◎ 管理体制崩壊の危機
~倍率低下が止まらない東京の主幹級・管理職選考
「10・23通達」以降の職場の疲弊は、管理職・主幹職選考の倍率激減に現れている。その驚くべき崩壊の数字を明らかにしよう。
■《主幹級選考》計画倒れ、無惨な未達成
鳴り物入りで2002年から導入された主幹制度は、7年目の2008年に全校配置が完成する予定であった。ところが、年を追う毎の不人気ぶりで、最近は倍率1倍そこそこの"全入状態"、3年連続"二次募集"でまるで"困難校"の入試並みである。ついに全校配置に遠く及ばない達成率7割で完成年度を迎えてしまった。
(完成時必要数:5,514、配置実績:3,861、充足率:70.0%)
未達成数1,653は、このままのペースだと単純計算でも3年かかるし、毎年管理職に300人~400人抜けるからいつになったら充足できるか全く見通しは立たない。
この数字が失敗でなくて何であろうか。「数値目標」が達成できなかった人事部長と担当者は、PDCA(plan do check action)により、責任を取って辞任すべきである。
<主幹職選考これまでの実施状況>
年度 受験者数 合格者数 倍率
―――――――――――――――――――――――
14 2,258 1,732 1.30
15 1,356 1,091 1.24
16 727 625 1.16
17 744 680 1.09
18 577 532 1.08
19 641 606 1.06
20 653 614 1.06
■《管理職選考》8年前の7分の1に激減したA選考受験者数
この問題は数年前から都教委自身が次のように危機感を募らせている。
「受験対象者の減少や子育て世代の受験敬遠等に起因し、17年度の受験者は188名に留まり、トータル人数で645名の減、率では77.4%の減となっている。…現在の受験者数で推移すると、今後教育管理職の大量退職時期を迎えるに当たり、必要管理職数の確保及び優秀な人材の確保・育成が大きな課題となる。」(平成18年1月『これからの教員選考・任用制度について(中間のまとめ)』)
なぜ、こんなに"急激"に受験者が減っているのか。「子育て世代の受験敬遠」だけではないことは明らかだ。
《A選考》
年度 受験者数 増減率 合格者数 倍率
――――――――――――――――――――――――
2000 833 0.0 107 7.79
2008 115 ▲86.2 92 1.25
《B選考》
年度 受験者数 増減率 合格者数 倍率
――――――――――――――――――――――――
2000 1084 0.0 240 4.52
2008 584 ▲46.1 378 1.54
■教育の条理に逆らう支配管理体制の破綻
「生徒のため」とは関係なく、ひたすら「教員管理」を目的にした「上意下達体制」のもくろみは、「子ども中心」に働きたい現場の抵抗で破綻しかかっている。
「主幹級選考」の失敗は、教員のインセンティブは「お金」や「地位」ではないことを明らかにした。
「管理職選考」の突然の失速は、都教委があえて目をそらす2004年選考から始まっている。その間にあった2003年「10・23通達」こそ、東京都の教育崩壊の起点であることを今こそ直視すべきであろう。
『藤田先生を応援する会通信』第33号より
~倍率低下が止まらない東京の主幹級・管理職選考
若杉 倫
「10・23通達」以降の職場の疲弊は、管理職・主幹職選考の倍率激減に現れている。その驚くべき崩壊の数字を明らかにしよう。
■《主幹級選考》計画倒れ、無惨な未達成
鳴り物入りで2002年から導入された主幹制度は、7年目の2008年に全校配置が完成する予定であった。ところが、年を追う毎の不人気ぶりで、最近は倍率1倍そこそこの"全入状態"、3年連続"二次募集"でまるで"困難校"の入試並みである。ついに全校配置に遠く及ばない達成率7割で完成年度を迎えてしまった。
(完成時必要数:5,514、配置実績:3,861、充足率:70.0%)
未達成数1,653は、このままのペースだと単純計算でも3年かかるし、毎年管理職に300人~400人抜けるからいつになったら充足できるか全く見通しは立たない。
この数字が失敗でなくて何であろうか。「数値目標」が達成できなかった人事部長と担当者は、PDCA(plan do check action)により、責任を取って辞任すべきである。
<主幹職選考これまでの実施状況>
年度 受験者数 合格者数 倍率
―――――――――――――――――――――――
14 2,258 1,732 1.30
15 1,356 1,091 1.24
16 727 625 1.16
17 744 680 1.09
18 577 532 1.08
19 641 606 1.06
20 653 614 1.06
■《管理職選考》8年前の7分の1に激減したA選考受験者数
この問題は数年前から都教委自身が次のように危機感を募らせている。
「受験対象者の減少や子育て世代の受験敬遠等に起因し、17年度の受験者は188名に留まり、トータル人数で645名の減、率では77.4%の減となっている。…現在の受験者数で推移すると、今後教育管理職の大量退職時期を迎えるに当たり、必要管理職数の確保及び優秀な人材の確保・育成が大きな課題となる。」(平成18年1月『これからの教員選考・任用制度について(中間のまとめ)』)
なぜ、こんなに"急激"に受験者が減っているのか。「子育て世代の受験敬遠」だけではないことは明らかだ。
《A選考》
年度 受験者数 増減率 合格者数 倍率
――――――――――――――――――――――――
2000 833 0.0 107 7.79
2008 115 ▲86.2 92 1.25
《B選考》
年度 受験者数 増減率 合格者数 倍率
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2000 1084 0.0 240 4.52
2008 584 ▲46.1 378 1.54
■教育の条理に逆らう支配管理体制の破綻
「生徒のため」とは関係なく、ひたすら「教員管理」を目的にした「上意下達体制」のもくろみは、「子ども中心」に働きたい現場の抵抗で破綻しかかっている。
「主幹級選考」の失敗は、教員のインセンティブは「お金」や「地位」ではないことを明らかにした。
「管理職選考」の突然の失速は、都教委があえて目をそらす2004年選考から始まっている。その間にあった2003年「10・23通達」こそ、東京都の教育崩壊の起点であることを今こそ直視すべきであろう。
『藤田先生を応援する会通信』第33号より
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