大阪の会のIです。
12月9日、大阪市教委に対して8採択地区の統合化に反対する要望書と質問書を提出しました。以下に紹介します。
是非とも全国から大阪市教委に対して抗議の声をとどけてください。
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12月3日、貴教育委員会議は、これまで市内8採択地区でそれぞれ選んでいた市立小中学校の教科書を全市で統一する方針を決めました。
従来の大阪市立小中学校の採択は、8採択地区で現場教員の意向を尊重しながら、それぞれの地域・学校のニーズに合わせて教科書を選んできており、全国的にも民主的な手続きが取られてきました。
市内一律の教科書では、子どもたちや学校・地域の実情を反映したきめ細やかな教育は不可能になります。これまで大阪市で尊重されてきた教員の声も届かなくなる可能性が高くなります。
すでに今年の市立高校の教科書採択で、来年度から各学校の「選定」を事実上認めず、教育委員会による独断採択を制度化することを決めました。今回の小中学校での採択地区の全市統合化は、まさに高校採択の延長線上にあるもので、教育委員会の独断採択への道を開くものです。
政令指定都市の教科書採択地区については、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下無償措置法)」第16条で「区域又はその区域をあわせた地域に、採択地区を設定しなければならない」と定められています。
16条は、無償措置法制定によって学校別から地区別に採択制度が変更される際、「指定都市の地域が広大で、その人口も最多三百数十万最小百数十万を有していることにかんがみ設けられた特例」であり、政令市が1採択地区では「他の都道府県における採択地区と著しく均衡を失するおそれがある」ため市内を分割して採択地区を設定することとし、設けられた条文です(福田繁・諸沢正道著 同法逐条解説)。
今回の全市採択地区統合化は、この16条の立法精神を無視するものです。
また、日本政府は、行政改革委員会の意見書を受けて、「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点に立ち、当面の措置として、教科書研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取り組みを促す」(「規制緩和推進計画の再改定について」1997年3月28日)との閣議決定がなされ、以後何度も採択地区の小規模化を求める閣議決定が行われています。
大阪市教委の今回の決定は、法の趣旨や閣議決定に真っ向から逆行するものであり、公正適正な教育行政とはとうてい認められません。
現在の8採択地区は、法的にも国の方針にもかなったものであり、子どもたちへのきめ細やかな教育環境を保障するものです。なにより、小学校11万6000人、中学校5万7千人の子どもたちに一種の教材で対応するのは、採択地区の「適正規模」を明らかに逸脱しており、巨大なマーケットを出現させて過当な営業競争を招くことは明らかです。
そこで、今回の決定に関して下記の要求と公開質問状を提出します。要求と公開質問に対して、貴教育委員会が誠実に対応されるよう要望します。12月中に文書による回答をお願いします。また、文書回答に対する「応接」も要望します。
小中学校教科書採択区8地区を全市1採択地区に統合する決定を即刻撤回すること。
(1) 貴教育委員会は、突然12月3日の教育委員会議で、小中学校教科書採択地区を全市1採択化することを提案し決定しました。このような重大な決定にもかかわらず、どのような経緯で決まったのか、全く明らかになっていません。決定にいたる審議の経過を明らかにしてください。
(2) 全市1採択化について、市民や団体、議員から要望等があったのでしょうか。あったのならその内容を明らかにしてください。
(3) 貴教育委員会は、これまで現場教員の声を尊重する採択を行ってきました。しかし、今回の全市採択地区統合化では、現場教員の声を尊重していくためにどのような制度を構築されようとしているのか、明らかにしてください。
(4) 要望にもある通り、全市採択地区統合化は「無償措置法」第16条と閣議決定に逆行することになると考えますが、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
(5) 全市採択地区統合化は住民・地域のニーズを重視する現在の大阪市の教育姿勢にも逆行していると考えますが、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
(6) ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」でも、教員の専門職性にかかわって「教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別な資格を認められたものであるから、承認された枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用などについて不可欠な役割を与えられるべきである」と基本的な考え方を示しています。つまり、教員が主体的に教科書採択に関わることの重要性が述べられています。今回の制度変更に当たり、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」の上記の指摘を重視されるのでしょうか。
(7) 橋下市長は、2013年3月25日の大阪市議会文教経済委員会で、①選定委員会答申についてABCランク付け推薦をやめる。②学校協議会が採択に関わっていく。ことも表明しています。これらの制度改革について、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
12月9日、大阪市教委に対して8採択地区の統合化に反対する要望書と質問書を提出しました。以下に紹介します。
是非とも全国から大阪市教委に対して抗議の声をとどけてください。
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2013年12月9日
大阪市教育委員会 様子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
◎ 小中学校教科書採択区8地区の全市統合化に反対する要望書と質問状
12月3日、貴教育委員会議は、これまで市内8採択地区でそれぞれ選んでいた市立小中学校の教科書を全市で統一する方針を決めました。
従来の大阪市立小中学校の採択は、8採択地区で現場教員の意向を尊重しながら、それぞれの地域・学校のニーズに合わせて教科書を選んできており、全国的にも民主的な手続きが取られてきました。
市内一律の教科書では、子どもたちや学校・地域の実情を反映したきめ細やかな教育は不可能になります。これまで大阪市で尊重されてきた教員の声も届かなくなる可能性が高くなります。
すでに今年の市立高校の教科書採択で、来年度から各学校の「選定」を事実上認めず、教育委員会による独断採択を制度化することを決めました。今回の小中学校での採択地区の全市統合化は、まさに高校採択の延長線上にあるもので、教育委員会の独断採択への道を開くものです。
政令指定都市の教科書採択地区については、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下無償措置法)」第16条で「区域又はその区域をあわせた地域に、採択地区を設定しなければならない」と定められています。
16条は、無償措置法制定によって学校別から地区別に採択制度が変更される際、「指定都市の地域が広大で、その人口も最多三百数十万最小百数十万を有していることにかんがみ設けられた特例」であり、政令市が1採択地区では「他の都道府県における採択地区と著しく均衡を失するおそれがある」ため市内を分割して採択地区を設定することとし、設けられた条文です(福田繁・諸沢正道著 同法逐条解説)。
今回の全市採択地区統合化は、この16条の立法精神を無視するものです。
また、日本政府は、行政改革委員会の意見書を受けて、「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点に立ち、当面の措置として、教科書研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取り組みを促す」(「規制緩和推進計画の再改定について」1997年3月28日)との閣議決定がなされ、以後何度も採択地区の小規模化を求める閣議決定が行われています。
大阪市教委の今回の決定は、法の趣旨や閣議決定に真っ向から逆行するものであり、公正適正な教育行政とはとうてい認められません。
現在の8採択地区は、法的にも国の方針にもかなったものであり、子どもたちへのきめ細やかな教育環境を保障するものです。なにより、小学校11万6000人、中学校5万7千人の子どもたちに一種の教材で対応するのは、採択地区の「適正規模」を明らかに逸脱しており、巨大なマーケットを出現させて過当な営業競争を招くことは明らかです。
そこで、今回の決定に関して下記の要求と公開質問状を提出します。要求と公開質問に対して、貴教育委員会が誠実に対応されるよう要望します。12月中に文書による回答をお願いします。また、文書回答に対する「応接」も要望します。
【要望事項】
小中学校教科書採択区8地区を全市1採択地区に統合する決定を即刻撤回すること。
【質問事項】
(1) 貴教育委員会は、突然12月3日の教育委員会議で、小中学校教科書採択地区を全市1採択化することを提案し決定しました。このような重大な決定にもかかわらず、どのような経緯で決まったのか、全く明らかになっていません。決定にいたる審議の経過を明らかにしてください。
(2) 全市1採択化について、市民や団体、議員から要望等があったのでしょうか。あったのならその内容を明らかにしてください。
(3) 貴教育委員会は、これまで現場教員の声を尊重する採択を行ってきました。しかし、今回の全市採択地区統合化では、現場教員の声を尊重していくためにどのような制度を構築されようとしているのか、明らかにしてください。
(4) 要望にもある通り、全市採択地区統合化は「無償措置法」第16条と閣議決定に逆行することになると考えますが、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
(5) 全市採択地区統合化は住民・地域のニーズを重視する現在の大阪市の教育姿勢にも逆行していると考えますが、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
(6) ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」でも、教員の専門職性にかかわって「教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別な資格を認められたものであるから、承認された枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用などについて不可欠な役割を与えられるべきである」と基本的な考え方を示しています。つまり、教員が主体的に教科書採択に関わることの重要性が述べられています。今回の制度変更に当たり、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」の上記の指摘を重視されるのでしょうか。
(7) 橋下市長は、2013年3月25日の大阪市議会文教経済委員会で、①選定委員会答申についてABCランク付け推薦をやめる。②学校協議会が採択に関わっていく。ことも表明しています。これらの制度改革について、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
◆抗議先
大阪市教育委員会 総務課企画グループ
TEL 06-6208-9013 FAX 06-6202-7052
メールは、以下のアドレスから入り「メール送信フォーム」へ
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/soshiki_list.html
◆要請先
大阪府教育委員会 教育総務企画課 広報・議事グループ
TEL 06-6944-8041 fax 06-6944-6884
メールは、以下のアドレスから入り「お問い合わせはこちら」へ
http://www.pref.osaka.jp/kyoikusomu/
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