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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

《Change.org》小中高校生に豊かな学びと学校生活を保障するための全国署名にもっと賛同を

2023年07月03日 | こども危機

 教員の勤務条件は、小中高校生の教育条件を左右します。教員が元気に働いてこそ、小中高校生は豊かな学びと学校生活を送れます。
 日本の教員はいま、OECD調査参加国中最長の長時間勤務に耐えながら、小中高校生に豊かな学びと学校生活を保障しようと奮闘しています。しかし、心身の健康を害する教員は増え続けています。本来配置すべき教員数を確保できない学校は少なくありません。
 学校はブラック職場と言われへ教職を目指す若者も減少しています。これでは、学校はもちません。
 学校の業務量に見合った教員を配置し、教員の長時間勤務に歯止めをかけなければ、豊かな学校教育を持続的に保障することはできません。
 私たちは、豊かな学校教育を実現するため、教員への残業代の支給=教員の長時間勤務の解消と、学校の業務量に見合った教職員の配置を、教育政策の最優先課題として取り組むよう、政府に求めます。

 

1.教員にも残業代を支給すること

 「残業させたら割増賃金をはらう」これは長時間労働に歯止めをかける世界の共通ルールです。
 ところが、52年前、公立学校教員には本給の4%分の教職調整額を支給する代わりに、「原則として残業は命じない」、「残業代は支払わない」という法律(給特法)がつくられました。
 しかし、実際には、学校の仕事も残業も増える一方です。裁判所も「給特法は、もはや教育現場の実情に適合していない」との判断を示しまレた。今の仕組みを大きく変える必要があります。

 労働基準法は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」(第32条)と定め、労働者との協定を締結したときに限り時間外労働・休日労働を命ずることを認めつつ(第36条)、時間外労働・休日労働に対しては割増賃金の支払いを使用者に義務づけています。
 「残業させたら、割増賃金をはらう。」これは長時間労働に歯止めをかける世界の共通ルールです。
 国家公務員及び地方公務員については、「公務のために臨時の必要がある場合」には時間外労働・休日労働を命ずることができる(地方公務員法第33条3項)と定めていますが、時間外労働・休日労働に対しては割増賃金を支払わなければなりません(同法第25条)。

 ところが、国は52年前、公立の義務教育諸学校等の教員の給与等に関する特別措置法(昭和46年法律第77号、以下「給特法」)を制定し、義務教育諸学校に勤務する教員に本給の4%分の教職調整額を支給する代わりに、「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」と定めました(第3条)。
 また、公立の義務教育諸学校等の教員に対しては、政令に定める緊急または臨時的な事由に該当する場合にだけ時間外・休日の勤務を命ずることができるとしました第7条)。
 学校の業務が増大するにつれて、通常の業務でさえ所定の勤務時間に収まりきらず、教員の長時間勤務が常態化しています。しかも、それらは通常の業務であって緊急または臨時的な業務ではないため、政令に定める時間外・休日の勤務を命ずることのできる事由には該当しません。
 そのため、教員は長時間に及ぶ時間外・休日勤務は「自発的残業」として処理されてきました。これはブラック職場における労務管理手法にほかなりません。
 教員の多くは、残業代の支給があれば、長時間の時間外・休日勤務を受け入れようとしているわけではありません。残業代はいらないから、時間外・休日勤務をなくしてほしい、減らしてほしいという声は少なくありません。
 この声に応えるためには、教員も、一般の労働者・公務員と同じように、労働時間・勤務時間に見合った給与を受け取ることのできる仕組みに変えることが必要だと考えます。
 そのためには、給特法を廃止する案、一部修正する案など、いくつかの選択肢がありうると思います。
 ただ、去る5月22日に文部科学大臣が中央教育審議会に諮問した「教職調整額の増額」ではこの間題を解決することはできないと考えます。

 

2.学校の業務量に見合った教職員を配置すること

 多くの教員が過労死ラインで働いています。それでも、授業準備のために十分な時間を使うことが難しいという現実があります。
 学校の業務量に対して、教員が少なすぎるのです。これを解消しないかぎり、教員の長時間労働は解決しません。
 このままでは、教職志望の若者を確保することもできません。学校の業務量に見合った教員数を確保する必要があります。

 民間企業であれば、業務が増大すれば、それに見合った従業員を雇用します。そうしなければ、従業員の労働を長時間化・過密化させ、効率の低下や離職者の増大といった結果を招きかねないからです。
 しかし、公立学校に配置される教職員数は、学校の業務量とは無関係に、各学校の学級数から算出される仕組みになっています(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第116号、「義務標準法」)。
 そのため、学校の業務量は増大する傾向にあるのに、少子化による児童生徒数の減少に引きずられて、各学校に配置される教職員数は減少してしまいます。
 これでは、長時間勤務を解消することはできません。小中高校生に豊かな学校教育を持続的に保障するためには、学校の業務量に見合った教職員を配置すること、これが基本です。
 そのためには、教職員が担当する学校の業務量を削減するほか、教職員の配置基準を改善し業務量に見合った教員配置をすることが必要です。

 

3.これらを実現すべく教育予算を増額すること

 日本の教育予算(対GDP比)は、世界的に見てもたいへん低い水準にあります。でも、子どもに豊かな学びを保障するためには、教員を適切に配置しなければなりません。働きに見合った給与を教員に支払うのは当然です。そのために必要な教育予算を確保することは、国の務めです。

 自由民主党の令和の教育人材確保に関する特命委員会が、今年5月16日に公表した「令和の教育人材確保実現プラン(提言)~高度専門職である教師に志ある優れた人材を確保するために一」には、中学校の35人学級化や小学校高学年の授業コマ数削減など、教員の業務量を減らしたり、教員を増員したりすることにつながる政策が含まれています。これらの提言は肯定的に評価できる内容を含んでいると思います。 ただ、教職調整額を増額しつつ職務に対して手当を支給し、当面は「時間外在校等時間、月45時間以内」を目標とするとしたことには懸念を覚えます。

 中央教育審議会でも審議が始まりました。今後、より豊かな議論が行われるよう、市民のみなさんの声を集約七つつ、教育研究者として議論を活性化に努めていきたいと思います。

教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育の実現を求める教育研究者有志

内田 良(名古屋大学教授)
尾木直樹(法政大学名誉教授)
片岡洋子(千葉大学名誉教授)
勝野正章(東京大学教授)
菊地栄治(早稲田大学教授)
小国喜弘(東京大学教授)
小玉重夫(東京大学教授)
佐藤 学(東京大学名誉教授)
澤田 稔(上智大学教授)
志水宏吉(大阪大学教授)
清水睦美(日本女子大学教授)
高橋 哲(大阪大学准教授)
中嶋哲彦(愛知工業大学教授)
中村雅子(桜美林大学教授)
浜田博文(筑波大学教授)
広田照幸(日本大学教授)
前川喜平(現代教育行政研究会代表)
松下佳代(京都大学教授)
山本由美(和光大学教授)
吉田 文(早稲田大学教授)

☆ 今すぐ賛同 ☆

『Change.org』


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