=立川テント村通信=
★ 朝雲レポート(3/29~5/24)
★ 陸上自衛隊が「創隊以来の大改革」とする大規模組織改編の第一弾が3月27日に行われた。これまで全国を5方面隊に分けていたのを、有事や大規模災害時には朝霞に新設した陸上総隊が一元運用。海自の自衛艦隊、空自の航空総隊とともに、3自衛隊の統合運用の新たな体制ができあがった。
陸自が方面隊に分割されていたのには、旧陸軍の独走を許したことへの批判と、文民統制の確保という考えがあったはずだが、そういう観点が議論されたのか疑問だ。
佐世保には陸上総隊直轄の水陸機動団が新設された。日本版海兵隊とも言われ、「島嶼への侵攻に対し速やかに上陸・奪回・確保」する。所属部隊の特科大隊は湯布院に、水陸両用車をもつ戦闘上陸大隊は玖珠に配置された。
日報が発見されてニュースで目にする「教訓研」は、幹部学校と研究本部を統合して目黒にできた教育訓練研究本部のこと。過去の戦争から教訓を引き出そうというのではない。富士に陸自情報学校ができて、無人機を操作する要員の育成もする。(3・29)
陸自改編で新たにできた部隊には、空自美保基地内にできた陸自分屯地(ヘリと気象隊〉、那覇駐屯地にできた宮古警備隊新編準備隊もある。武器学校にできた兵砧センターは、陸自初の職種横断的組織だそうだ。(5・10、24)
★ 陸自の改変は組織だけではなく27年ぶりの制服デザイン改正も。コンセプトは強靱性、使命感、品格の3点だそうだ。
基調の色が濃い緑から紫紺色に変わった。階層区分が識別しやすいように袖章やズボンの側線を加え、女性のネクタイは女子高生みたいなクロスタイに。妊婦服もある。(3・29)
★ 防衛相が「存在しない」と国会答弁したイラク日報が実はあったこと、しかも陸自にも空自にもあったことに関して、4月6日午後4時から防衛省講堂に幹部1000人を集めて大臣が特別訓示を行い、これは全国の部隊にも同時中継された。
「遠く離れた任地において任務に励んでいる隊員におきましても、どうぞその場において手を休めずに聞いて下さい」「私の危機感と信頼回復への決意を、全国25万の隊員全員で共有し」「自分が何をなすべきか強く自問して下さい」という語り口は平易で、なかなか感じがいいのだが、さて大臣は本当は何を思っているのか。隊員たちはこれをどう聞いたのか。(4・12)
★ 朝鮮半島情勢は、もちろん自衛隊にとっても大問題だ。
4月20日には米国防総省で小野寺防衛相とマティス国防長官が日米防衛首脳会談。北朝鮮の核とミサイルの完全な放棄にむけて最大限の圧力と制裁を維持する方針で一致した。(4・26)
識者や評論家のコラムでは、「歴史上、核兵器をいったん手にした国が外国の圧力で廃棄した前例はない」「安倍首相の役割はまず、トランプ氏に完全な核放棄の重要性を説き続けること」「悪い取引なら進んで交渉の席を立つとの原則を貫くべきだ」…と、軍隊には危機が必要なことをにじませている。(5・10)
★ PKO部隊からは撤退した自衛隊が、各国の軍隊と協力・交流の協定をどんどん取り交わしている。
5月24日号のトップページを見ただけでも、シンガポール国防相と小野寺大臣が会談、山本副大臣がアラブ首長国連邦の国防大臣と会談して防衛交流覚え書きに署名、同じく副大臣がブラジル国防相と会談して防衛協力・交流覚え書きの早期署名で一致、統幕長がタイ国軍司令官と会談、とたいへんなものだ。
加えて南スーダンPKOの司令部要員派遣を1年延長、海自遠洋練習航海部隊が世界一周に出発。(5・24)
★ 「時の焦点」というのは国内と海外それぞれの情勢を評論家という肩書きの人間が解説するコラムだ。たびたび登場する外交評論家草野徹が「イラク戦後15年-米軍が侵攻しなかったら」と題して書いている。
ブッシュがあの時イラク侵攻を決断していなかったら、フセインはイランとの覇権争いを続け、カダフィのリビアも核兵器を手放さず、中東で唯一の民主主義国家イスラエルは国家の生存のためイランかイラクとの間で開戦。ブッシュのおかげで世界はフセインがいつ核実験をするかと心配しないですむーつまり北朝鮮をつぶせ、というわけだ。北朝鮮にもイラクにも人が住んでいることを忘れている。(4・5)
『立川テント村通信』(2018年6月1日)
★ 朝雲レポート(3/29~5/24)
★ 陸上自衛隊が「創隊以来の大改革」とする大規模組織改編の第一弾が3月27日に行われた。これまで全国を5方面隊に分けていたのを、有事や大規模災害時には朝霞に新設した陸上総隊が一元運用。海自の自衛艦隊、空自の航空総隊とともに、3自衛隊の統合運用の新たな体制ができあがった。
陸自が方面隊に分割されていたのには、旧陸軍の独走を許したことへの批判と、文民統制の確保という考えがあったはずだが、そういう観点が議論されたのか疑問だ。
佐世保には陸上総隊直轄の水陸機動団が新設された。日本版海兵隊とも言われ、「島嶼への侵攻に対し速やかに上陸・奪回・確保」する。所属部隊の特科大隊は湯布院に、水陸両用車をもつ戦闘上陸大隊は玖珠に配置された。
日報が発見されてニュースで目にする「教訓研」は、幹部学校と研究本部を統合して目黒にできた教育訓練研究本部のこと。過去の戦争から教訓を引き出そうというのではない。富士に陸自情報学校ができて、無人機を操作する要員の育成もする。(3・29)
陸自改編で新たにできた部隊には、空自美保基地内にできた陸自分屯地(ヘリと気象隊〉、那覇駐屯地にできた宮古警備隊新編準備隊もある。武器学校にできた兵砧センターは、陸自初の職種横断的組織だそうだ。(5・10、24)
★ 陸自の改変は組織だけではなく27年ぶりの制服デザイン改正も。コンセプトは強靱性、使命感、品格の3点だそうだ。
基調の色が濃い緑から紫紺色に変わった。階層区分が識別しやすいように袖章やズボンの側線を加え、女性のネクタイは女子高生みたいなクロスタイに。妊婦服もある。(3・29)
★ 防衛相が「存在しない」と国会答弁したイラク日報が実はあったこと、しかも陸自にも空自にもあったことに関して、4月6日午後4時から防衛省講堂に幹部1000人を集めて大臣が特別訓示を行い、これは全国の部隊にも同時中継された。
「遠く離れた任地において任務に励んでいる隊員におきましても、どうぞその場において手を休めずに聞いて下さい」「私の危機感と信頼回復への決意を、全国25万の隊員全員で共有し」「自分が何をなすべきか強く自問して下さい」という語り口は平易で、なかなか感じがいいのだが、さて大臣は本当は何を思っているのか。隊員たちはこれをどう聞いたのか。(4・12)
★ 朝鮮半島情勢は、もちろん自衛隊にとっても大問題だ。
4月20日には米国防総省で小野寺防衛相とマティス国防長官が日米防衛首脳会談。北朝鮮の核とミサイルの完全な放棄にむけて最大限の圧力と制裁を維持する方針で一致した。(4・26)
識者や評論家のコラムでは、「歴史上、核兵器をいったん手にした国が外国の圧力で廃棄した前例はない」「安倍首相の役割はまず、トランプ氏に完全な核放棄の重要性を説き続けること」「悪い取引なら進んで交渉の席を立つとの原則を貫くべきだ」…と、軍隊には危機が必要なことをにじませている。(5・10)
★ PKO部隊からは撤退した自衛隊が、各国の軍隊と協力・交流の協定をどんどん取り交わしている。
5月24日号のトップページを見ただけでも、シンガポール国防相と小野寺大臣が会談、山本副大臣がアラブ首長国連邦の国防大臣と会談して防衛交流覚え書きに署名、同じく副大臣がブラジル国防相と会談して防衛協力・交流覚え書きの早期署名で一致、統幕長がタイ国軍司令官と会談、とたいへんなものだ。
加えて南スーダンPKOの司令部要員派遣を1年延長、海自遠洋練習航海部隊が世界一周に出発。(5・24)
★ 「時の焦点」というのは国内と海外それぞれの情勢を評論家という肩書きの人間が解説するコラムだ。たびたび登場する外交評論家草野徹が「イラク戦後15年-米軍が侵攻しなかったら」と題して書いている。
ブッシュがあの時イラク侵攻を決断していなかったら、フセインはイランとの覇権争いを続け、カダフィのリビアも核兵器を手放さず、中東で唯一の民主主義国家イスラエルは国家の生存のためイランかイラクとの間で開戦。ブッシュのおかげで世界はフセインがいつ核実験をするかと心配しないですむーつまり北朝鮮をつぶせ、というわけだ。北朝鮮にもイラクにも人が住んでいることを忘れている。(4・5)
『立川テント村通信』(2018年6月1日)
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