海外に出ると、多かれ少なかれ日本国内では経験しない目にあうものである。しかし、その頻度は2週間の旅行で1回とか、1年間住んでいて2,3回とかが普通で、そんなに頻繁なものではない。ところがイタリアときたら、始めから終わりまで小悪党のお世話になりっぱなしだった。アメリカ人が”イタリアは素晴らしいが、イタリア人が居なければもっと素晴らしい”と嘆くわけが良くわかる。
まず、入国の際に入管の列に長々と並んでいると後から来たイタリア人団体客が、EU居住者ラインではなく我々の並んでいる外国人ラインに割り込んできて、係官が注意をするとイタリア割り込みおばさんが腰に手を当てててまくし立て、係官を撃退してしまう。私は割り込みは嫌いなので、連中を押しのけてカウンターに手を伸ばしたが、逆に割り込みするななどと理不尽なことを言われ、思わず逆上して”ちゃんと列に並べ!”と怒鳴ったが通じたかどうか?係官は肩をすくめていたが...
やっとの思いで入国してタクシーに乗ると空港から市内は40eur固定料金のはずがメーター料金を請求されるしその後、タクシーに乗るたびに遠回りをしたり、おつりをごまかしたり、わざと別の場所にいったり、およそ乗った8割のタクシーに不愉快な目に合わされた。ただ、小銭程度のごまかしばかりで、チップと思えばそんなに気にならない。しかし、気持ちよく乗って、気持ちよくチップをもらうほうがお互い得だとは思うが。
レストランはレストランでレシートに品目を書かずに高めの請求をしたり、日本人と見て手抜き料理を持ってきたりの目にもあった。ガイドブックに乗っているレストランやピッツアリアはまず駄目だと思ったほうが良さそうだ。(もちろん、良いレストランもたくさん有ります。)
一番危なかったのはローマ・テルミニ駅で早めについて、列車に乗ろうと待っていると、妙な親父が近づいてきて、この列車はフレンツェ行きなのでさっさと乗れと言う。列車にはまだ乗客は誰も乗っていず、ガランとしているところへ荷物を持ち上げていると、何処から現れたか3人娘に取り囲まれ財布を掏られそうになった。おりゃーと言って荷物をホームに戻すと脱兎の如く逃げていった。危ないところでした。
おまけに、帰りの飛行機では私の頭の上で、イタリア人同士が延々と一時間以上もしゃべり続けるので頭に来て、立ち上がり面と向かって指を立ててシーと言ってやったら、コソコソと自分の席に帰っていった。
ただし、良い人達ももちろん居る。テルミニ駅では危ない目にあったので荷物は手元に置くほうが良いと思い席まで引っ張っていったが、30kg以上ある大型スーツケースを荷物棚に持ち上げるのに躊躇していると、そばに居た190cm位の若者が、ひょいと手伝ってくれた。その態度に感激して、思わずグラツェと握手を求めた。横にいた新婚らしい若い健康的な奥さんの誇らしげな表情が印象的だった。またローマのホテルではセフティBOXが故障していたので修理を頼むとローマ男の親父がやって来て、床に四つん這いで、お尻を半分出して修理してくれた。イタリアは伊達男ばかりかと思っていたが、ローマ男は実は胸毛モジャモジャのマリオタイプが多い。樽の様な腹と腕をした重量挙げ選手みたいな体型です。
...と色々有りましたが、それでもイタリアは素晴らしいところです(本当に!)