パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 十八歳の自衛官候補生による銃乱射事件は何故起きた。

2023年07月14日 | 平和憲法

  《立川自衛隊監視テント村通信から》
 ☆ 岐阜市自動小銃発砲事件から考える
   ~自衛隊も軍隊だ

 六月十四目に岐阜市日野基本射撃場三名の自衛官が自動小銃で撃たれ、二名が死亡、一人は重傷を負うという大事件が起きた。
 自動小銃を撃ったのは十八歳の自衛官候補生だ。この事件までにすでに射撃訓練は四回行い、最終段階の五回目でこの惨事が起きた
 現場では泣き出す自衛官がいたり、AEDを探してコンビニへ走る自衛官がいたり、一帯は騒然とした状況になったという。

 ☆ 容疑者は普通の青年

 大変な事件だが、自衛隊でこうした事件は実は初めてではない。
 一九八四年山口県山口駐屯地の射撃場で二十一歳の自衛官が自動小銃を乱射、一名が死亡、四名が重軽傷を負うという事件が起きている。
 この時は、自衛官は自動小銃を持ったままジープで逃走、その後、山口市内にいるところを逮捕されている。しかし精神鑑定で心神喪失状態であるとして事件は不起訴になり、本人は病院に入院した。

 岐阜市の事件に関しては様々な関連記事が週刊誌に出た。
 その一つだが、元自衛官の証言によれば射撃訓練中に銃口を向けられたことがあるという。六月十七日付けのNEWSポストセブンには三十代の元目衛官の証言として以下の内容の記事が載った。

「十年ほど前、私の所属していた駐屯地で、ある候補生が射撃訓練中、上官に銃口を向けるという事件がありました。その候補生は上官から怒号を浴びせられて、キレちゃって銃口を向けてしまったらしいです。ただし、引き金は引いておらず最悪の事態は免れました。」

 この元自衛官によれば、射撃訓練中は怒声が飛び、あたりに緊張感が漂う。訓練生は覚えなければならないことが多くストレスもたまりやすいという。

 

 ☆ 軍隊は非人間的組織だ

 自衛隊でこういう事件が起きるのは決してたまたまではない。岐阜市の事件でも山口県の事件でも、入隊時の健康診断で問題は見つかっていない。つまり普通の青年がこういう事件を起こすように追い込まれるのだ。

 岐阜市の事件については、その後の報道で自衛官候補生の少年時代にまでさかのぼって何か問題がなかったのかを調べるような記事もある。
 「一言多い性格」「むら気がある」などとする取材もあるが、そんな人はたくさんいる。
 逆に「友達は多かった」「非常に熱心に自衛隊のことを調べていた」「アルバイトを一緒にやったが真面目に働いていた」という記事もある。
 多少自衛隊オタクのようではあるが、平凡な人間なのだ。

 そういう普通の青年が精神を壌してしまうのが自衛隊という組織だ。他国の軍隊でも戦地から帰還後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ元兵士はたくさんいる。
 人の命を奪うことで、生き残っても自分は心を壊される。そういう非人間的な組織が軍隊だ。自衛隊もその同類と考えるべきだ。

 ☆ 自衛隊で引き続く不祥事

 その自衛隊では相変わらず不祥事が絶えない。事件が起きたのは一~二年前だったりするが、最近報道された不祥事事件をいくつか上げると、「女性の下着泥棒」、「同僚に茶碗を投げつけ四針縫う怪我を負わせる」、「上官が女性隊員の臀部をなで回すセクハラ」、「大麻の使用」などだ。

 五ノ井里奈さんの告発したわいせつ事件でも裁判で被告らは「セクハラではなかった」と居直り、五ノ井さんは心底から彼らに怒っている。
 こんな状況の自衛隊だが、防衛機密保持のため自衛隊法では、隊の施設内で起きた事件は自衛隊が捜査すると定められている。そのためこの事件の初動捜査では警察主体だったが、その後の取り調べは警務隊がやっている。
 だが司法解剖などの施設はないため、警務隊の捜査に警察が協力するという前例のない体制だという。軍法会議を設けるべきというとんでもない意見もネットでは出ているが、警務隊中心では真相が隠蔽される怖れもある。
 自衛隊もまた軍隊であり、人を殺すための訓練で普通の若者の心が壊されていく。そのことをきちんとおさえ自衛隊批判を行っていく必要がある。

『立川自衛隊監視テント村通信』(2023年7月1日)


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