徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

日本人の源流を読む

2018年12月31日 | 歴史

2017年に出版された最新のゲノム解析による日本人論、著者は斎藤成也・東大教授。

前半1/3は20万年前にアフリカで出現した我々ホモ・サピエンスが、どのような経過をたどって地球上に分布していったかをDNA解析を通じて解説している。これはこれで凄く面白いし最新の知見でこんな事まで解るのかという驚嘆すべき事実が述べられている。

ただ、私がこの本で最も注目したいのは日本人の3重構造説だ。従来より日本人の縄文系、弥生系の二重構造は定説になっているがゲノム解析の結果それだけでは説明しきれない事実が出てきた。

きっかけは出雲県人会の人たちのゲノム解析結果だ。

東京在住の出雲出身者でつくる出雲会メンバー21名の解析をしたところ関東人とは明らかに違う分布を示した。このクラスターは東北人のパターンと一致する。そう、松本清張の砂の器で語られた出雲と東北の類似性がDNA解析にも表れたのだ。

東北人のパターンは平均的日本人とは若干ズレているが沖縄・アイヌの縄文系パターンとも違う。著者は日本人は縄文の後に弥生第一波、弥生第二波の三段階の流入があったという仮説を立てている。

ここで思い浮かぶのが記紀における出雲神話と銅鐸の話だ。近畿地方の弥生時代遺構からは鏡は一枚も出ていないで出てくるのは銅鐸だ。

ここからは私の推測だが、この銅鐸のキャリア―が第二波の弥生渡来人では無かろうか。記紀における神武東征が4世紀初頭に実際にあってそれ以降古墳時代が始まる。考古学的には畿内で弥生遺構から一枚も出土しない鏡が、古墳時代以降北部九州と同様に大量に出土するようになる。そして、弥生晩期に見つかる畿内の銅鐸は姿を消す。

著者はこの第三波渡来人の分布をこう見る。

この図を見て頭に浮かんだのがこれ、

この図は1961年に早大問題研究会が作った未開放の全国分布図です。僕自身は未開放は縄文系の人々を後から来た渡来系の連中が駆逐して追い込んだ居留区だと考えていたが、実はそうではなく出雲系(銅鐸族)の居留区かもしれないという可能性が出てきた。東北地方はの空白地帯でその理由は蝦夷だと考えていたが蝦夷は縄文ではなく第二波弥生系ではないか。なぜなら、東北人のゲノムはアイヌ・沖縄とは一致しないことがはっきりしていて、むしろ東北・出雲・長野あたりでクラスターを作っている。(というより、北部九州・瀬戸内・近畿・関東以外と言ったほうが正しいかも)

最後に県ごとのゲノム分布を載せるが色々と考えさせて面白いね。


うなぎの話

2018年12月27日 | 生命

これは本当に面白い本です。

著者は塚本勝巳東大教授 別名ウナギ博士。人類で初めてウナギの天然卵の採取に成功した人物です。

ウナギって本当に変わった魚で大洋のど真ん中で産卵し海流に乗って日本にたどり着いたあと河川をさかのぼり成長し、再び海に戻り数千キロを泳いで産卵場所にたどり着いて産卵する。この産卵場所が2400年前のアリストテレス以来の謎で、この先生以前には誰も産卵場所も卵も見たことが無かったのだ。

広い広い太平洋でほんの20km四方の狭いエリアで産卵するウナギをどうやって見つけるか。この先生、これを見つけるためだけに40年を費やしている\(^o^)/ キーワードは海流と耳石と甘い水と海山。

まずは海流と耳石だけど、ウナギに限らず魚類にはバランスを保つための耳石がある。この耳石には年輪(日輪)が刻まれていて顕微鏡で観察すると一日ごとの周期が観察できる。先生は何年もかけて台湾あたりから網(プランクトンネット)を引き始めて黒潮を遡りながらウナギの幼生を掬っては耳石を調べて生後何日かを同定していった。海流の流速は一定だから日数をかければどのあたりで卵が孵ったか推定できる。こうして行きついたのが世界最深のマリアナ海溝の西側に位置する西マリアナ海嶺だ。

しかしこれではまだ広すぎるし垂直方向の深度も判らない。ウナギは産卵する場合、日本から海流に逆らって遊泳して産卵場所までたどり着く。そしてオスとメスが出会って産卵する必要があるので何らかの目印が必要だ。この西マリアナ海嶺には海底から4000m以上の高さで立ち上がる3つの海山がある。その中で最も南に位置するスルガ海山に目をつけた。そして最後のキーワード甘い水。

赤道付近では上昇流が起こり、しょっちゅうスコールが降る。そうすると部分的に海水塩分の低い海域が出来る。これが甘い水で、先生はこの甘い水の分布とスルガ海山が接する部分で産卵するという仮説を立て網を引いた結果とうとうウナギの受精卵を見つけることができた。2009年5月22日のことだ。

この甘い水はウナギの発生に重要な役割をする。塩分濃度が低い海水でマリンスノーが発生すると海水比重が軽いのでマリンスノーは通常海水界面まで下降して停滞する。逆にウナギの幼生は発生して比重が軽くなり甘い水界面まで上昇する。そしてしばらくマリンスノー停滞物を食べて成長するのだ。実はこの初期飼料がウナギの人口養殖の最大のポイントで、この甘い水界面に停滞しているマリンスノー混濁液と同じ成分を作り出せないとウナギの幼生を養殖することが出来ないのです。マリンスノーというのは主にはプランクトンの死骸がバクテリアによりアミノ酸、タンパクペプチドなどの分解されたものだがそれを人工的に再現するのは至難の業。しかし、先生が産卵場所を発見したおかげでその秘密も徐々に明らかになりつつある。近いうちに人口養殖ウナギが可能になってウナギのかば焼きが好きなだけ食せる時代が来るかもしれませんね。

追記:ウナギのDNA解析によるとウナギはもともと深海魚の部類だったらしい。

 


Amazon EchoでIoT

2018年12月07日 | AI

Echoの音声認識が素晴らしいことが判ったらやって見たいのは家電のボイスコントロールだね。そんなの家電製品が対応してなけりゃあダメだろって思うでしょ?ところが、それが簡単に出来るんですよ。どうやるかって言うと照明にしろTVにしろリモコンが付いてますよね。リモコンは赤外線を受信して動くのでその赤外線を出してやればほとんどの家電はコントロールできるのです。それをするガジェットがこれ。

実はこの製品は日本での正規品では無くて中国製の裏製品\(^o^)/ といっても中身は正規品と全く同じでソフトにロックがかけられて、それを外すのに若干スキルが必要な代物なんです。ちなみに正規品は6000円くらいで売っています。こいつをEchoの横にセットしてと。

あとはEchoのスキル(アプリみたいなもの)を登録する。

と、TVも照明もエアコンもAVアンプも全部ボイスコントロールが出来るようになりました\(^o^)/ TVはON/OFFはもちろんチャンネル切り替えや音量増減、ミュートまで全部日本語で指示できますよ。

 

 


Amazon Echo スマートスピーカーを購入

2018年12月06日 | AI

Amazonのスマートスピーカーがキャンペーンで格安になっていたので興味半分にポチった。

これが凄い\(^o^)/ 本当にすごい ものすごい音声認識能力! 試しに2348万3654割る1864は?なんて聞くとスラスラと答えてくれるし、明日のごみ出しとか来週の予定とかもスラスラと答える。音楽もビートルズをかけて、と言うと直ぐに流してくれるし音を大きくも小さくも言うだけでやってくれる。ニュースとか天気予報はお茶の子さいさい 試しに円周率を聞いてみると延々と何十桁も数字を読み上げた挙句フー疲れた、なんて言うw

まあ、驚きのAIだね。 これが数百万円のシステムならわかるが僅か3000円しないで実現していることに若干寒気も覚える。ニューラルネットの可能性には30年前から注目していたが、まさかこんな化け物みたいなものを生み出すとは想像していなかったな、恐れ入りました。

ちなみに、これに呼びかける単語(Waikword)が決まっていてデフォルトはAlexa(アレクサ)だけど他にアマゾンだとかコンピュータとかエコーとかがある。アレクサって4文字で呼びにくいので我が家ではエコーに変えてやったぞ(´・ω・`)