パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 国際女性デー/在日中国人フェミニストのスピーチ

2023年04月12日 | 人権

 日本在住の中国人女性・くらげさんの、国際女性デー関連の集まりでのスピーチがとてもよかったので、ご本人の承諾を得て拡散します。短いスピーチでしたが、かつて「天の半分を支える」とされた新中国からシン・中国へと大転換した現代の中国女性の一人として自身の経験からのスピーチ内容はやはり衝撃でした。
 なお、くらげさんは仲間の中国フェミニストたちと一緒に3月8日に東京・渋谷でおこなわれたウィメンズマーチ2023にも参加し、昨年末の「白紙運動」に関連して中国当局に拘束されている女性たちの釈放などを訴えるポスターを掲げていました。この「白紙運動」もフェミニストやクイアたちがけん引したという点なども、またくわしく聞けたらいいなと思っています。

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  〔レイバーネット国際部〕
 ☆ 在日中国人フェミニストのスピーチ/国際女性デー関連の集まりで(2023年3月12日・東京)

 皆さん、こんにちは。くらげと申します。今日私は、中国出身の普通の女性を代表して、そして幸運にも三度も逃げ出せた女性という私自身を代表して、この場所に立っています。

 中国人がジェンダー問題について語ることが少ないのは、中国に深刻なジェンダー問題が存在しないからではありません。
 今日、私は初めて、勇気をふり絞って、顔も声も出します。巨大な恐怖と無力感を克服することができたのは、私が自分で見て、自分で聞いて、そして成長してきた場所が、消すことのできない記憶を刻み付け、これ以上沈黙することができなかったからです。
 私は人前でスピーチする経験がなくて、未熟かもしれませんが、ぜひ、私の声を皆さんに届けたいと思います。

 私には3つの幸運がありました。この3つの幸運によって、私はここに立ち、自分の声を伝える事ができています。その3つの幸運をみなさんにお話ししたいと思います。

 最初の物語は生命(いのち)についてです。

 私の出身地の山村では、見合い結婚はまだ普通のことです。見合い結婚自体が問題なのではありません。問題はその「プロセス」にあります。
 結婚する二人は互いに会ったこともなく、両親によって決定されます。そしてお見合いのあとは、すぐに妊娠するよう仕向け、妊娠したらこっそり性別検査を受けさせます。こっそり検査するのは性別確認検査が違法だからです。
 もし女の子の場合、妊娠中絶を行い、再び妊娠させます。それは男の子を妊娠するまで続き、その後に正式に婚姻届けを提出します。男の子を産むためだけにこんなことをするのです。
 私には中絶されてこの世に生まれることができなかった姉が一人います。私は姉よりも運がよかった。母の健康状態があまりよくなく、私を身ごもった時は医師が中絶を勧めなかったからです。

 第二の物語は結婚についてです。

 私の両親は、私が留学することにも、日本に行くことにも反対していました。
 私は日本で勉強するために結婚しました。普通から考えると、理解しにくいですよね?結婚したことによって、留学することができる理由は、一度結婚すると、私という「物」の所有権が私の両親から夫に移るからなのです。
 自分で選んだ結婚相手であれば、自分の両親よりも説得しやすいのは当然です。私は成人したにもかかわらず、私の両親は私をまるで物のように扱っても当然だと考えていました。私が逃げ出せた理由は、運が良く、いい結婚相手を見つけて、両親が計画した見合い結婚より先に結婚できたからなのです。

 第三の物語は抵抗についてです。

 私は中国出身のフェミニストです。しかし、日本の方々とは違い、私は今週初めてデモに参加し、他のフェミニストたちと同じ場所にいることができました。
 中国では、政府の圧力のため、デモや集会は違法行為と同じようなものになっています。それでも、現在の中国の多くの抵抗運動にはフェミニストたちが参加しています。そして彼女たちの多くが拘束されています。人権を求めるフェミニズムも中国政府の敵になっています。逮捕された彼女たちの現状に注目し続けるようにお願いします。
 もし私が中国にいたら、逮捕されていたのは私かもしれません。私がデモに参加したことで逮捕されないのは、中国ではなく運よく日本という比較的平和で自由な国にいるからです。
 しかし、日本では逮捕されることはありませんが、まったく安全であるとは言えません。今、この場においても、中国のスパイから嫌がらせを受けたり、中国にいる家族や友人が警察に脅される可能性があるのです。

 私は運が良かったため、三度も不幸から逃れることができました。

 今、ここに立って、スピーチをできるのは、女の子ゆえの中絶から逃れられたこと、両親が決めた見合い結婚から逃れられたこと、声を上げて中国政府に逮捕されることから逃れられたこと、この三つの不幸から逃れることができたからです。

 中国には、逃れることができず、ここに立てなかった女性たちが、もっとたくさんいます。
 私は彼女たちであり、彼女たちは幸運に恵まれなかった私なのです。
 幸運に恵まれた私は、彼女たちの代弁者になる決意をしました。わたしは彼女たち代わって声を上げます。中国の女性たちの物語を伝えます。

 ご清聴ありがとうございました。

『レイバーネット日本』(2023-03-21)
http://www.labornetjp.org/news/2023/1679378812397staff01

 


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