レオナルド・ダ・ヴィンチがサンタ・マリア・ディレ・グラツイエ教会の壁に描いた最後の晩餐はダン・ブラウンのダビンチ・コードで紹介されている通り、謎めいています。ダビンチ・コードのメインプロットはダン・ブラウンのオリジナルではなく”レンヌ=ル=シャトーの謎”というタネ本を元に彼が脚色・小説化したものです。ここでネタバレをするつもりは有りませんが映画や小説を読んだ方はご存知のとおり、その内容は西欧キリスト教社会の根幹に関わる、ある事柄をテーマにしています。その事を示すために、ダ・ヴィンチはこの最後の晩餐を描いたと言われています。
その、最も重要なポイントとなるのが、イエスの左側にいる使徒ヨハネです。他の11使徒と比べると明らかですが使徒ヨハネは女性として描かれています。ダ・ヴィンチはヨハネを本来はイエスの右側に寄り添う構図で描き、そのまま左にシフトしてイエスとの間に意味深な谷間を作ったと... 確かに現在の絵の構図は不自然ですし、ヨハネは女性に見えます。もう一つの重要な暗喩は、卓上に聖杯が描かれて無いという事です。ヨーロッパ中世に広く流布した聖杯伝説の真の意味をダ・ヴィンチはこの絵で伝えようとした....という事には説得力があります。5月にミラノで現物にお目にかかれたら是非、自分の目で確かめてこようと思います。
ダビンチ・コードの真偽の程は諸説ありますが、これはタダの小説ではなく、西欧キリスト教社会にインパクトを与える内容を含んでいるという意味で、私自身は下記の意見に近いものがあります。