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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(1/22)

2015年01月26日 | 暴走する都教委
 ● 事務方は丁寧な提案を!教育委員はまともな論議を!
 議題は①一般職非常勤職員の任用等に関する規則他4件の制定について、②地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う条例改正についてが5件ほか。
 報告は③平成26年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について、④平成27年度教育庁所管事業予算・職員定数等について。懲戒処分も報告にあがっていた。
 ①は、「1月当たり16日かつ1日7時間45分に相当する時間を勤務する非常勤職員」をこれまでは特別職に位置づけてきたが、「公務員として職務に従事し労働者性の高い非常勤職員を一般職に位置づける」という変更。学校介護職員や日勤講師等が該当する。
 一般職非常勤職員については、育児・介護に関する休暇等を拡充するほか、地方公務員法に基づく分限・懲戒処分の対象になるという。
 「一般職にすることでの給与上の処遇改善はあるのか」(遠藤委員)との質問に、「ない」との回答だった。
 ②は、来年度から首長が直接任命する教育長をトップとし、首長の権限を強化した教育委員会に衣替えすることに伴う条例の改定。
 教育委員会の組織を「6人の委員」から「教育長及び5人の委員」へ改定する。教育長の給与は任命権者(首長)が決め、退職手当の支給は3年の任期ごとに行う。八王子市が中核都市に移行するに伴い、都教委が実施してきた初任者研修や10年経験者研修については、八王子市を適用除外とするなど。
 首長から任命されるだけでなく、給与も首長に決められ、退職金も3年ごとにもらえる新「教育長」。首長の望む教育行政に血道を上げることになるのは間違いない。
 石原都知事2期目の2003年から、知事のお友達である横山教育長が東京の教育を破壊した。現行の教育委員会制度でもこれだけの悪行をしたのだから、改定教育委員会制度ではどうなるのか。大勢が声を上げていかねば、と思う。
 条例は4月1日施行だが、現教育長・教育委員長の任期との関係で経過措置が設けられており、都教委の場合は教育長・教育委員長ともに7月までが任期なので、改定は7月となるようだ。
 この件が国会に上程されている時点では竹花委員から反対意見と聞こえる発言もあった(2013年12月19日の発言:「今後の地方行政の在り方について答申が出た。都教委の考え方と異なった答申だ。教育の中立性・専門性、家庭との関係など、長いスパンで考える問題だ。(現行の教育委員会は)分権化して、一極集中を防ぐ仕組みで成り立っている。今、教育委員会があることによって何かまずいことがあるのかを出して議論すべきだ。都教委としても議論したい。」)が、今日はこの件に関し一切の質問発言はなかった。
 ③は「東京都教育委員会児童・生徒等表彰実施要綱」に定められた基準に該当する個人、組、団体222件の表彰決定の報告であった。校長→区町村教委、都立学校校長からの推薦をもとに、表彰審査会を経て決定。表彰は今年で通算34回目、延べ2999件にのぼるという。
 一例をあげると、
 「3年間皆勤、毎朝午前7時に登校し、自主的に黒板や教室の清掃を行った。また、休み時間も黒板清掃に努めた。始業前の清掃は中学時代から実施」した高校3年生は、「地道な活動を継続的に行い、他の児童・生徒等の範となる者」の基準に該当して、
 また、「台風26号により発生した土砂災害において、翌日から土砂除去などの災害復旧ボランティアを開始、その後も仮設住宅への慰問やひまわりの植栽など島民の支援や復旧に向けた取り組みを実施」した大島高校生、大島海洋国際高校生(団体)は、「人命救助又はこれに類する行為を行った者」の基準に該当して表彰となった。
 これらの子どもたちは「よいこと」をしたのであるから素直に称えればいいのかもしれない。しかし、こうした“善行”が都立高校入試の「内申点」にもなり、それに振り回される子どもたちの現実を考えると、複雑な感情が起きてしまう。善行をしたくたって、食べるに事欠く子どもたちさえいる。
 そもそも、善行に対し、上から表彰し、権威付けをすることにどんな意味があるというのか。周りにいる人たちから起きるであろう感謝やねぎらいではいけないというのか。天皇制にどっぷりつかった思考を子どもたちから、社会から断ち切りたい。
 ④は来年度予算について。教育委員会が出した予算案が都議会でほぼ認められたという。
 事務方からは、
  ・中退者への面談等の取り組み、不登校生徒やその保護者を対象とした実態調査
  ・いじめに関する対策としてスクールソーシャルワーカー全区市町村配置に向け区市町村村の支援。都立学校での活用推進
  ・公立学校の防犯カメラシステム整備の支援
  ・オリンピアン・パラリンピアンの学校への派遣
 等を新規に計画している旨の説明があった。
 自衛隊との連携を進める「防災教育」での新規事業も口頭の説明はなかったが、資料に記されていた。
 帰宅後、資料によく目を通すと、「国際社会で活躍する日本人の育成」「オリンピック・パラリンピック教育の推進」多額の金を投入する予算だ。
 公立学校の全児童・生徒、都立高校生の「基礎学力の定着と向上」には20億円、他方、少数エリートを対象とした「国際社会で活躍する日本人の育成」(国際バカロレアや英語教育の充実)には326億円を計上する。
 また、「オリンピック・パラリンピック教育の推進」に122億円。非常に政治的な予算配分だ。
 この件についても委員からの質問・意見はなかった。

 今日の議案は1号議案から始まるのではなく、6号議案から始まって19号議案となっていた。1~5号議案はどこに行ったのか。初めてのことであり質問したかったが、それをすれば「議事妨害」とされて傍聴の権利を奪われるので、わからないままじっと我慢するしかなかった。進行役の木村委員長もしくは担当所管である教育政策課は、この理由を説明すべきであった。
 これらすべての議事にかかった時間は1時間弱。この時間で論議できるはずはなく、定例会は実態として事務方の提案を承認する機関となっている。事務方は丁寧な提案を、教育委員は事前に調べ、論議をしてもらいたい。首長の権限が無限大になる来年度からの教育委員会において、今のままの教育委員の姿勢では首長の提案・意向に意見できないのではないか。
『レイバーネット日本』(2015-01-24)
http://www.labornetjp.org/news/2015/0122nezu
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