《尾形修一の紫陽花(あじさい)通信から》
◆ 無実を叫ぶ死刑囚たち-6.23集会
6月23日(土)に「無実を叫ぶ死刑囚たちー狭き門のまえで」という集会に参加した。主催は「死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90」で、水道橋の全水道会館。
なんだか集会に足を運ぶのも久しぶりなんだけど、会場はいっぱいになっていた。聞こえてきたのは「袴田さんの(再審取り消し)決定はひどい」という声だ。僕も同じような気持ち。僕が集会に出たからといって、再審決定に影響するわけじゃないだろうが、せめて集会に行くぐらいしたいなと。
最初に徳田靖之弁護士による飯塚事件の講演。
徳田さんはハンセン病国賠訴訟で最初に提訴された熊本の西日本訴訟の中心を担った。今もハンセン病市民学会の共同代表の一人で、何度も話を聞いている。ハンセン病差別による死刑事件・菊池事件の再審請求の中心である。
菊池事件は1962年に死刑が執行されてしまったが、飯塚事件も2008年10月28日に死刑が執行されてしまった。
徳田弁護士は2審から担当し、再審の準備も進めていたが間に合わなかった。2009年10月28日に妻によって再審請求されたが、福岡地裁、高裁が棄却し最高裁に特別抗告中。
飯塚事件の大問題は、怪しげなDNA型鑑定があるんだけど、警察の鑑定で試料が全部使われていて、再鑑定ができないこと。1992年の事件でDNA型鑑定の初期の時代だった。今では技術が格段に向上していて、その結果足利事件などの再審が開始された。再鑑定さえできれば、無実であればすぐに判る。(DNA型鑑定は他のすべての鑑定と同じく、それだけでは有罪を完全に証明できない。勘違いしている人がいるけど、個人の完全な識別はDNA鑑定ではできない。)
その他車の目撃証拠も怪しいのだが、もともと一切の「自白」がない。多くの再審事件では、「自白」と科学鑑定の矛盾を大きな理由としたことが多い。しかし、この事件はそういうことができない。あくまでも無実を主張したことがかえって不利になっている。再審請求が遅れたことで、死刑執行を防げなかったことを徳田弁護士は「弁護過誤」と語って大きな悔いを何度も語った。しかし、法務省は無実主張を続けていた事件であると知っていて、問題になる前に執行してしまった。法務大臣の責任は大きい。(麻生内閣の森英介法相。9月24日に就任して、ほぼ一月後である。)
その後、袴田事件弁護団の小川秀世弁護士から袴田事件の説明。
論理的におかしく、きちんと答えないだけでなく、捜査機関が証拠をねつ造する動機がないなど悪意ある先入観があるとしか思えない。あきれ返って言葉もないような感じだった。
その後、フォーラム90の安田好弘弁護士も加わってシンポジウム。
死刑事件、特に執行されてしまった事件の再審は開かせないという国家意思があるのではないか。その指摘は重い。
再審請求によって死刑の執行を停止する法改正が必要だとする。実は昨年に死刑を執行されたケースは再審中のものが3件あった。安田弁護士はそれは再審請求中のオウム死刑囚執行の「予行練習」だと指摘した。
第2部では死刑冤罪再審の最新情報として5件の報告が行われた。
鶴見事件の高橋和利さん、市原事件の佐々木哲也さんのように、冤罪問題に関心がある人には一応ある程度知られている事件もある。それでも細かい点は初めて知ることが多い。
風間博子さん、阿佐吉廣さん、松本健次さんの事件はほとんど知らない。
どの事件も「実行犯」「共犯」の供述が問題になっているように思う。
松本さんのケースは関西の事件でほとんど知らなかったが、獄中で水俣病認定を受けているというのは驚いた。弁護士だけが再審の中心になっている事件は大変だなと思う。
『尾形修一の紫陽花(あじさい)通信』(2018年06月28日)
https://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180/e/c240a7f51cffd73b1ff8eb07ad8e5dec
◆ 無実を叫ぶ死刑囚たち-6.23集会
6月23日(土)に「無実を叫ぶ死刑囚たちー狭き門のまえで」という集会に参加した。主催は「死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90」で、水道橋の全水道会館。
なんだか集会に足を運ぶのも久しぶりなんだけど、会場はいっぱいになっていた。聞こえてきたのは「袴田さんの(再審取り消し)決定はひどい」という声だ。僕も同じような気持ち。僕が集会に出たからといって、再審決定に影響するわけじゃないだろうが、せめて集会に行くぐらいしたいなと。
最初に徳田靖之弁護士による飯塚事件の講演。
徳田さんはハンセン病国賠訴訟で最初に提訴された熊本の西日本訴訟の中心を担った。今もハンセン病市民学会の共同代表の一人で、何度も話を聞いている。ハンセン病差別による死刑事件・菊池事件の再審請求の中心である。
菊池事件は1962年に死刑が執行されてしまったが、飯塚事件も2008年10月28日に死刑が執行されてしまった。
徳田弁護士は2審から担当し、再審の準備も進めていたが間に合わなかった。2009年10月28日に妻によって再審請求されたが、福岡地裁、高裁が棄却し最高裁に特別抗告中。
飯塚事件の大問題は、怪しげなDNA型鑑定があるんだけど、警察の鑑定で試料が全部使われていて、再鑑定ができないこと。1992年の事件でDNA型鑑定の初期の時代だった。今では技術が格段に向上していて、その結果足利事件などの再審が開始された。再鑑定さえできれば、無実であればすぐに判る。(DNA型鑑定は他のすべての鑑定と同じく、それだけでは有罪を完全に証明できない。勘違いしている人がいるけど、個人の完全な識別はDNA鑑定ではできない。)
その他車の目撃証拠も怪しいのだが、もともと一切の「自白」がない。多くの再審事件では、「自白」と科学鑑定の矛盾を大きな理由としたことが多い。しかし、この事件はそういうことができない。あくまでも無実を主張したことがかえって不利になっている。再審請求が遅れたことで、死刑執行を防げなかったことを徳田弁護士は「弁護過誤」と語って大きな悔いを何度も語った。しかし、法務省は無実主張を続けていた事件であると知っていて、問題になる前に執行してしまった。法務大臣の責任は大きい。(麻生内閣の森英介法相。9月24日に就任して、ほぼ一月後である。)
その後、袴田事件弁護団の小川秀世弁護士から袴田事件の説明。
論理的におかしく、きちんと答えないだけでなく、捜査機関が証拠をねつ造する動機がないなど悪意ある先入観があるとしか思えない。あきれ返って言葉もないような感じだった。
その後、フォーラム90の安田好弘弁護士も加わってシンポジウム。
死刑事件、特に執行されてしまった事件の再審は開かせないという国家意思があるのではないか。その指摘は重い。
再審請求によって死刑の執行を停止する法改正が必要だとする。実は昨年に死刑を執行されたケースは再審中のものが3件あった。安田弁護士はそれは再審請求中のオウム死刑囚執行の「予行練習」だと指摘した。
第2部では死刑冤罪再審の最新情報として5件の報告が行われた。
鶴見事件の高橋和利さん、市原事件の佐々木哲也さんのように、冤罪問題に関心がある人には一応ある程度知られている事件もある。それでも細かい点は初めて知ることが多い。
風間博子さん、阿佐吉廣さん、松本健次さんの事件はほとんど知らない。
どの事件も「実行犯」「共犯」の供述が問題になっているように思う。
松本さんのケースは関西の事件でほとんど知らなかったが、獄中で水俣病認定を受けているというのは驚いた。弁護士だけが再審の中心になっている事件は大変だなと思う。
『尾形修一の紫陽花(あじさい)通信』(2018年06月28日)
https://blog.goo.ne.jp/kurukuru2180/e/c240a7f51cffd73b1ff8eb07ad8e5dec
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