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「指導力不足」での分限免職取消

2010年01月14日 | こども危機
 ▼ 「指導力不足」での分限免職取消、岡山は高裁勝利、大阪は最高裁で確定
永野厚男(教育ライター)

 安倍晋三元首相の著書『美しい国へ』で、「指導力不足教員排除のための教員免許更新制導入」を主張する際の"実例"として挙げられた岡山市立中の元教諭(51歳)が、分限免職処分取り消し訴訟・控訴審で09年12月24日、完全勝利した。
 岡山県教育委員会は05年3月、「理科の実験で安全配慮を怠った」「試験問題が不適切」などの理由で、元教諭を指導力不足教員に認定、県教育センターで1年間研修を受けさせたが、改善がみられないとして06年4月、分限免職にした。
 元教諭は提訴し、一審の岡山地裁(近下秀明裁判長)は09年1月27日、「教員の適格性を欠くとしても、県教委が改定地方教育行政法(の指導力不足等教員を教職から外し、事務職等の公務員に転職させる規定)の適用を検討せず免職にしたのは、裁量権の乱用に当たる」とし、処分取り消しの判決を出したものの、処分そのものの不当性には言及していなかった。
 今回の広島高裁岡山支部(高田泰治裁判長)の判決は、県教委側が「処分理由」とした26項目の内容にも踏み込み、「努力の結果、授業や生徒指導の面で相当改善した。教員として適格性を欠くとはいえない。処分は研修の成果を考慮しておらず不当なものであり、裁量権を濫用し違法だ」と判じ、県教委の控訴を棄却した。
 判決後の報告集会で、元教諭側の松井健二弁護士は「判決は教員としての適格性を認めており、教職での現場復帰の道が開けた。全面勝訴といえる」と評価した。
 支援者たちは「元教諭を"問題教師"と決め付け、"教員の質の確保"を主張した『美しい国へ』は、処分直後の06年7月の刊行。教育基本法改定の流れの中で争ったこの裁判に勝利した意味は大きい」と語った。
 一方、県教委の門野八洲雄教育長は「主張が認められず残念」と、捨てゼリフのようにコメントした。
 元教諭と支援者たちは1月4日、県教委に上告断念と早期の職場復帰を求める252人分の署名を提出したが、県教委は1月7日、最高裁への上告を強行した。
 なお、大阪市教委が市の事務職員から転職した市立小の元教諭(30歳)を05年3月、「1年間は条件付き採用期間だ」「教員の資質に欠ける」などの"理由"で分限免職処分したのは、「違法。元教諭は適格性あり」と判じた大阪高裁判決(08年8月29日、若林諒裁判長)も09年12月22日、最高裁が教委の上告に対し不受理決定し、大阪高裁判決が確定した。

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