大島の北部に、新鮮で美味しいお魚をたくさん売っているスーパーがある。ちぴらは看板が赤いから『あかいスーパー』と呼んでいて、時々「いきたい~!」と叫んでいるけど、家から遠いからなかなか行けない。今日は天気がよいから、大島一周ドライブのついでに寄ってみた。お店に入ると、いかにも『魚屋さん』という感じの店長が、魚コーナーの奥の方でお刺身を切っていた。ぴらにあが近づいていくと、「どう、白ムロのタタキだけど、うまいよ!」と勧めてくれた。ムロアジは大島名物くさやの原料で、伊豆の下田あたりでも干物にしているけど、東京に住んでいた時は生で食べるなんて夢にも思わなかった。大島では『尾赤』といって、よく刺身で売っている。普通のアジより脂が少なくて、独特の匂いがあるから好き嫌いがあるけれど、ぴらにあは好きなお魚だ。「白ムロは尾赤よりサッパリしてるよ」と店長が言うから、試しに買ってみた。
家へ戻って、一緒に買ってきた白イカを大根と煮る。身からゲソを抜いて墨を取って、適当にぶつ切りにして。煮たら硬くなるかと思ったけど、柔らかくてなかなかうまい。さて晩ご飯、初めは他のおかずには目もくれず、お気に入りの大根を頬張っていたちぴらだけど、ぴらにあの方をチラッと見て、「おさかな、ちょうらい」と言う。これもあかいスーパーで買ってきたカレイのフライの事かと思ったら、「ちがう、あっちのおさかなちょうらい!」と・・・。エッ、ちぴらさん、ムロアジのタタキを食べたいの?・・・。試しに一切れ食べさせてみると「もっとちょうらい!」で、結局ちぴらのお茶碗は、『白ムロのタタキ丼』になってしまった。大根と白イカの煮物とムロアジのタタキ丼、なんとも伊豆大島的なお子様ディナーだ・・・
自分の小さい頃は、魚嫌いだったから。
今思い起こせば
何故に美味しいアジまで食べなかったのかと後悔です。
生魚が好きというより、大好きなお醤油をつけて食べるモノという扱いなのかもしれませんけど・・・