<そうだ京都に行こう!> 特別報告 2
● 地域の子は地域で育てる
-全国学カテストに唯一不参加の犬山市から
ただいまご紹介いただきました、学カテストを唯一全国で実施しなかった犬山で、小学校の教師をしています村上です。よろしくお願いいたします。
一〇年前は、東京が根津さんたちのように、「君が代」の不起立で処分されるようなことになることも、愛知の管理教育と言われるその愛知で、教育委員会とタッグを組んで、このようなところで報告するとは、夢にも思いませんでした。
八年前ですけれども、犬山の市長(この前、県知事選挙に出た人です)が、長野県の当時の田中知事と、ラジオで対談をしたときに、犬山市も、東京のように学校選択制にしたいというふうに言っていました。
けれども、それから八年たって、今は、「犬山の子は犬山で育てる」、「地域の子は地域で育てるのだ」と、言うようになっています。
今、私は、そういう犬山で、教育をやってきているということについて、誇りを持っております。
● 人間関係づくりこそが、子どもたちを育てていく
まず、何故、犬山で学カテストをやらなかったのかということについてお話したいと思います。
犬山の現在の教育内容ですが、習熟度別は、原則としてとっていません。また、市の独自予算で、35人以下の学級を全学校で実施しています。さらに、算数では、三五人の学級を二つに分けて、それぞれグループを作り、子どもたち同士の学び合い、教え合いということをやっています。
授業というのは、ただ、知識を学ぶだけではなくて、子どもたちの人間関係づくり、そのことこそが子どもを育てていくのだということで、学校の、私たちの研究を進めていっています。
私たちも、その研究に携わってまいりましたし、親への授業参観と個人懇談とを通じて、発信をしてまいりました。
そういう教育を実施していくためには、職員室の、職員間の同僚性と言いますか、協力・協働ということを欠かすことができません。
そのために、子どもや教師の競争をあおる学カテストを行わない、それから、教員評価も犬山では実施しません。そういうのを去年・今年とやってきております。
そういう学び合い、教え合いの教育に、学カテストは、そぐわない、必要ないということです。
名古屋大学の教授で犬山市の教育委員をなさっている中島先生は、学カテストは個人情報の収集そのものであり、教育バウチャー制度のパーツとなり、教員評価に利用される危険性があるとおっしゃられました。
そういうことについて、私たちの身の回りの教員もなんとなく感じておりまして、愛知のある地域では、「学カテストをやるからには勝つ」ということで、咋年度末に、5年生対象に対策問題を実施しております。
それから、私の近くの教師が、「なんで犬山ではやらないの?」というふうに、言うものですから、「たとえば学級編成をやるときに、本当にクラスの中で力がない、あるいは大変手のかかる子について、『うちのクラスには欲しくない』といったふうなことも起こってくるかもしれない」というふうに言いますと、「今でもやってるなあ」と、「それがもっときつくなるのじゃないか」ということで非常に納得してくれました。
さて、学カテスト当日、犬山にはテレビの取材が全国から来まして、各学校の様子をテレビで取材していきました。
私たちは、その時、何をしていたかというと、普通の授業をやっていたわけです。普通の授業というのは、犬山では学び合いの教育であり、教え合いの教育ということです。
じゃあ、もう問題ないかと言いますと、実は大変です。保護者の間から、「学力向上に役立つのだったら、なぜやらないのか」とか、それから、「国が予算をくれるのに、どうしてその予算を使わないんだ」とか、そういった親からの質問もあったようです。あるいは意図的なものもあるかもしれないですけれども、「学び合いとか言って、やったら結果に自信が持てないからやらないのだろう」といったようなメールが教育委員会に届いたといったようなことも聞いております。
けれども、私たちは、そういう教育の現場で、教育を通じて親たちに詰りかけていきたいというふうに思います。保護者の方たちにとっては、分かりにくい、非常に分からなくされている、あるいは、なんとなく、競争を煽り立てられ、不安になって、「ほんとうに実施しなくてもいいのだろうか」というふうに思っておられるようです。
● 私が受けた愛媛県の学カテストで体験したこと
実は私も、小学校の時、愛媛県にいたのですが、そこで、この学カテストを受けたことがあるのです。
その時、先生が授業の時に、「次の時間に学カテストをやるのだけれども、ちょっと、習ってないところがある。それで習ってなくてはテストできないので、ちょっとやり方だけ教えてあげる」というふうに言って、やり方を教えてくれました。
で、その次の時間に学カテストがあって、算数の問題を見ると、数字が違っているだけで、問題はまったく一緒だったのです。「こんなことでいいのだろうか」ということを、小学生でしたけれども、やっぱり、感じました。
そのことを、今度の学カテストの問題があったときに、思い出しました。子どもたちに、二度とこんな、不信感を抱くようなことをさせてはいけないというふうに思っております。
そんなことを子どもたちが感じない、本当に安心して教育を受け、のびのびと、学力を、本当の意味で身につけていけるように、私たちの犬山だけじゃなくって、いろんなところで声を上げていただいて、拡げていただくと本当にありがたいと思います。
犬山市の教育委員会はこんな本を出しています。『全国学カテスト参加しません』という本です。これは教育委員会が出した本なのです。
この間、教育長が私の学校に来て、「教育の基本は個人の人格の完成にある。これから、来年もまた学カテストをしないということを確実にさせるには、先生方の教育の実践にかかっている」と言われました。私たちも、本当にそう思いますので、一日一日、毎日の実践を、また頑張っていきたいと思います。
『新たな旅立ちのために そうだ京都に行こう! 改悪教育基本法の具体化を許さない全国集会報告集』
● 地域の子は地域で育てる
-全国学カテストに唯一不参加の犬山市から
村上英子(犬山市・小学校教員)
ただいまご紹介いただきました、学カテストを唯一全国で実施しなかった犬山で、小学校の教師をしています村上です。よろしくお願いいたします。
一〇年前は、東京が根津さんたちのように、「君が代」の不起立で処分されるようなことになることも、愛知の管理教育と言われるその愛知で、教育委員会とタッグを組んで、このようなところで報告するとは、夢にも思いませんでした。
八年前ですけれども、犬山の市長(この前、県知事選挙に出た人です)が、長野県の当時の田中知事と、ラジオで対談をしたときに、犬山市も、東京のように学校選択制にしたいというふうに言っていました。
けれども、それから八年たって、今は、「犬山の子は犬山で育てる」、「地域の子は地域で育てるのだ」と、言うようになっています。
今、私は、そういう犬山で、教育をやってきているということについて、誇りを持っております。
● 人間関係づくりこそが、子どもたちを育てていく
まず、何故、犬山で学カテストをやらなかったのかということについてお話したいと思います。
犬山の現在の教育内容ですが、習熟度別は、原則としてとっていません。また、市の独自予算で、35人以下の学級を全学校で実施しています。さらに、算数では、三五人の学級を二つに分けて、それぞれグループを作り、子どもたち同士の学び合い、教え合いということをやっています。
授業というのは、ただ、知識を学ぶだけではなくて、子どもたちの人間関係づくり、そのことこそが子どもを育てていくのだということで、学校の、私たちの研究を進めていっています。
私たちも、その研究に携わってまいりましたし、親への授業参観と個人懇談とを通じて、発信をしてまいりました。
そういう教育を実施していくためには、職員室の、職員間の同僚性と言いますか、協力・協働ということを欠かすことができません。
そのために、子どもや教師の競争をあおる学カテストを行わない、それから、教員評価も犬山では実施しません。そういうのを去年・今年とやってきております。
そういう学び合い、教え合いの教育に、学カテストは、そぐわない、必要ないということです。
名古屋大学の教授で犬山市の教育委員をなさっている中島先生は、学カテストは個人情報の収集そのものであり、教育バウチャー制度のパーツとなり、教員評価に利用される危険性があるとおっしゃられました。
そういうことについて、私たちの身の回りの教員もなんとなく感じておりまして、愛知のある地域では、「学カテストをやるからには勝つ」ということで、咋年度末に、5年生対象に対策問題を実施しております。
それから、私の近くの教師が、「なんで犬山ではやらないの?」というふうに、言うものですから、「たとえば学級編成をやるときに、本当にクラスの中で力がない、あるいは大変手のかかる子について、『うちのクラスには欲しくない』といったふうなことも起こってくるかもしれない」というふうに言いますと、「今でもやってるなあ」と、「それがもっときつくなるのじゃないか」ということで非常に納得してくれました。
さて、学カテスト当日、犬山にはテレビの取材が全国から来まして、各学校の様子をテレビで取材していきました。
私たちは、その時、何をしていたかというと、普通の授業をやっていたわけです。普通の授業というのは、犬山では学び合いの教育であり、教え合いの教育ということです。
じゃあ、もう問題ないかと言いますと、実は大変です。保護者の間から、「学力向上に役立つのだったら、なぜやらないのか」とか、それから、「国が予算をくれるのに、どうしてその予算を使わないんだ」とか、そういった親からの質問もあったようです。あるいは意図的なものもあるかもしれないですけれども、「学び合いとか言って、やったら結果に自信が持てないからやらないのだろう」といったようなメールが教育委員会に届いたといったようなことも聞いております。
けれども、私たちは、そういう教育の現場で、教育を通じて親たちに詰りかけていきたいというふうに思います。保護者の方たちにとっては、分かりにくい、非常に分からなくされている、あるいは、なんとなく、競争を煽り立てられ、不安になって、「ほんとうに実施しなくてもいいのだろうか」というふうに思っておられるようです。
● 私が受けた愛媛県の学カテストで体験したこと
実は私も、小学校の時、愛媛県にいたのですが、そこで、この学カテストを受けたことがあるのです。
その時、先生が授業の時に、「次の時間に学カテストをやるのだけれども、ちょっと、習ってないところがある。それで習ってなくてはテストできないので、ちょっとやり方だけ教えてあげる」というふうに言って、やり方を教えてくれました。
で、その次の時間に学カテストがあって、算数の問題を見ると、数字が違っているだけで、問題はまったく一緒だったのです。「こんなことでいいのだろうか」ということを、小学生でしたけれども、やっぱり、感じました。
そのことを、今度の学カテストの問題があったときに、思い出しました。子どもたちに、二度とこんな、不信感を抱くようなことをさせてはいけないというふうに思っております。
そんなことを子どもたちが感じない、本当に安心して教育を受け、のびのびと、学力を、本当の意味で身につけていけるように、私たちの犬山だけじゃなくって、いろんなところで声を上げていただいて、拡げていただくと本当にありがたいと思います。
犬山市の教育委員会はこんな本を出しています。『全国学カテスト参加しません』という本です。これは教育委員会が出した本なのです。
この間、教育長が私の学校に来て、「教育の基本は個人の人格の完成にある。これから、来年もまた学カテストをしないということを確実にさせるには、先生方の教育の実践にかかっている」と言われました。私たちも、本当にそう思いますので、一日一日、毎日の実践を、また頑張っていきたいと思います。
『新たな旅立ちのために そうだ京都に行こう! 改悪教育基本法の具体化を許さない全国集会報告集』
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