久しぶりに 「 かってに万葉 」 をやります
今回は額田王の歌
相聞と挽歌 ひとつづつです
知性というのは
自分を良く見せるための飾りとか
自分を守るためのヨロイとか
知らないあいだに そう思っていたのを
しばらく反省していました
なんとか
僕なりに落としどころが見えてきて
落ち着いてきたので
今日は やります
君待つと わが恋ひをれば わが屋戸の
すだれ動かし 秋の風吹く 488
巻第四
かからむの 懐知りせば 大御船
泊てし泊りに 標結はましを 151
巻第二
きみまつと わがこひをれば わがやどの
すだれうごかし あきのかぜふく
かからむの おもいひしりせば おおみふね
はてしとまりに しめゆはましを
あなたを待っていて 恋しさが胸をかすめていった時
秋の風が 家のすだれを動かした・・・・
あなたがお隠れになってしまう そんなあなたの
お気持ちが判っていたなら
あなたの乗られる船を 標に結んで
出られぬようにしておきましたのに・・・・
二つの歌は 天智天皇のことを詠った歌
額田王の天智天皇への想いが感じられる
相聞の 「 すだれ動かし 秋の風吹く 」 なんていいよね
すだれが動いて天智天皇が入ってこられるかと思ったら
秋の風が家の中に入ってきた
そのあとの余韻 ・・・・
切ないね
僕も こんな思いしたことあるよ
挽歌は 言霊がやわらかで悲しみが
じわっと心に染みてくる
「 はてしとまりに しめゆはましを 」 なんて
口に出して読んでみると
絶妙な やわらかい言葉のリズムの中に
悲しみを感じるね
若い頃 大和和紀と思ったけど
天智・天武天皇 額田王が出てくるマンガがあったね
「 天の果て地の限り 」 とかいう題だっけ
何回か読んだけど ( 若い頃少女マンガはよく読んだ )
もう内容は忘れてしまった
でも 額田王がすごく可愛かったことを覚えている
天智天皇は すごくダンディで
天武天皇は 甘いマスクのイケメンだったような気がする
で 何が言いたいかというと
額田王は天武天皇を愛し その後 天智天皇を愛したのでは
ないだろうかと思うのです
この歌を読んで天智天皇の謀略で一緒になったしまっただけで
愛していなかったとは考えにくいし ・・・・
どうなんだろう?
この時代の恋愛感覚と
現代の恋愛感覚とは異なるだろうしね
だから
天智・天武天皇 額田王の恋愛・結婚の話を
現代の恋愛感情と一緒にして言葉にするというのは
僕は ちょっとごめんなさい
って言って パスしてしまう
でも額田王の歌は 言葉の響きは絶品だよね
これだけは まちがいない
天智天皇は飛鳥の都から琵琶湖のほとりに都を移した
遷都だよね
大化の改新以降 内患外憂の中で
この国の舵をとり続けた天智天皇
時に心を鬼にして 皇族を切ったこともあるだろうし
目をつぶって 心ない豪族に官位を授けたこともあるだろう
気が休まらない日々を送っておられたのだろう
その御心を慰めたのは琵琶湖の水面を飛び交う
水鳥だったのかもしれない
また船に乗り その水鳥たちを愛でて
心を癒されたのかもしれない
そのことを
その心を
額田王は 我が事のように思っていたとしたら ・・・・
そんな
僕の勝手な想像が
この挽歌のかなしみの色をより深めていく
月のしずく