徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

素数ゼミの謎

2020年03月01日 | 進化

アメリカに13年ごと或いは17年ごとに大発生するセミがいる。13、17は素数で、なぜセミが素数を知っているのか? この話は小学校のころ(50年以上昔)少年サンデーの世界の謎100で読んだ記憶がある あれは勉強になったなあw 例えば、アメリカは見えない戦闘機を開発してる、なんて記事もあったが今思えばステルスの事だね。

で、図書館で本をあさってたら、たまたま出会ったのがこの本

静岡大学の吉村先生が世界で初めてその謎を(アッサリ)解いてしまった。これ以下はネタバレなのでじっくり理解したい人は本を読んでください(´・ω・`)

前提となる事実は北米を覆った氷河期の大氷床、その中に残ったレフュージア(避難所)

日本のセミの寿命は7年程度、といっても7年間のほとんどは地中で幼虫として暮らし、夏の二週間だけ地上に出てきて交尾して卵を産んで一生を終える。北米が氷河期に氷で覆われた時代セミはごく限られたエリア=レフュージアで細々と命を繋いでいた。寒冷な気候で幼虫の成長は遅くなり成虫になるまで15年前後の期間が必要になった。

さて、算数の話 4と6の最小公倍数はいくつでしょう? 答えは12ですね。では3と7では? 21 最小公倍数はその数を素因数分解して求められるが素数はそのままなので素数を含む場合の最小公倍数はそうでない場合より必ず大きくなる。

それとセミとどう繋がるかというと、例えば15年ごとに生まれるセミと16年、17年、18年ごとのセミがいた場合15と18の最小公倍数は90で90年に一回15年ゼミと18年ゼミが同時に生まれることになる。この二種が交雑すると15,16,17,18年生まれのセミに分散が起こる。となると元の15年と18年ゼミの発生率は低下する。一方、素数年の17と18年ゼミの場合、最小公倍数は306年でこの状況は306年に一回しか起こらない。つまり最小公倍数の大きな素数ゼミの分散確率は、そうでない場合より小さい。これが狭いレフュージアの中で数万年繰り返されるうちに淘汰され素数ゼミだけが生き残ったという訳だ。いったん素数ゼミが確立するとそれから外れた16年とか18年に生まれた変異ゼミはパートナーがいないので生き残れない。

コロンブスの卵という話があるが、謎を解いてみると何だってことはよくある。適切な条件と事実を組み合わせれば謎は解ける。結果を聞けば簡単な話だが、その無限にある前提条件を抽出して組み合わせて結論につなげるにはヒラメキが必要なんだな。この話もそうで筋道を通してある前提を受け入れればセミが素数年に出てくることが自然に理解できる。という事で、吉村先生ありがとうございます(^ω^)/

 

 



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自然数は、言葉である。 (数(自然数)は、幽霊である。)
2020-11-16 10:07:22
≪…素数ゼミの分散確率…≫は、[邂逅](出逢い)の問題のようだ・・・
[身体的行為]で『素数模様』を[創生]する『ノ(ζ(ゼータ))亀』の物語があるといいなぁ~
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