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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

日本の長時間労働は、本当になくなったの

2005年01月16日 | ノンジャンル
日本の労働時間が欧米並みに短縮されたという、数字のトリックが分かった。

1,時短の目標1,800時間は、達成できたか。

 1800時間とは、週休二日で休祝日を除き一日8時間で働くと計算した数字で、
 1980年代に2000時間を超えてい労働時間を、欧米並みに減らす目標値として設定された。
 厚労省の「毎月勤労統計調査」によると、「全労働者の総実労働時間」は、
 90年度が2076時間、03年度は1853時間であり、
 一見、順調に目標達成に近づいているように見える。

2,長時間労働が、実際に減ったような実感がない。

 上記1853時間という数字は、非正規従業員(パート・派遣)も含む「全労働者」の平均値。
 正規従業員だけでいうと2016時間で、未だに2000時間を超える水準である。
 パート労働者の総実労働時間は、1184時間で、合わせて平均すると小さい数字に見える。
 しかも企業はリストラを進め、正社員からパート・派遣への切り替えが進んでいる。
 93年度のパート比率14.4%が、03年度には23.24%と、10年間で約倍増し、
 いまや労働者の4人に1人がパートとなっている。(04/10速報値では31.2%)
 正規従業員の長時間労働は、いっこうに改善されていないばかりか、
 正社員にかかる労働の密度や質は、パート・派遣が増えた分強化されているともいえる。

3,年休の消化率の低さ

 平均有給休暇取得率は、93年の56.1%をピークに、低下傾向にある。
 03年度は48.1%で、ここ数年は50%を下回っている
 年間有給休暇日数は、16日(93年)→18.2日(03年)と、制度としては拡充している。
 しかし取得日数は、9.1日(93年)→8.8日(03年)と、逆に減少している。
 制度だけ作っても、休日を取れない職場環境の実態が垣間見られる。

4,企業の賃金未払い労働時間

 労働時間の数字に現れないのが、俗に言う「サービス残業」である。
 労基法上違法な「賃金不払い残業」を、誰が名付けたのか耳に心地よい「サービス残業」。
 04年厚労省の指導の結果、大手企業でも不払い残業が横行している実態が明らかになった。
 賃金不払いは明らかな企業の違法行為であり、過重労働・健康破壊の原因ともなっている。
 統計上現れない「サービス残業」を加えると、正規従業員の長時間労働は、量的にも質的にも過酷なものになっている。

5,OECD(経済協力開発機構)の統計(2003)

 日本=1,828時間、米国=1,792時間、
 ドイツ・フランス=1,400時間台、オランダ=1,300時間台
 一見、米国並みに近づいているように見えるが、これはパートも含めた「全労働者」の数字。
 それでも、独・仏・蘭に比べて、400~500時間も長い。
 加えて、月100時間を超える「賃金不払い残業」も珍しくない労働環境は、ILO(国際労働機関)の理念に反し、或いはWTO(世界貿易機関)の非関税障壁として、国際社会から「不公正競争」と批判を免れないだろう。

[東京新聞2005/1/10朝刊の解説記事からまとめてみました。]

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