《教科書ネット21ニュースから》
◆ 大田原市をはじめとする栃木県北3地区の教科書採択に対するとりくみ
教科書採択の経過栃木県大田原市は2005年に全国の公立中学校で初めて「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版の歴史・公民教科書を採択した。その後、2009年、2011年、2015年と「育鵬社」版教科書を採択し続け、今日にいたっている。
昨年の中学校「特別の教科道徳」でも、「全国で3地区のみ」と報じられた日本教科書を採択した。
2005年当時、大田原市在住の元教員、住民が中心となって「子どもの未来を守る会」を結成し、県北からの応援も得て、扶桑社版歴史教科書の採択を止めようと運動を展開した。その後、中心となった方たちが亡くなられたり転居で運動は縮小されたが、有志がつないできた。
2005年当時、大田原市在住の元教員、住民が中心となって「子どもの未来を守る会」を結成し、県北からの応援も得て、扶桑社版歴史教科書の採択を止めようと運動を展開した。その後、中心となった方たちが亡くなられたり転居で運動は縮小されたが、有志がつないできた。
2017年1月、県北地域に「平和と憲法を守る!栃木県北市民ネット」が結成された。県北の那須塩原市・那須町・大田原市・塩谷南那須の3地区の教科書採択を「住民に開かれた採択」にしていくため、9月、運動と学習を合わせながら進めていく「教科書部会」を市民ネットの中に立ち上げた。
月1回の部会で、過去の大田原市の教科書採択の歴史的経緯を学びながら、2017年から2018年、2019年と続く採択の機会を生かし、3つの採択地区の会議の傍聴、議事録の開示請求、各教育委員会への要望などの運動に取り組んできた。
昨年11月から「育鵬社」「学び舎」2冊の歴史教科書を比較しながら、明治以降の近代史を学んでいる。
◆ わたしたちのとりくみ
「那須塩原市那須町採択地区」
● 那須塩原市教育委員会・那須町教育委員会、それぞれに「要望書」提出委員の発言か傍聴席に聞こえないなど
→マイクが使用された。
→「調査報告(非公開)」資料が傍聴人控え室に用意された。
→展示会場の変更または増設の検討と展示期間中、アンケートの箱、用紙を置くことを約束。
「大田原市採択地区」
● 2005年以降、過去4回の中学校歴史教科書採択の議事録を開示請求し、入手。分析と学習を行なった。
→元教育委員Hさんが一貫して「育鵬社」版歴史教科書の採択に反対していたことを知る
● 元教育委員「Hさんとの懇談会」を開催した。
→2001年、「扶桑社」名がいきなり登場。Hさんが教育委員長だったのでその年は「不採択」。「新しい歴史教科書をつくる会」の発足と符合する。
● 教育委員会に「要望書」を提出した。
→市の広報に採択日程が掲載される
→議事録がホームページに掲載される
→展示会場がアクセスのよい市街地に変更。土日開催、平日は夜9時まで開催
● 市長「教育再生首長会議」に公費で出席。経費すべての領収書を開示請求し、入手した。
→「住民監査請求」を検討したが、今回は見送る。
● 中学校道徳教科書に「日本教科書」を採択。「教育長との懇談の要望書」提出した。
→「教育長は会うことはできないが、わたしがいつでも対応する」と担当指導主事から電話での回答があった。
「塩谷南那須採択地区」
● 採択協議会を傍聴
→過去に傍聴者がなかったのか、慌てた様子。「傍聴要領」にある控え場所「屋外」をその場で変更させた。
→第2回会議の「協議」非公開。公開されたのは、会長挨拶と今後の日程のみ。会議終了後、担当指導主事と懇談。採択担当は6つの教育委員会が回り持ち。今回の担当自治体の指導主事は「ほかではどのようにやっているのか」と困惑気味。「開かれた教科書採択」に積極的に取り組んでいる那須塩原市・那須町の採択の様子をこちらから情報提供する。
● 採択地区内6つの教育委員会それぞれに「要望書」提出した。
→広報掲載は間に合わなかったが、採択日程を揃ってホームページに掲載するようになった。
◆ 今後の検討事項
● 各採択地区の窓口(担当指導主事)との良好な関係を保ちながら、「開かれた採択」を目指す。
→大田原市の担当指導主事に懇談を要請。
● 大田原市長の公費による「教育再生首長会議」出席問題の今後の扱いをどうするか検討している。
● 教育委員会の「採択権」の形骸化
→竹富町問題以後の地方教育行政法の一部改正により、昨年、「塩谷南那須採択地区」の3市3町の教育委員会は揃って「非公開」。理由は同じ教科書を採択するまで、やり直しの可能性もあるので、公開はできない、とのこと。
→今年の「那須塩原市那須町採択地区」の第1回採択協議会で、昨年まで2社を選定していたが、今年から1社を選定し、教育委員会に答申と説明している。会議終了後、事務局と懇談。この件の問題は「検討する」との回答を得る。
→那須町教育委員会に、昨年、議事録の開示を求めたところ「採択協議会とほとんど変わらないので、メモしかない」と回答。教育委員会の当事者意識の欠如、自らの採択権限の放棄が進んでいるのではないか。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 126号』(2019年6月)
◆ 大田原市をはじめとする栃木県北3地区の教科書採択に対するとりくみ
三楠紀子(みくすのりこ 平和と憲法を守る!栃木県北市民ネット教科書部会)
教科書採択の経過栃木県大田原市は2005年に全国の公立中学校で初めて「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版の歴史・公民教科書を採択した。その後、2009年、2011年、2015年と「育鵬社」版教科書を採択し続け、今日にいたっている。
昨年の中学校「特別の教科道徳」でも、「全国で3地区のみ」と報じられた日本教科書を採択した。
2005年当時、大田原市在住の元教員、住民が中心となって「子どもの未来を守る会」を結成し、県北からの応援も得て、扶桑社版歴史教科書の採択を止めようと運動を展開した。その後、中心となった方たちが亡くなられたり転居で運動は縮小されたが、有志がつないできた。
2005年当時、大田原市在住の元教員、住民が中心となって「子どもの未来を守る会」を結成し、県北からの応援も得て、扶桑社版歴史教科書の採択を止めようと運動を展開した。その後、中心となった方たちが亡くなられたり転居で運動は縮小されたが、有志がつないできた。
2017年1月、県北地域に「平和と憲法を守る!栃木県北市民ネット」が結成された。県北の那須塩原市・那須町・大田原市・塩谷南那須の3地区の教科書採択を「住民に開かれた採択」にしていくため、9月、運動と学習を合わせながら進めていく「教科書部会」を市民ネットの中に立ち上げた。
月1回の部会で、過去の大田原市の教科書採択の歴史的経緯を学びながら、2017年から2018年、2019年と続く採択の機会を生かし、3つの採択地区の会議の傍聴、議事録の開示請求、各教育委員会への要望などの運動に取り組んできた。
昨年11月から「育鵬社」「学び舎」2冊の歴史教科書を比較しながら、明治以降の近代史を学んでいる。
◆ わたしたちのとりくみ
「那須塩原市那須町採択地区」
● 那須塩原市教育委員会・那須町教育委員会、それぞれに「要望書」提出委員の発言か傍聴席に聞こえないなど
→マイクが使用された。
→「調査報告(非公開)」資料が傍聴人控え室に用意された。
→展示会場の変更または増設の検討と展示期間中、アンケートの箱、用紙を置くことを約束。
「大田原市採択地区」
● 2005年以降、過去4回の中学校歴史教科書採択の議事録を開示請求し、入手。分析と学習を行なった。
→元教育委員Hさんが一貫して「育鵬社」版歴史教科書の採択に反対していたことを知る
● 元教育委員「Hさんとの懇談会」を開催した。
→2001年、「扶桑社」名がいきなり登場。Hさんが教育委員長だったのでその年は「不採択」。「新しい歴史教科書をつくる会」の発足と符合する。
● 教育委員会に「要望書」を提出した。
→市の広報に採択日程が掲載される
→議事録がホームページに掲載される
→展示会場がアクセスのよい市街地に変更。土日開催、平日は夜9時まで開催
● 市長「教育再生首長会議」に公費で出席。経費すべての領収書を開示請求し、入手した。
→「住民監査請求」を検討したが、今回は見送る。
● 中学校道徳教科書に「日本教科書」を採択。「教育長との懇談の要望書」提出した。
→「教育長は会うことはできないが、わたしがいつでも対応する」と担当指導主事から電話での回答があった。
「塩谷南那須採択地区」
● 採択協議会を傍聴
→過去に傍聴者がなかったのか、慌てた様子。「傍聴要領」にある控え場所「屋外」をその場で変更させた。
→第2回会議の「協議」非公開。公開されたのは、会長挨拶と今後の日程のみ。会議終了後、担当指導主事と懇談。採択担当は6つの教育委員会が回り持ち。今回の担当自治体の指導主事は「ほかではどのようにやっているのか」と困惑気味。「開かれた教科書採択」に積極的に取り組んでいる那須塩原市・那須町の採択の様子をこちらから情報提供する。
● 採択地区内6つの教育委員会それぞれに「要望書」提出した。
→広報掲載は間に合わなかったが、採択日程を揃ってホームページに掲載するようになった。
◆ 今後の検討事項
● 各採択地区の窓口(担当指導主事)との良好な関係を保ちながら、「開かれた採択」を目指す。
→大田原市の担当指導主事に懇談を要請。
● 大田原市長の公費による「教育再生首長会議」出席問題の今後の扱いをどうするか検討している。
● 教育委員会の「採択権」の形骸化
→竹富町問題以後の地方教育行政法の一部改正により、昨年、「塩谷南那須採択地区」の3市3町の教育委員会は揃って「非公開」。理由は同じ教科書を採択するまで、やり直しの可能性もあるので、公開はできない、とのこと。
→今年の「那須塩原市那須町採択地区」の第1回採択協議会で、昨年まで2社を選定していたが、今年から1社を選定し、教育委員会に答申と説明している。会議終了後、事務局と懇談。この件の問題は「検討する」との回答を得る。
→那須町教育委員会に、昨年、議事録の開示を求めたところ「採択協議会とほとんど変わらないので、メモしかない」と回答。教育委員会の当事者意識の欠如、自らの採択権限の放棄が進んでいるのではないか。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 126号』(2019年6月)
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