3月22日に行われた杉並区立和田中の『夜スペ』って? <問われる学校の役割>集会の記録をUPします。
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★パネルディスカッション★
○藤田英典さん(国際基督教大学教授・教育社会学)
○菅原明之さん(全国学習塾協会常任理事)
○現職教員・市民
○質疑応答・フリートーキング
於:日本教育会館 7階 中会議室
主催:「子どもはお国のためにあるんじゃない!」市民連絡会
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23日の集会報告をします。
「夜スペ」的やり方がどんなに公教育を壊し子ども達を傷つける、間違ったものであるかが語られました。
杉並区立中学校教員は、「夜スペ」を放置すれば公教育の根幹が崩されると危惧を表明。
塾に通う成績優秀の子どもたちが授業崩壊の中心にいる現状、点数競争の中で子どもたちの心が磨耗している現状を、公教育が公然と認めたことになる。その結果、公教育は解体し、教育の機会均等は奪われ、自分の金で自分の子の面倒はみろといった風潮に席巻されるだろう。
全国学習塾協会常任理事 菅原明之氏。
地域補習塾経営の傍ら、江戸川、江東区などの小・中学校の要請で習熟度別の少人数授業を担当。教員との話合いや相互理解の中で徐々に成果を挙げている。学校は「問題解決型」、塾は「演習型、詰め込み型」という違いを実感。学校現場では先生も大変、子ども達も自由がないように見える。また地域によって学力の差が大きいのは問題だ。
国際基督教大学教授 藤田英典氏。
①藤原氏は常に「うちが初めて」「他校はやろうとしない」と宣伝する。本当に良いことなら、粛々と行なえば必ず情報は伝わり皆がやるのにと疑問を持っていたが、今回は「ついにやってはいけないことをやった」。
そもそも「吹きこぼれ」とは学校教育が作り出したものか?当初、神戸の進学塾が「合格したければ学校に行くな」と指導し、問題になった。受験だけに価値を置けば、テスト学力や進学準備だけが学校教育の中心になり、教育全体がゆがんでゆく。
②塾に行く子が学校でモラル・ハザードを起こすのが「吹きこぼれ」であり、「夜スペ」が吹きこぼれ対策になるというのは論理の矛盾。また受験は公立校同士の競争であり、私立との競争はないのだから、「私立なみの教育で受験に勝つ」という宣伝は間違い。他の公立校を貶め、公立校同士のゆがんだ競争を招くだけ。地方では人材が少ないため、非常勤での加配の中に塾講師を入れる例もある。しかし「夜スペ」の場合は完全に「公」のフレームを壊しており、問題だ。
【コーディネータからの質問】
質問:子ども、親、教員の感想は?
回答(教員)
校長権限で自由に異動させられる状況の中で、教員は反論できない。
組合員からは「とてもやっていけない」「とにかくすごい」の声。子どもたちについては、当初、部活顧問を通じて勧誘した子どもの中に成績対象外の子たちがおり、校長、顧問があきらめるよう説得、支援本部役員は家にまで行って説得したと聞いている。
回答(教員)
校長権限で自由に異動させられる状況の中で、教員は反論できない。
組合員からは「とてもやっていけない」「とにかくすごい」の声。子どもたちについては、当初、部活顧問を通じて勧誘した子どもの中に成績対象外の子たちがおり、校長、顧問があきらめるよう説得、支援本部役員は家にまで行って説得したと聞いている。
質問:塾として学校に入るメリットは?
回答(菅原)
どの子にも公平にやるならいいが、そうでないなら学習塾団体も反対。しかし「夜スペ」が実績を出せば親はどう考えるだろう?
質問:藤原氏は「成績上位の子が不平等な扱いを受けている。この方が均等だ」と言うが?
回答(藤田)
できる子には通常の授業時間や課外の対応で充分。なぜできる子を先に進ませる?それが教育だと思っているのか?「辞退するよう説得」という一点をとっても絶対に認められない。参加できない3人は一体どういう思いで帰るのか?教育者として失格だ!
質問:外の人との連携は必要か?
回答(教員)
教員が日常のチェックですべての子の理解度を知ることが重要だが、大変な作業だ。丸付けなどに人手があれば助かるが、それはあくまで手段。
質問:習熟度についてどう思うか?
回答(菅原)
工夫がないと成立しない。クラスにはいろんな子がいたほうが良い。
しかし、基礎、基本はどこかで教える必要がある。
質問:学校の役割は?
回答(教員)
公教育、特に小・中での機会均等。どこの地域でも家庭でも安心して一定の教育を受けられること。改革と称して行なう多くのことが点で競わせる競争主義であり、結局は楽しい学校づくりに何のプラスもなく、公教育の解体につながっている。
回答(菅原)
学校は第2の家庭。基礎と基本を積み上げる場所。
回答(藤田)
問題が多すぎる。子どもたちが小中学校で身につけるべきものは今も昔も変わらない。それが揺らいでいる。昔はわかっても他の子を妨害することはな
かった。これを「吹きこぼれ」と正当化する風潮は見直すべき。今の子は大変だと言う報道で不必要に保護者を煽るな。きちんと基礎をマスターし、あとは大いに遊ぶことが大事。
【会場から】
①報告したい。和田中の一保護者が全中学校のPTAに告発の手紙を書いた。内容は
「今、和田中では本当に混乱が起きています。突然の校長からのP協脱退宣言は、保護者には「寝耳に水」の話でした。和田中は公立なのに公立ではなくなっています。
悪い方向に向かう事を誰も意見できるような状態ではなくなっています。和田中では校長が何か大きく決める時に保護者達の意見を聞かず、役員は子どもの内申書もあるから言いなりです。
・・・助けてほしいです。和田中学はおかしくなってます。子ども達も不満がたくさんです。」
藤原校長はこの手紙をすぐ回収させ、警察まで介入させようとしているそうだ。マスコミは和田中を礼賛するが、「夜スペ」を初めとする地域本部のあり方は公教育を破壊すると思う。
地域本部の仕組みが企業に公教育を開放し、思想統制や規範強化にも使われている。文部省が和田中をモデルに地域本部を全国に広げようとしているのが不安だ。
②和田中ではすでに内部に不協和音や探りあいが出ている。問題は藤原氏のやり方が独断的であること。
選ばれた子ども達も学校の授業は遅いとか簡単すぎるとか言い出しているそうだ。
「藤原はアイディアマンだ」という人がいたり、保護者もマスコミも「やってみなきゃわからない」という態度だが、このまま和田中に見習えと言う方向に行くのが怖い。
藤田先生がおっしゃった今も昔も変わらないこととは何ですか?
回答(藤田)
ごく普通の当たり前のこと。子供の頃よく親に「慢になるな」と言われた。自分は誰でもできることをできるようになりたいと思ったものだ。学力面では次の段階に行った時に戻らなくてもいい程度の基礎学力が必要。それさえあれば大学には行ける。勉強じゃない部分が大事。
③質問
先ほどの二人の発言にビックリ。杉並の教育委員会はどんな役割を果たしているのか?
回答
杉並の教育委員会はひどい。反対意見は言えず、言えば徹底的に弾圧。
④質問
和田中のプール事故について教えてほしい。
回答
杉並の教師から自分達は言えないので言ってほしいと頼まれている。あの事故は去年7月の体育の授業で起こった。無呼吸で25メートル泳ぐ途中に溺れ、植物人間状態になった。学校への第一報は、「和田中でこういう事故が起こったので注意するように。」ところが2報は「生命に別状なく保護者が公にしないよう望んでいるので詮索するな」というものだった。
<文責:T>
※『杉並の教育を考えるみんなの会』2008.03.26 Wednesday
http://blog.sugimina.com/?eid=531881
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★パネルディスカッション★
○藤田英典さん(国際基督教大学教授・教育社会学)
○菅原明之さん(全国学習塾協会常任理事)
○現職教員・市民
○質疑応答・フリートーキング
於:日本教育会館 7階 中会議室
主催:「子どもはお国のためにあるんじゃない!」市民連絡会
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23日の集会報告をします。
「夜スペ」的やり方がどんなに公教育を壊し子ども達を傷つける、間違ったものであるかが語られました。
杉並区立中学校教員は、「夜スペ」を放置すれば公教育の根幹が崩されると危惧を表明。
塾に通う成績優秀の子どもたちが授業崩壊の中心にいる現状、点数競争の中で子どもたちの心が磨耗している現状を、公教育が公然と認めたことになる。その結果、公教育は解体し、教育の機会均等は奪われ、自分の金で自分の子の面倒はみろといった風潮に席巻されるだろう。
全国学習塾協会常任理事 菅原明之氏。
地域補習塾経営の傍ら、江戸川、江東区などの小・中学校の要請で習熟度別の少人数授業を担当。教員との話合いや相互理解の中で徐々に成果を挙げている。学校は「問題解決型」、塾は「演習型、詰め込み型」という違いを実感。学校現場では先生も大変、子ども達も自由がないように見える。また地域によって学力の差が大きいのは問題だ。
国際基督教大学教授 藤田英典氏。
①藤原氏は常に「うちが初めて」「他校はやろうとしない」と宣伝する。本当に良いことなら、粛々と行なえば必ず情報は伝わり皆がやるのにと疑問を持っていたが、今回は「ついにやってはいけないことをやった」。
そもそも「吹きこぼれ」とは学校教育が作り出したものか?当初、神戸の進学塾が「合格したければ学校に行くな」と指導し、問題になった。受験だけに価値を置けば、テスト学力や進学準備だけが学校教育の中心になり、教育全体がゆがんでゆく。
②塾に行く子が学校でモラル・ハザードを起こすのが「吹きこぼれ」であり、「夜スペ」が吹きこぼれ対策になるというのは論理の矛盾。また受験は公立校同士の競争であり、私立との競争はないのだから、「私立なみの教育で受験に勝つ」という宣伝は間違い。他の公立校を貶め、公立校同士のゆがんだ競争を招くだけ。地方では人材が少ないため、非常勤での加配の中に塾講師を入れる例もある。しかし「夜スペ」の場合は完全に「公」のフレームを壊しており、問題だ。
【コーディネータからの質問】
質問:子ども、親、教員の感想は?
回答(教員)
校長権限で自由に異動させられる状況の中で、教員は反論できない。
組合員からは「とてもやっていけない」「とにかくすごい」の声。子どもたちについては、当初、部活顧問を通じて勧誘した子どもの中に成績対象外の子たちがおり、校長、顧問があきらめるよう説得、支援本部役員は家にまで行って説得したと聞いている。
回答(教員)
校長権限で自由に異動させられる状況の中で、教員は反論できない。
組合員からは「とてもやっていけない」「とにかくすごい」の声。子どもたちについては、当初、部活顧問を通じて勧誘した子どもの中に成績対象外の子たちがおり、校長、顧問があきらめるよう説得、支援本部役員は家にまで行って説得したと聞いている。
質問:塾として学校に入るメリットは?
回答(菅原)
どの子にも公平にやるならいいが、そうでないなら学習塾団体も反対。しかし「夜スペ」が実績を出せば親はどう考えるだろう?
質問:藤原氏は「成績上位の子が不平等な扱いを受けている。この方が均等だ」と言うが?
回答(藤田)
できる子には通常の授業時間や課外の対応で充分。なぜできる子を先に進ませる?それが教育だと思っているのか?「辞退するよう説得」という一点をとっても絶対に認められない。参加できない3人は一体どういう思いで帰るのか?教育者として失格だ!
質問:外の人との連携は必要か?
回答(教員)
教員が日常のチェックですべての子の理解度を知ることが重要だが、大変な作業だ。丸付けなどに人手があれば助かるが、それはあくまで手段。
質問:習熟度についてどう思うか?
回答(菅原)
工夫がないと成立しない。クラスにはいろんな子がいたほうが良い。
しかし、基礎、基本はどこかで教える必要がある。
質問:学校の役割は?
回答(教員)
公教育、特に小・中での機会均等。どこの地域でも家庭でも安心して一定の教育を受けられること。改革と称して行なう多くのことが点で競わせる競争主義であり、結局は楽しい学校づくりに何のプラスもなく、公教育の解体につながっている。
回答(菅原)
学校は第2の家庭。基礎と基本を積み上げる場所。
回答(藤田)
問題が多すぎる。子どもたちが小中学校で身につけるべきものは今も昔も変わらない。それが揺らいでいる。昔はわかっても他の子を妨害することはな
かった。これを「吹きこぼれ」と正当化する風潮は見直すべき。今の子は大変だと言う報道で不必要に保護者を煽るな。きちんと基礎をマスターし、あとは大いに遊ぶことが大事。
【会場から】
①報告したい。和田中の一保護者が全中学校のPTAに告発の手紙を書いた。内容は
「今、和田中では本当に混乱が起きています。突然の校長からのP協脱退宣言は、保護者には「寝耳に水」の話でした。和田中は公立なのに公立ではなくなっています。
悪い方向に向かう事を誰も意見できるような状態ではなくなっています。和田中では校長が何か大きく決める時に保護者達の意見を聞かず、役員は子どもの内申書もあるから言いなりです。
・・・助けてほしいです。和田中学はおかしくなってます。子ども達も不満がたくさんです。」
藤原校長はこの手紙をすぐ回収させ、警察まで介入させようとしているそうだ。マスコミは和田中を礼賛するが、「夜スペ」を初めとする地域本部のあり方は公教育を破壊すると思う。
地域本部の仕組みが企業に公教育を開放し、思想統制や規範強化にも使われている。文部省が和田中をモデルに地域本部を全国に広げようとしているのが不安だ。
②和田中ではすでに内部に不協和音や探りあいが出ている。問題は藤原氏のやり方が独断的であること。
選ばれた子ども達も学校の授業は遅いとか簡単すぎるとか言い出しているそうだ。
「藤原はアイディアマンだ」という人がいたり、保護者もマスコミも「やってみなきゃわからない」という態度だが、このまま和田中に見習えと言う方向に行くのが怖い。
藤田先生がおっしゃった今も昔も変わらないこととは何ですか?
回答(藤田)
ごく普通の当たり前のこと。子供の頃よく親に「慢になるな」と言われた。自分は誰でもできることをできるようになりたいと思ったものだ。学力面では次の段階に行った時に戻らなくてもいい程度の基礎学力が必要。それさえあれば大学には行ける。勉強じゃない部分が大事。
③質問
先ほどの二人の発言にビックリ。杉並の教育委員会はどんな役割を果たしているのか?
回答
杉並の教育委員会はひどい。反対意見は言えず、言えば徹底的に弾圧。
④質問
和田中のプール事故について教えてほしい。
回答
杉並の教師から自分達は言えないので言ってほしいと頼まれている。あの事故は去年7月の体育の授業で起こった。無呼吸で25メートル泳ぐ途中に溺れ、植物人間状態になった。学校への第一報は、「和田中でこういう事故が起こったので注意するように。」ところが2報は「生命に別状なく保護者が公にしないよう望んでいるので詮索するな」というものだった。
<文責:T>
※『杉並の教育を考えるみんなの会』2008.03.26 Wednesday
http://blog.sugimina.com/?eid=531881
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