大統領は感染対策の条件を付けた。
首脳コミュニケの原文は25頁(和訳は33頁)もあるが、最後の3行に「五輪開催を改めて支持」と記しているだけだ。
文には一字もない。要約にもない。
ところが、日本政府作成の「骨子」にだけあり、メディアはこれを垂れ流した。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page1_000989.html
◎ この男は「安全・安心に開催する」と呪文のように繰り返す。普通は「安心・安全」と言うのではないか。
幹事社の東京新聞記者が「五輪開催で感染リスクがどれだけ増大するかの説明がない。国民の命に責任のある首相は、安全・安心との言葉を繰り返すのではなくて、総理としてのリスクの認識、評価を示してほしい」と聞いた。
菅氏の答えは「まず、安全・安心大会を実現するために感染対策を講じて、リスクを可能な限り小さくする」で始まった。
朝日新聞記者も「五輪における感染対策でどれだけ感染を減らすことができるか、できれば定量的なデータなどがあれば示してほしい」と聞いたが、「ワクチン接種、拍車を掛けていきたい」としか答えない。
「国際メディア」として指名されたRADIO FRANCEの西村カリン記者は、「感染拡大や死者が出るリスクがあっても、首相は大丈夫と思うその理由は何か。ノーと言えないのか。それともプライドか。又は経済の理由か」と聞いた。
菅氏は「ノーも、プライドも、経済でもない。日本においては、感染対策を講じることができる」「メディアの方は1つのホテルに集約、車両で移動する。車両は、アクリル板で運転席と客席を離す。これについて守ってくれない人は国外退去にする」と答えた。そんな理由で国外追放できるはずがない。
◎ 最後に指名されたIWJの岩上安身代表が「重要土地規制法に見られるように、首相の権限を異常なまでに強化している。改憲による緊急事態条項の先取りだ。なぜ、戦時独占体制の確立を急ぐのか。内閣独裁体制で日本は普遍的な価値を重んじる民主主義国家のグループから脱落する。米国の覇権を守るため、中国との戦争の先兵となることを自ら買って出るような、原発を抱えたまま破滅的な戦争に挑むというのは避けるべきではないか」と質した。
菅氏は「対中包囲網など私もつくりませんから、まず。土地問題で、独裁国家みたいな話があったが、国会で議論し、極めて民主的に決めた」と答えた。
まるで先の侵略戦争でのインパール作戦のように、“五輪本土決戦”に突入する日本は果たしてG7の他の6カ国と同じ人権と民主主義が確立された国なのか。都議選、衆院選を日本の民主化の第一歩としよう。
◆ 菅首相記者会見でも「感染リスク」質問をスルー
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)
◎ 政府は6月17日、新型コロナ対策本部を開催し、7都府県について、20日に緊急事態宣言を解除し、まん延防止等重点措置に移行するなどを決定。
菅義偉首相は17日午後7時から官邸で記者会見した。14回目の会見。
NHK「ニュース7」枠で中継された会見を見た。
官邸HPに動画と文字記録がアップされている。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0617kaiken.html
首相の官邸での記者会見はコロナ禍を理由に、昨年4月7日から参加者が29人に制限されている。
内閣記者会(以下、記者会)常勤幹事社19社の各1人と、抽選で選ばれる記者会非常勤社・専門紙・雑誌・外国・ネット・フリー枠から各1~2人で10人だ。
記者会幹事社(東京新聞・共同通信)は地方紙など18社の要望を受け、5月27日、制限撤廃を求める要請文を官邸側に提出。
また、6月17日の首相会見に先立ち、一部社が制限緩和などを官邸に申し入れていたが、官邸側は応じなかった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20210530-00240502/
記者会の規約と閣議決定で、「首相会見の主催は記者会」とされているのに、この日の会見も小野日子内閣広報官が仕切った。
記者会のメンバーは事前に質問事項を官邸側に提出しており、菅氏は官僚が用意した台本を棒読みするだけだった。
会見では、幹事社2社を含め13人が質問。小野氏は、多数が質問を求めて挙手していたのに、70分で打ち切った。
外交官出身で3月に就任した小野氏は当初、低姿勢だったが、最近は、慇懃無礼な役人の本性を現している。
今回も、質問者に「自席からの質問は控えてください」と2回“注意”し、記者が質問中に「質問をしてください」などと妨害した。
◆ 「主催者でない」と言いながら「1万人観客」五輪本土決戦
◎ 菅氏は、今も日本の人民の過半数が開催に反対している東京五輪・パラリンピックの開催を強調。上限1万人で観客を入れるとまで表明した。
「大震災から復興を遂げた姿を世界に発信し、子供たちに夢や感動を伝える」
「世界が団結し、人々の努力と英知でコロナの難局を乗り越えていくことを日本から世界に発信したい」。
菅氏は国会審議で、「五輪の主催者ではない」と繰り返していたのに、英国で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)を経て、五輪の責任者に変身した。
今回もプロンプターを使っているのに、視線がカメラに合わない。蛇顔・特高顔で貧相だ。
私と同い年のこの男には羞恥心がない。神経が図太く、品格・知性のかけらもない。
「重要土地等調査法や国民投票法も成立した」と言った時は、「重要土地」の発音は聞いていても、意味が分からなかった。相変わらず、「そうした」「こうした」「いずれにせよ」と力を込めて言うのが耳障りだ。
「全国の感染者数は、5月中旬以降、減少が続いている」というから、民衆は緊張感を失う。
「7月末までに高齢者のワクチン接種を終える」と言うのだが、「シガツ(4月)末」に聞こえる。
「警戒すべきは、大きなリバンドを起こさないことだ」。今回も「リバウンド」が言えない。
「新型コロナ」という言葉も、「新型」が聞きとれない。
「昨日は東京で65歳以上の方ちゅうのは501人のうち33人」。「ちゅう」を入れるのは下品だ。五輪問題で、「メデア」と言うのはメディアのことだ。
◆ 「G7参加全首脳が五輪支持」は大ウソ 五輪は共同声明末尾に3行の言及だけ
◎ 菅氏は4月の訪米での「日米同盟の固い絆」、英国でのG7で「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するチームの一員として温かく迎え入れられた」と外交成果を強調した。「五輪については、G7としての開催への支持が表明され、首脳宣言にも明記された」と胸を張った。
日本メディアが流した「G7が五輪支持」は半分フェイクだ。
メルケル独首相との会談では五輪の話は出なかった。バイデン米大統領は感染対策の条件を付けた。
首脳コミュニケの原文は25頁(和訳は33頁)もあるが、最後の3行に「五輪開催を改めて支持」と記しているだけだ。
文には一字もない。要約にもない。
ところが、日本政府作成の「骨子」にだけあり、メディアはこれを垂れ流した。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page1_000989.html
◎ この男は「安全・安心に開催する」と呪文のように繰り返す。普通は「安心・安全」と言うのではないか。
幹事社の東京新聞記者が「五輪開催で感染リスクがどれだけ増大するかの説明がない。国民の命に責任のある首相は、安全・安心との言葉を繰り返すのではなくて、総理としてのリスクの認識、評価を示してほしい」と聞いた。
菅氏の答えは「まず、安全・安心大会を実現するために感染対策を講じて、リスクを可能な限り小さくする」で始まった。
朝日新聞記者も「五輪における感染対策でどれだけ感染を減らすことができるか、できれば定量的なデータなどがあれば示してほしい」と聞いたが、「ワクチン接種、拍車を掛けていきたい」としか答えない。
「国際メディア」として指名されたRADIO FRANCEの西村カリン記者は、「感染拡大や死者が出るリスクがあっても、首相は大丈夫と思うその理由は何か。ノーと言えないのか。それともプライドか。又は経済の理由か」と聞いた。
菅氏は「ノーも、プライドも、経済でもない。日本においては、感染対策を講じることができる」「メディアの方は1つのホテルに集約、車両で移動する。車両は、アクリル板で運転席と客席を離す。これについて守ってくれない人は国外退去にする」と答えた。そんな理由で国外追放できるはずがない。
◎ 最後に指名されたIWJの岩上安身代表が「重要土地規制法に見られるように、首相の権限を異常なまでに強化している。改憲による緊急事態条項の先取りだ。なぜ、戦時独占体制の確立を急ぐのか。内閣独裁体制で日本は普遍的な価値を重んじる民主主義国家のグループから脱落する。米国の覇権を守るため、中国との戦争の先兵となることを自ら買って出るような、原発を抱えたまま破滅的な戦争に挑むというのは避けるべきではないか」と質した。
菅氏は「対中包囲網など私もつくりませんから、まず。土地問題で、独裁国家みたいな話があったが、国会で議論し、極めて民主的に決めた」と答えた。
まるで先の侵略戦争でのインパール作戦のように、“五輪本土決戦”に突入する日本は果たしてG7の他の6カ国と同じ人権と民主主義が確立された国なのか。都議選、衆院選を日本の民主化の第一歩としよう。
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