自分の事で恐縮ですがこの10年来、不眠症で困っています。不眠症といっても色々あって、私の場合は寝つきはすごく良いのですが夜中に眼が覚めてしまう中途覚醒、或いは早朝覚醒と言うタイプです。夜中の3時過ぎにきまって頭ガキンキンと冴えてきて寝続けることが出来ない。寝直そうと悶々とするのですがなんせ頭が完全回転を開始しているのでとても寝れない。仕方がないので本を読んだりしてると20-30分くらいで再度眠りにつく、といった具合です。これはどうも加齢と関係あるようで、知り合いに言わせると寝るにも体力がいって歳を取ると寝る体力が無くなるのだとの説です。最近は悲しいことに夜中の3時どころか1時頃にも眼が覚めるようになり寝るのが苦痛になってきました。
寝れないなら睡眠薬と言うのが選択肢の一つですが、寝つきが悪いのなら即効性の睡眠薬も効果があるのですが、私のように朝まで続けて眠れない場合は持続効果が必要で強力なものになる。そんなものを飲むと寝起きが最悪で一日中ボーとした不快な気分になる。だいいち、今までの睡眠薬(ベンゾ系)は依存性、耐性の問題があり麻薬と同じで飲むと碌な事にならないことが判り切っているから飲まないでいました。
この睡眠に関して、1998年に日本人科学者達の手でオレキシンという脳内物質が発見されました。
以下、参照抜粋
オレキシンは摂食行動の制御系と睡眠・覚醒の制御系の両者と深い関係をもっている[1] [2]。オレキシンと報酬系との関連も示唆されており、情動や体内時計、エネルギー恒常性を統合した情報をもとに、適切な睡眠・覚醒状態をサポートする機能をもっていると考えられる[2]。
行動を制御するには覚醒の維持が必須であるが、オレキシンはさまざまな行動をサポートするために、覚醒を維持する機能をはたしている。一方、オレキシンの機能障害はナルコレプシーなどの過眠症に、機能亢進は不眠症などの病態に結び付くと予想される。
http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3
オレキシンは覚醒を維持する為に必要なものですが多すぎると不眠になる。私の場合はまさにこれで、寝ていて頭が冴えてきて寝続けることが出来ない。オレキシンの過剰分泌ですね。
そして、朗報はこのオレキシンを制御するタイプの睡眠薬が今年の11月に認可・発売される事になったのです。メルクのベルソムラ(一般名スボレキサンド)という薬です。この薬は脳のオレキシン受容体に結合してオレキシンを働かないようにする阻害剤で覚醒レベルを下げる効果があります。一般の睡眠薬が睡眠レベルを上げる働きをするのと逆の機序ですね。特徴は依存性や耐性の問題がほとんど無いと言う事、敢えて副作用を上げるとナルコレプシー様の覚醒レベルの低下がありえるということくらいです。
まあ、薬メーカーは良いことしか言わんからね、というのがかかり付けの医者の言葉ですが無理矢理頼み込んで処方箋を書いてもらい2週間分をGETしました。そこの医院の処方第1号です。ところが、日本の厚生省は何を考えているのかメーカーの推奨用量が10mgなのに15mg、20mgのものを認可して5mg、10mgは認可して無いのです。自分の身は自分で守るしかない。15mgを処方してもらいカッターで半分に割って飲んでみました。ちなみに2週間分14ピルで880円、半割で飲むと1ヶ月は持ちます。
まだ飲み始めて2日目ですがなかな良さげです。何がよいかと言うと朝の目覚めが爽快、ベンゾ系睡眠薬なぞを飲むと朝ぐったりしてボーっとして最悪ですがこれはそんな感じが無い。ちょっとボーっと感はありますが寝すぎた時と同じ感覚です。それで、夜中の覚醒はどうだったかと言うと実は飲んでも眼が覚めました、しかし直ぐに再入眠が出来ました。量を減らしているのでこんなものかもしれません。
薬は毒と同じなので飲まないに越した事はありませんが、これで美味しい睡眠が得られるなら魅力的です。ただ、新薬にはリスクが付き物なので1週間ほど試してみて続けるかどうか決めようと思っています。続報をお待ち下さい。