時、うつろいやすく

日常のたわいもない話…
だったのが、最近は写真一色になりつつある。

逃走

2007-07-29 15:48:26 | 
何から逃げているのかわからない。
ただ、のっぴきならない状態にあるようだ。
私は車を山頂付近で乗り捨てると、
そこから山中を走りながら逃走していく。
我ながらものすごいスピードだ。
坂道を息ひとつ切らさず登っていく。
山の尾根附近を走っているとき、
土手の上から黒人が見下ろしていた。
密林の原住民のいでたちだった。
彼はわけのわからない言葉を発すると、
突然、私めがけて飛び掛ってきた。
なんとかかわすと私は全速力で逃げた。
彼はどこまでも追いかけてきた。
どちらも驚異的なスピードだ。
私も早いが彼も早い。
一進一退のデットヒートが続く。
左側は高い絶壁の崖だ。
と!
そこに大きな実を付けた巨大な木が生えていた。
木は崖底から崖上まで伸びていた。
ゆうに30mはあろう。
実は薄いオレンジ色で、木の枝全体にたわわに実っていた。
一個の大きさが1mくらいあった。
私は立ち止まってしげしげと実を眺めた。
じつに美味しそうな実だった。
追っていた黒人も立ち止まっていた。
彼に何の実かと聞くとマンゴーだと答えた。
私は身を乗り出して両手で巨大マンゴーを抱きかかえようとした。
危うく崖から落ちそうになった。
危ないから取るなと黒人がいった。
私は仕方なく道際の誰かに切り刻まれた後のマンゴーの
欠片をもぎ取った。
それでもパパイヤメロンくらいの大きさはあった。
私はそのマンゴーを小脇に抱えると、また走り出した。
今度は逆方向に車を目指して帰りだした。
もう黒人は追ってこなかった。
車にたどり着くと、マンゴーをガブリとかじった。
すっぱーーーい。
コメント (11)
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