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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

安倍応援団「教育再生首長会議」教育への政治的介入に公費の支出は不当

2018年08月27日 | こども危機
 ◆ 情報開示で掘り起こされた教育再生首長会議の違法性
   ~安倍ブレーン八木氏と側近下村氏の企みを挫折させた主権者 (反戦情報)
高嶋伸欣(たかしまのぶよし/琉球大学名誉教授)

 ◆ 失政ばかりの安倍政権
 マスコミは、安倍晋三氏の自民党総裁三選は揺るぎないかのように報じている。だが安倍首相国会で次々と禍根を残す立法を繰り返している。しかもそれらは、説明不足のまま数の暴力を押し通したものだ。
 その一方で、経済政策根幹の物価2%の引き上げに失敗
 外交では、北方領土問題で返還された場合に米軍基地が置かれる可能性があるとの不用意説明で、プーチン大統領を激怒させて挫折
 尖閣諸島問題では、2014年11月のAPEC首脳会議(北京)の際に習近平主席との会談実現に向けた事前協議で、中国側の「見解」の存在を日本側が認めたと読める文書に合意。
 米朝首脳会談見通しを全く見誤って、世界に恥を晒した
 しかも拉致問題ですがった見返りに、トランプ大統領から武器その他の米国製品買い取りを要求され、安倍支持の産業界の不興を買っている。
 その上、労働力不足に悩む産業界の神経を逆なでする暴言を、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が連発している。落選中の同氏を自民党から出馬させ、当選確実の名簿順位に据えさせたのは安倍首相自身だ、との情報もある。
 首相周辺では、ゴマすりをする側近政治家だけでなく、忖度に傾斜した高級官僚が群れをなしている。誠実な官僚を自死に追い込みながら、その責任はうやむやのままだ。
 製造業では、製品の検査データーの改竄(ざん)が常態化。今や官民ともに日本社会は根腐れ状態に陥っている。
 その根腐れ状況をさらに深刻化させてきている安倍政権の自浄力のなさに、日本中のいら立ちは募る一方だ。何か一つの大きなきっかけがあれば、それらの不公正さへの不満、批判が一気に噴出して倒閣となる可能性が高まっている。
 そこにまた新たな安倍側近たちによる教育への政治的介入という不公正活動の存在が判明した。本稿ではその事実の概要を明らかにする。
 ◆ 暴かれた「首長会議」の不当性
 安倍側近たちが、教育への不公正介入を企てて創設した組織の名は「教育再生首長会議」
 同「会議」は2014年6月2日に設立総会を開催し、当時の松浦正人・山口県防府市長を会長に選出して発足した。毎年の総会で配付された加入者名簿によれば、14年7月時点の加入首長数は70名。以後15年6月121名、16年6月145名、17年6月153名、18年6月131名(別掲一覧参照)と変遷している。
 活動目標は、「設立趣意書」に、第二次安倍政権の掲げる「教育再生」が「より一層力強く前進していくために」「志を同じくする市町村長」が「一致団結して教育再生に全力で取り組んでいく」とある。
 活動項目は、規約第5条「事業(活動)」に「道徳・歴史・公民教育に資する調査・研究」「適正かつ公正な教科書採択に関する調査・研究」と示されている。
 第5条の他の項目は抽象的なもので、この2項目こそ主眼と読める。
 政治家である市町村長たちの組織が、道徳・歴史・公民教育に特に集中し、教科書採択にまでかかわりを持とうとしている。これらから同「会議」が、安倍首相の推す歴史修正主義の育鵬社版中学教科書の採択拡大を目指していることは明らかだ。
 ただし、14年6月の発足当時、そのことをマスコミは明らかにしていなかった。だが次第に同「会議」の不当性が判明していく。
 まず「会議」の発足総会の様子が「日本教育再生機構」(八木秀次理事長)の会報『教育再生』で詳しく紹介された。
 下村博文文部科学大臣(当時)が出席したことなどから、安倍首相寄り集団であることとして、我々は注視していた。
 状況判明が急速に進んだのは今年3月だった。
 育鵬社版教科書の採択を繰り返している東大阪市の市議会で、野党議員が野田義和市長の同「会議」への参加は公費支出によるものかを質問。野田市長は、同「会議」の会長に就任し、同市の公費支出を受けて活動していると認めた。
 そこで、野田市長による教科書採択への介入を不当とする市民団体が、同「会議」の会議資料等について情報開示を請求。結果、4月2日に188枚の関係資料開示に至った。
 それらには「同『会議』設立準備経過」が含まれていた。そこには、2013年11月14日に首長8人による懇談会、14年1月21日第1回準備会、同4月9日第2回準備会後、6月2日の設立総会に至った内部事情が、詳細に記録されていた。
 我々が注目したのは、八木秀次氏が最初の懇談会から毎回出席した事実が明記されていた点だった。八木氏は「首長会議の意義、道徳教科化、首長の責任」等の講話をしたとある。
 ここから同「会議」の方向付けや活動項目の選定は、八木氏主導で進められた、と判断できる。
 八木氏との癒着はこれだけではない。
 同「会議」の会費は発足時に年1万円だった。それが翌年15年の総会で2万円に増額される。理由説明の文書では「現状は、事務局長と日本教育再生機構の事務所のスタッフが協力して」運営しているが、1年間の経験から「年間120万円の委託金では賄いきれない」と判明したとある。
 そこで「人件費に加えて、事務所費、光熱費、印刷費、郵送費等の経費を含めると、最低でも月に30万円、年間360万円の事務局委託金が必要と考え」「2~3万円程度が妥当と思われるが、急激な変更は会員各位の理解が難しいと思われ、今回は年会費2万円としてお願いしたい」と言う。
 150人未満の会員組織で年1回の総会、首相・文科大臣への表敬訪問を兼ねた会合等の連絡・運営等の諸経費に一人分の人件費を加えて360万円も必要か?
 八木氏の「日本教育再生機構」は『教育再生』の発行停止、HPの閉鎖等で、財政的苦境にあることが露見している。
 同「再生機構」は育鵬社版教科書の事実上の執筆者組織として知られている。
 その組織を「首長会議」は財政的に支援していることになるが、その財源の会費は会員首長の所属する自治体の公費によって支出されたものだ。
 教育への政治的介入に公費の支出は不当だ
 しかも、前出の360万円を会費だけでは賄えないので、総会・懇親会などの参加費を実費でなく余剰金を作るために増額している。
 実費以上の支出と分かっている参加費への公費支出も不当だ。別掲の加入首長たちには、監査請求で責任を問いたい。
 ◆ 元凶は安倍首相の不当発言
 ところでことはこれだけではない。
 その後、新たに目下採択中の中学道徳教科書に新規参入した「日本教科書(日科)」版の採択に向けた働きかけの資料が「首長会議」の昨年7月と今年1月の会議の場で配付されていた事実が判明した。
 検定期間中に宣伝活動をすることは禁じられている。加えて、政治家集団である「首長会議」への働きかけは、採択での政治的介入を期待しているからに他ならない。
 この点について1月配付の文書で、八木秀次氏は「日本教科書株式会社・顧問」の肩書で次のように述べている。「市長が主催する総合教育会議では、教科書採択の方針などについて議論することができるとされています。つきましては、弊社に関する資料を同封いたしましたのでぜひご覧ください」と。
 語るに落ちたとはこのことだろう。
 八木秀次氏はこれまでも脇の甘い言動で、様々な内部情報を我々が知る機会を作ってきた。今回の場合も、公費支出から情報開示請求をされる事態を想定していなかったようだ。
 一方で「首長会議」発足の14年6月は、地方教育行政法の改悪(2015年4月施行)で、教育委員会に首長が介入できることになった時期と一致する。
 そこから、安倍首相への忠誠を示すことで文科大臣に居座り続けていた下村博文氏と八木氏が結託して、安倍カラー一色の育鵬社版教科書採択拡大を目的とする「首長会議」を立ち上げさせたということなのだ、と見ることも可能だ。
 安倍首相自身、野党時代の2012年2月に「再生機構」が開催した「教育再生民間タウンミーテイングin大阪」で、次のように発言した。
 「首長が相当の覚悟で教育委員を選んで、教育委員一人一人が全部の教科書を読みこんで、事務局に対抗しないといけない。議論して説得できる教育委員に変えていくことができれば、現在の制度でも(育鵬社採択は)不可能ではありません」と(『教育再生』12年4月号)。
 こうして見ると、八木・下村コンビに悪知恵をつけたのは安倍首相自身と言えそうだ。
 「首長会議」は「刑事事件に当たる違法性はないだろう」などと答弁する安倍首相には、何も違法性の無いものとなる。
 マスコミは腰砕けでも、主権者市民は“裏口入学”的な安倍政治の誤魔化しを見抜いている。
 その告発もあって、育鵬社の大口採択地の横浜市と大阪市での「日科」採択は阻止された。安倍に未来はない。
 ● 「教育再生首長会議」会員名簿
<北海道・東北>16名
○北海道、水谷洋一(網走市)・山口幸太郎(千歳市)・小笠原春一(登別市)・上野正三(北広島市)
○青森県、平山誠敏(五所川原市)・宮下宗一郎(むつ市)・関和典(西目屋村)・金澤満春(大間町)
○岩手県、戸田公明(大船渡市)・本田敏秋(遠野市)
○秋田県、高橋大(横手市)
○福島県、木幡浩(福島市)・清水敏男(いわき市)・鈴木和夫(白河市)・立谷秀清(相馬市)・遠藤智(広野町)
<関東>30名
○茨城県、高橋靖(水戸市)・藤井信吾(取手市)・五十嵐立青(つくば市)・三次真一郎(常陸大宮市)・海野徹(那珂市)・岸田一夫(鉾田市)
○栃木県、大久保寿夫(小山市)・津久井富雄(大田原市)
○群馬県、山本龍(前橋市)
○埼玉県、富岡清(熊谷市)・藤本正人(所沢市)・吉田信解(本庄市)・森田光一(東松山市)・河田晃明(羽生市)・田中龍夫(入間市・休会)・松本武洋(和光市)・小野克典(桶川市)・田中喧二(久喜市)・中原恵人(吉川市)
○干葉県、志賀直温(東金市)・岩田利雄(東庄町)
○東京都、服部往夫(台東区)・山崎孝明(江東区)・濱野健(品川区)・藤野勝(武蔵村山市)・高橋勝浩(稲城市)・並木心(羽村市)
○神奈川県、松尾崇(鎌倉市)・服部信明(茅ヶ崎市)・内野優(海老名市)

<北信越>11名
○富山県、森雅志(富山市)・村椿晃(魚津市)・笹原靖直(朝日町)
○石川県、宮元陸(加賀市)
○福井県、松崎晃治(小浜市)・岡田高大(大野市)・山岸正裕(勝山市)・橋本達也(あわら市)
○長野県、加藤久雄(長野市)・母袋創一(上田市)・牧野光朗(飯田市)

<東海>16名
○新潟県、國定勇人(三条市)
○岐阜県、尾関健治(関市)・松井聡(羽島市)
○静岡県、田辺信宏(静岡市)・鈴木康友(浜松市)・齊藤栄(熱海市)・豊岡武士(三島市)・染谷絹代(島田市)・高村謙二(裾野市)・菊地豊(伊豆市)
○愛知県、伊藤保徳(瀬戸市)・太田稔彦(豊田市)・山下史守朗(小牧市)・水野義則(尾張旭市)
〇三重県、亀井利克(名張市)・岡本栄(伊賀市)

<近畿>16名
○京都府、多々見良三(舞鶴市)・堀口文昭(八幡市)
○滋賀県、谷畑英吾(湖南市)
○大阪府、藤原龍男(貝塚市)・千代松大耕(泉佐野市)・辻宏康(和泉市)・野田義和(東大阪市)
○兵庫県、谷口芳紀(相生市)・広瀬栄(養父市)・福元晶三(宍粟市)・安田正義(加東市)・
○奈良県、阿古和彦(葛城市)
○和歌山県、神出政巳(海南市)・平木哲朗(橋本市)・望月良男(有田市)・田岡実千年(新宮市)
<中国>12名
○島根県、速水雄一(雲南市)・石橋良治(邑南町)・下森博之(津和野町)
○岡山県、片岡聡一(総社市)・近藤隆則(高梁市)・田原隆雄(備前市)友實武則(赤磐市)
○広島県、浜田一義(安芸高田市)
○山口県、渡辺純忠(山口市)・松浦正人(防府市)・市川煕(光市)・西岡晃(美祢市)
<四国>9名
○徳島県、藤田元治(美馬市)○香川県、大西秀人(高松市)・綾宏(坂出市)・平岡政典(普通寺市)・藤井秀城(東かがわ市)・山下昭史(三豊市)
○愛媛県、大城一郎(八幡浜市)・清水雅文(愛南町)
○高知県、岡崎誠也(高知市)

<九州・沖縄>21名
○福岡県、三田村統之(八女市)・後藤元秀(豊前市)・波多野茂丸(芦屋町)・新川久三(築上町)
○佐賀県、橋本康志(鳥栖市)・横尾俊彦(多久市)・井関新(伊万里市)・松本茂幸(神埼市)・武廣勇平(上峰町)
○長崎県、朝長則男(佐世保市)
○熊本県、浅田敏彦(荒尾市)
○宮崎県、読谷山洋司(延岡市)・村岡隆明(えびの市)・十屋幸平(日向市)
○鹿児島県、尾脇雅弥(垂水市)・宮路高光(日置市)・中重真一(霧島市)・本坊輝雄(南さつま市)・下平晴行(志布志市)
○沖縄県、中山義隆(石垣市)・下地敏彦(宮古島市)
以上131名(今年6月4日現在)

※情報開示請求で公開されたもの

『反戦情報 No.407』(2018.8.15)

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